2016年11月30日水曜日

銃の持ち運び - Haley Strategic INCOG Rifle Bag

つづきから


Larueのライフルバッグは使いやすくてよいのですが、いかんせん入手性に非常に難があるのがネックでした。しかし、似たような製品は他社からも発売されています。

6. Haley Strategic INCOG Rifle Bag


Haley Strategicが発売している、INCOGブランドのライフルバッグです。Haley StrategicはMAGPULのCEOを務めていたTravis Haley氏が立ち上げたブランドで、タクティカルシューティング向けの製品を主に発売しています。

外形はLarueのCover Rifle Caseに似ていますが、こちらはベルクロではなく内部にウェビングが配置されていて、銃を固定できるようになっています。

上面にはMOLLEプラットフォームの他、装備品を入れることができるメッシュポーチが配置されています。元々、シューティングに必要な装備を一式持ち歩けるように設計されたケースなので、小型のチェストリグであれば十分入ります。

カラーはHaley StrategicのシンボルカラーであるDisruptive Grayのみですが、Larueと異なりサイズのバリエーションがあるため、長い銃を入れることもできます。
一番オーソドックスなものがINCOG Carbine Rifle Bagで、このサイズでもLarueよりも大きいため、14.5inのM4A1カービンでも入れることができます。
16in以上の長いライフルの場合は、INCOG Long Rifle Bagを選択できます。少し価格は上がりますが、18inクラスのSPRも入ります。

また、このblogを書いている段階ではまだPRE-ORDERですが、INCOG Subgun Rifle Bagという、サブマシンガンサイズの製品もあります。伸縮ストックのMP5や、折り畳みストックのカービンサイズのAKがちょうどすっぽり入る長さのようです。

Haley Strategicは日本への発送を行ってくれるので、クレジットカードさえあれば普通に購入できるのが良い点です。ライフルバッグとはいえ実際は単なるナイロンのバッグですから、個人輸入に特に法律的な制限はありません。

元々タクティカルシューティング向けの製品を出しているメーカーなので、デザインも洗練されており、おすすめの製品のひとつです。

2016年11月22日火曜日

銃の持ち運び - LaRue Covert Rifle Case MkII

つづきから


前回紹介したバックパックもそうなのですが、最近はライフルだけではなくマガジンやピストル、チェストリグなどの装具一式をまとめて格納できるケースが出てきています。
AR-15用のパーツを各種発売しているLaRue Tacticalからも、特徴的なケースが発売されています。

5. LaRue Covert Rifle Case MkII

LaRue Tacticalが発売しているCovertケースです。Covertとは「秘密」の意味で、銃を目立たせずに持ち運ぶためのケース、といったあたりでしょうか。




このケースもナイロン生地のソフトケースです。FirstSpearのケースと違って、オーソドックスなバッグの形をしています。
内部には固定の仕切りがなく、ベルクロ式の後付けの仕切りを取り付けて使用します。そのため、細かく仕切って小物を入れたり、大きく区切って長めのライフルを入れたりすることができます。

上蓋側にはMOLLEウェビングの他、専用のマガジンポーチを取り付けることのできるベルクロが縫い付けられています。マガジンポーチは標準で1つ付属していますが、別売で追加のポーチも販売されています。

この製品はカラーバリエーションが非常に多いのが特徴です。通常のライフルバッグはどうしても黒やカーキ、オリーブドラブといったいかにもミリタリーライクなものがほとんどですが、この製品には鮮やかな赤や青といった、普通のスポーツバッグにも使われている色が用意されています。Covert Caseの面目躍如といったところでしょうか。

弱点としては、どうしても製品の性質上小柄にならざるをえなかった点です。一般的なAR-15系の場合、10.5inが限界で、それ以上になるとテイクダウンしなければ入りません。また、14.5inのSCAR-Lの場合はストックを折りたたむ必要があります。16.5inの民間版SCAR(SCAR 16S)はストックを折りたたんでもギリギリ入りません。
やはりFirstSpearのように、テイクダウンできるAR-15系カービン向けといった趣の製品です。

また、もう一つ大きな問題があります。この製品は単なるバッグなのですが、メーカーが日本への発送を一切行っておらず、またアメリカのネットショップでも取り扱っていない(少なくとも私は見たことがありません)ため、海外に行って買ってくるか、eBay等に出品された時に落札するか、または現地で購入できる人に送ってもらうしかありません。

製品は非常によいものなので、もし手に入るのであればおすすめのひとつなのですが、いかんせん入手性が悪すぎるのが最大のネックです。運よく手に入る機会があれば、とりあえず買っておいてもいいかもしれません。

2016年11月16日水曜日

銃の持ち運び - FirstSpear Noveske Discreet Backpack

つづきから


今まで紹介してきたケースはどれも見た目がいかにもライフルケースで、車ならともかく公共交通機関で持ち歩くにはいささか気が引けるものでした。
同じような悩みはアメリカでもあるようで、一見して普通のバッグに見えるようなものも発売されています。

4. FirstSpear Noveske Discreet Backpack




FirstSpear, LLCが、Noveske Rifleworksの要求に答えて作られた製品です。見た目は大きめのバックパックで、背中に背負えるように肩紐が付いています。

ぱっと見は登山用品にも見えるような外見なので、ライフルを入れていても目立ちません。
サイズが小さめなので長い銃はそのままでは入りませんが、16inクラスのAR-15であればテイクダウンすることで収納できます。そのまま入れる場合は10.5inクラス、CQB-Rまででしょうか。
SCAR-Lの場合はストックを折りたためばそのまま入ります。

内部には銃を固定するためのラバーコードが2本取り付けられていて、背負っている時に銃が中で動かないようにすることができます。内部にMOLLEウェビングが張り巡らされているので、空いている部分にマガジンポーチを取り付ければ、装備を一式持ち運ぶことも可能です。
ちなみに、標準で1つポーチが付属しています。

外側にはジッパーで閉じられる小さい収納がひとつと、解放型の大きな収納がひとつあります。大きい方の収納には小型のチェストリグを入れられるくらいの容積があります。
また、左右にはペットボトルが入るくらいの収納があるので、ここにBBボトルやガスボンベを入れることができます。

非常に使い勝手のよいバッグなのですが、入手性が悪いのと、先に述べたようにサイズが小さいのがネックです。

入手性については、FirstSpear製品を扱っているショップに問い合わせるのが一番確実かと思います。メーカー公式通信販売でも、国が選択できるようでしたので、もしかすると直輸入も可能かもしれません。

サイズについては、元々AR-15をテイクダウンして収納することを前提にしているので、長いライフルは入りません。マルイタイプの電動ガンをテイクダウンするにはネジを外す必要があるので、普通はそのまま入れることになりますが、その場合は短めの銃しか入らないことになります。
一方、SYSTEMA PTWや各社のガスブローバックガンの場合は簡単にテイクダウンできるので、かなりお勧めのバッグです。その他の銃でも、折り畳みストックを装備しているものについては、相当長いバレルでない限りは入るので、選択肢のひとつにしてもよいかもしれません。

2016年11月13日日曜日

銃の持ち運び - Uncle Mike's ライフルバッグ

つづきから


ハードケースは銃を強固に守ってくれて、移動用には便利なのですが、いかんせん重量と体積がかさむので、持ち運びにしろ保管にしろかさばる、という点があります。
ソフトケースは長期の保管にはあまり向いていませんが、軽く柔らかいので、サバゲー等に持ち出す時にとても便利な品です。

3. Uncle Mike's ライフルバッグ


実銃用のライフルバッグで、入手性もよく、安価に買える製品です。
非常にオーソドックスな作りで、内側には特にギミックや機能はなく、クッション材を詰めた柔らかい生地で銃を守ってくれます。

外側にはマガジンやハンドガンを入れることができるポーチがいくつか付いているので、コンパクトにまとめれば銃はこれ一つで全部まとめることができます。

2種類のサイズがあり、ミディアムタイプは内部が838×254mmあるので、14.5inのM4A1カービン(ストックを縮めた状態で約80cm)を入れることができます。マガジンポーチが側面に3つ付いていて、M4マガジンをぴったり入れることができます。MP5のマガジンなら、各ポーチに2つずつ入ります。


ロングタイプはさらに長く、1092×254mmと、1mクラスのライフルも入ります。こちらはポーチが5個付いているので、ライフルマガジンだけではなく、ピストルのマガジンも容易に持ち歩くことができます。


大きな欠点もなく、汎用性の高い安定したケースです。
最初のひとつにするには向いていると思います。

2016年11月12日土曜日

銃の持ち運び - Plano ライフルケース

つづきから


ペリカンケースは頑丈でよいのですが、いかんせん価格が高いのがネックです。
実銃用で入手性のよいケースで、できるだけ安いものを、と考えると、Planoのケースがおすすめです。

2. Plano ライフルケース


Planoのケースはペリカンケースのような頑丈さはありませんが、実銃用のケースとしてはかなり安く、入手性もよい商品です。

ラインアップにいろいろなサイズがあり、ライフルを複数丁入れられる大型のものから、ピストル用の小型のものまで、広く揃えられています。材質はやや柔らかめのプラスチックでできていて、標準で波型のウレタンが2枚入っています。
スナイパーライフルのような長大な銃を入れられるペリカンケースとなると、1750クラスの製品が必要になりますが、Planoのライフルケースでは1万円未満でそのサイズの銃を入れられるケースが手に入ります。
マガジンを一緒に持ち歩くのであれば、ダブルタイプを選んでもよいかもしれません。


また、ピストル用のケースはかなり安価で、1丁ずつマガジンとセットで入れておくと持ち出すときにかなり楽なのでお勧めです。ピストル中心の人は大型のタイプを選んでおくと、複数丁入ります。

 

専門店以外でも、ホームセンターで販売されていることがあるのもメリットです。工具箱の売り場に置いてあることがあるので、探してみるといいかもしれません。

ケースそのものは軽量で、持ち運びは難しくありません。ただし、対衝撃性は内部のウレタンに依存します。

ペリカンケースに比べると厚みがなく、サイドレールにパーツを取り付けていると蓋がしまらないのが難点です。材質が柔らかいのと、ウレタンがバッファーになるので、多少無理をしても閉まりますが、幅の広いパーツは外した方がよいかもしれません。
密閉性はほぼないので、水気のある所には置かない方がよいでしょう。


2016年11月11日金曜日

銃の持ち運び - ペリカンケース

はじめに


サバゲーにしろシューティングにしろ、フィールドやシューティングレンジまで銃を持っていかなければならないことは多々あります。
おもちゃとはいえ、知らない人が見ればぎょっとするような外見をしているのがトイガンですから、可能な限り見えないようにして持ち運ぶべきですし、何よりいい加減な運搬では、大切な銃を壊してしまうかもしれません。

銃のケースには大きく分けてハードケースとソフトケースがあります。
ここでは、ライフルサイズの持ち運びに絞って、ハードケースを紹介したいと思います。

1. ペリカンケース


軍でも使用されているとても有名なケースです。ライフル専業ではなく、パソコン用やスーツケース等も作っていますし、カメラを趣味にしている方は、カメラの持ち運びに使っているかもしれません。

ペリカンケースはとにかく頑丈で、飛行中のヘリから投げ落としても壊れないほどの耐久性を誇ります。ライフル用としては1700、1720、1750の3種類があります。

頑丈な分非常に重いのですが、キャスターが付いているため転がして移動させることができます。
フタにはゴム製のパッキンが付いていて、水が入らないようになっています。そのままだと気圧差で開けられなくなることがあるので、調整用の弁も付いています。

1700はM4A1カービン等の14.5inサイズのライフルに適合します。1720だと、16inクラスのライフルを入れることができます。それ以上の長さの場合は、1750を選択します。1750だと、長めのボルトアクションライフルも十分入ります。
個人的には1720が汎用性が高く、おすすめです。


非常に良いケースなのですが、欠点としては、価格が高いことが挙げられます。輸入品なので為替レートにも左右されますが、一番汎用性の高い1720が、およそ4万円ほどの価格で販売されています。
また、ウレタンフォームがフタ用1枚、本体用1枚、底板1枚の合計3枚付属しているのですが、本体用を銃の形に合わせて切ってしまうと、当然元には戻りません。そこで、替えのウレタンフォームを買うことになるわけですが、純正品が非常に高価で、しかも必ず3枚セットでの販売になってしまっています。
市販のウレタンフォームをいくつか組み合わせて使うこともできますが、ペリカンのウレタンフォームは適度に固く、内容物をしっかり保持してくれるので、なかなかそれと同等のものは見つからないのが現状です。

本体用のウレタンフォームを取り除いてしまっても、厚みのあるものであればフタ用と底板の2枚のウレタンフォームである程度固定されるので、投げたりするようなことがないのであれば本体用のウレタンフォームは保存しておいてもいいかもしれません。
また、後で紹介するソフトケースに入れた上で、ペリカンケースに格納するという手もあります。

2016年11月9日水曜日

エアガンの紹介 - 東京マルイ 次世代電動ガン SCAR-L

はじめに

M16の採用以来、現代に至るまで米軍はAR-15系のライフルを採用し続けていますが、一方で新しい銃の採用を検討したことも何度もあります。SCAR-Lもそのうちの一つです。

1. FN SCAR-L


 

FN SCARは、FN Herstal社がアメリカ特殊作戦群(SOCOM)のSCARプログラムに向けて開発したアサルトライフルです。5.56x45mm仕様のSCAR-Lと、7.62x51mm仕様のSCAR-Hがあり、全く同じ操作性を持ちます。
アッパーレシーバーはガスブロックまで一本のアルミブロックからできていて、AR-15の弱点であるバレル基部の弱さがありません。作動方式はショートストロークガスピストンのため、汚れにも強くなっています。

結局SCARプログラムはキャンセルされ、SCAR-Lが全面的に採用されることはありませんでしたが、SCAR-LはMK16、SCAR-HがMK17、SCAR-Hのロングバレル・マークスマンライフル仕様がMK20として、一部部隊で使用されています。

東京マルイはこのSCAR-Lの第4世代型をモデルアップしています。第3世代型はWEとVFC、またVFCのコピー商品をDboysが発売していますが、第4世代型は次世代電動ガンのみです。
セレクターの角度が違うので、第3世代型と第4世代型はすぐわかります。セレクターを水平にした状態でSEMIになるのが第3世代型、SAFEになるのが第4世代型です。

次世代SCAR-Lは、次世代M4と同様のギミックを備えていて、シュート&リコイルエンジンと、作動ストップ機構を装備しています。また、アッパーレシーバーが実銃同様に一本のアルミ材でできているので、かなりリアルな構造をしています。寸法もかなり実銃に近く、一部サードパーティの実銃用ハンドガードは小加工で取り付けることができます。
アウターバレルもSCAR-Lはアルミの一本物で、基部と分割されていないので比較的頑丈です。

ストックは折り畳みが可能で、そのためにストック基部がかなり特殊な形状をしています。そのため、実銃用のストックや、VFC/Dboys用のストック等は全く取り付けができません。ストックのロックボタンの強度があまり高くないので、無理にパチンと勢いよくロックすると、割れることがあります。注意してください。

この電動ガンは精度が非常に高く、初速も高めに設定されているので、長射程での精密射撃が可能です。一方で、重厚なアルミのアッパーレシーバーが長く伸びているので、かなり重いのが難点です。VFC用のMK13 EGLMグレネードランチャーの取り付けもできるのですが、これを付けると構えて走り回る気が全く起きないほどの重さになります。

ごく初期のロットでは、アッパーレシーバーのトップレールが切削不良を起こしていたこともありましたが、現在の製品では完全に修正されています。

対応バッテリーはミニバッテリーです。ストックに入るので、交換は簡単な部類でしょう。

2. バリエーション


SCARは軍用銃なので、いくつかのバリエーションがあります。なお、次世代SCARには、全てのモデルにブラックとFDEのカラーバリエーションが存在します。


最初に発売されたのが、5.56x45mm仕様、14.5inバレルのSCAR-Lです。マガジンは次世代M4系と互換性があるので、次世代M4を持っている方は追加で買い足す必要がなく、便利です。


次に発売されたものが、SCAR-Lの10.5inバレル仕様であるSCAR-L CQCです。アウターバレルが短くなったのに合わせて、インナーバレルも短くされています。


SCAR-Lは上記2種類ですが、7.62x51mm仕様のSCAR-Hも発売されています。SCAR-Hはアウターバレルがガスブロック部分で2ピースになっていて、エクステンションアウターバレルを取り付けておくと16.5inのカービン仕様、取り外すと12inのCQBカービン仕様になります。

なお、SCAR-Hは実銃もそうなのですが、SR-25やM14等の他の7.62x51mm系バトルライフルとのマガジン互換性はありません。専用品になります。

2016年11月7日月曜日

エアガンの紹介 - KSC HK53

はじめに


サバゲーで電動ガンが有利だとなると、東京マルイ以外のメーカーも当然電動ガンを発売したくなるわけですが、東京マルイの電動ガンの構造は当然ながら特許で保護されていたので(現在は一部切れています)、国内メーカーはそれを回避する必要がありました。
そんな中KSCから発売されたのが、モータードライブエアーコッキングガン HK33シリーズです。

1. HK33


HK33は、H&KがG3ライフルをダウンサイジングして設計したアサルトライフルで、ローラー遅延式ディレードブローバックを採用して、G3ライフルとほとんど同じ構造をしています。命中精度が非常に高いのですが、高価な上にM16ライフルのガス圧作動式に比べて実包の装薬量の違いに敏感なので、あまり人気の出なかった銃です。

KSCのHK33はこれをモデルアップしており、亜鉛ダイキャスト製のレシーバーとグラスファイバー入りの樹脂パーツのおかげで、かなりリアルな作りになっています。

KSCのHK33はモータードライブエアーコッキングガンと呼ばれていて、普通の電動ガンと異なり、シア式になっています。トリガーはあくまでもピストンの解放にだけ使われ、ピストンのコッキングとは連動していません。ピストンの後退状態からの作動になるので、ロックタイムが極端に短いのが特徴です。
また、手動コッキングが可能なので、バッテリーが無くてもエアーコッキングガンとして使用することができます。

一方で、現在のような電子制御が生まれる前の製品のため、ピストンの制御をアナログスイッチで行っており、精密な制御ができません。そのため、マニュアルにない無理な使い方をすると壊れやすい、という欠点があります。
この銃にはトリガー前方に電源スイッチがあるのですが、このスイッチをONにする前に必ずコッキングレバーを使用してピストンをコッキングした状態にしておくことが要求されています。コッキングしないでONにしてしまうと、ギアのタイミングがずれてしまい、ギアやピストンを破損することがあります。
これがこのエアガンの評価を下げた一因なのは間違いありません。

また、シア式ではあるのですが、ピストンを後退させながらシアを解放するので、トリガーがかなり重めです。元々実銃も軍用銃として設計されたものなのでトリガーは重めですが、普通の電動ガンに慣れた人には辛いかもしれません。

内部メカはマルイの特許を回避するために独自の構造になっていて、やや複雑です。しかし、このエアガンのメカボックスは、ピストン部とギア部の2つに分割することができるので、ピストン部だけであれば分解組み立てはそれほど難しくはありません。

箱出し状態だとやや初速が低いのですが、ピストン部を分解してOリングを市販のものに変更するだけで、マルイ製品に匹敵する初速を得ることができます。サバゲーで使うのであればこの調整を行っておくとよいでしょう。
具体的には、部品No.109を内径7.0mm/外形11.0mmの平パッキンに、部品No.120を内径7.8mm/外形12.0mmのOリングに、それぞれ交換します。これらはホームセンターに売っているごく一般的なものです。

2. バリエーション


H&Kはロングガンをストックやバレル長でバリエーション化しており、HK33もその例に漏れずバリエーションモデルが存在します。KSCはそのうちのいくつかをモデルアップしています。

最も最初に発売されたのが、フルサイズバレルに伸縮ストックを装備したHK33A3です。バッテリーはレシーバーに格納するようになっています。


その後、同じフルサイズバレルに固定ストックを装備したHK33A2と、カービンバレルに伸縮ストックを装備したHK33Kが発売されています。


また、HK33シリーズにはバレルを極端に短くしたサブマシンガンモデルがあります。イギリスのSASでも採用されたこのモデルがHK53で、KSCは伸縮ストックのHK53(HK53A3に相当します)と、固定ストックのHK53 SFPDをモデルアップしています。

 

2016年11月2日水曜日

ファイアリングモード(バースト)

つづきから


フルオートマチックモードは強力ですが、いくつか欠点があります。
ひとつは、射撃速度が高すぎて、弾を使いすぎるという問題です。サバゲーのBB弾と違って、実銃の場合は1つのマガジンに高々30発程度しか入りませんから、フルオートマチックでは2~3秒もあれば撃ち尽くしてしまいます。

また、フルオートマチックモードの場合、連続して発射するので、反動が激しくなる傾向があります。銃のグリップは重心からずれていますから、反動を受けると銃が跳ね上がってしまい、狙いが外れることが多くなります。

これらの欠点を解決するための方法として、バーストモードがあります。

3. バーストモード


バーストモードは、フルオートマチックモードの射撃を数発で強制的に中断する仕組みです。3点バーストは3発、2点バーストは2発で、自動的に連射が停止します。

バーストモードの基本的な動作はフルオートマチックモードとほぼ同じですが、シアーやその周辺のパーツが発射弾数をカウントできるような仕組みになっています(銃によって異なります)。3点バーストなら3発、2点バーストなら2発発射後に、セミオートマチックモード同様にディスコネクターが作動して、トリガーとシアーとのリンクを絶つことで、作動を停止させる仕組みです。

バーストモードが付いている銃はどうしてもパーツ点数が多くなる傾向があります。以前は射撃に慣れていない新兵が弾丸を多く消費することへの対策としてしばしばバーストモードが採用されましたが、メンテナンス性が低下したり、いざという時の火力に劣ったりすることが忌避され、あまり使われなくなっています。

アサルトライフルでは、かつてM16A2ライフルがフルオートマチックモードの代わりに3点バーストモードを採用していましたが、現在のM16A4ライフルやM4A1カービンはフルオートマチックモードに変更されています。
M16A2ライフルのバーストモードはフルオートマチック仕様のM16A1ライフルに比べて部品点数がほとんど増えておらず、非常にシンプルな構造でした。しかしその一方で、バースト射撃を途中で中断した時にカウンタがリセットされないため、最初の1回はバースト射撃される弾数が不安定になるという弱点を持っていたため、余計に火力に欠ける側面があったことは否めません。

一方、ロシアのAN94ライフル、通称アバカンは、興味深い目的のために2点バーストモードを応用しています。このライフルは、きわめて特殊な構造になっていて、フルオートマチックモードの最初の2発だけが、通常よりも高速に連射されるように設計されています。これによって、フルオートマチック射撃で銃が跳ね上がる前に2発撃ち出すことを可能にして、制圧力を上げています。
ただし、やはり構造が非常に複雑で、AK47シリーズの最大の特徴であったシンプルでルーズな構造は失われています。

また、日本の自衛隊が採用している89式小銃にも3点バーストモードが装備されています。M16ライフルのものとは異なり、バースト射撃中断時にカウンタがリセットされるため、半端な射撃はできなくなっています。日本の自動小銃として防衛戦闘を主目的として設計されている89式は、マシンガンに近い連射モードを重要視した設計になっているため、バーストモードを標準装備したのだと思われます。

トイガンでは、KSCのM93Rシリーズが3点バーストモードを装備しています(M93R-C、オート9はオプションです)。また、タニオコバのVP70に別売りのストックを取り付けると、3点バーストが使用可能になります。
ロングガンでは、VFCのUMPやG36シリーズに2点バーストモードの付いたモデルがあります。さらに、一部のガスブローバックのM16A2ライフルは、実銃同様のギアラック式3点バーストを採用しています。構造が実銃と同じなので、発射弾数が不安定になる点も完全に再現されています。

2016年11月1日火曜日

ファイアリングモード(フルオート)

つづきから


ハンドガンの場合はセミオートマチックモードがあれば十分ですが、ロングガン、特に軍用銃の場合は、相手の動きを抑制するために、フルオートマチックモードが付いていることがほとんどです。

2. フルオートマチックモード


1回のトリガー操作で1発発射されるセミオートマチックモードに対して、トリガーを引いている間作動が継続するのがフルオートマチックモードです。

前回、「ディスコネクターの調子が悪くなると、トリガーを引いている間スライドが動作し続けてしまう」と書きました。一見するとこれがフルオートマチックモードのように思えますが、この動作の場合、スライドやボルトキャリアが前進するのに合わせてハンマーが落ちていくので、ハンマーの打撃力が完全には伝わりません。そのため、不発が起きたり、発射サイクルにばらつきが発生したりします。

正式なフルオートマチックモードを持つ銃では、このような現象に対処するため、「フルオートシアー」という部品を持っています。フルオートシアーはスライドやボルトキャリアが閉鎖した時に自動的にトリップするシアーで、フルオートマチックモードでスライドが閉鎖するまで、ハンマーを保持する機能を持ちます。ディスコネクターが作動しない状態でも、閉鎖するまではフルオートシアーがハンマーを抑えているので、先に挙げたようなスライドの動作に合わせてハンマーが徐々に落ちる現象が起きなくなります。

先日紹介したKSC Beretta M93R IIはフルオートシアーを持つため、フルオートシアーの無い無印モデルに比べて、連射モード時の安定性に格段の差があります。ガスブローバックガンの場合、ハンマーの打撃力がきちんとバルブノッカーを通してマガジンの放出バルブに伝わっていないと、ガスの放出量が不安定になって作動も不安定になりやすいので、フルオートシアーの有無が作動性に大きくかかわってきます。


ちなみに、フルオートマチックモードの付いている銃は大抵の国で軍や法執行機関以外での所持が制限されています。そのため、元々フルオートマチックモードの付いていた軍用銃を民間仕様にする場合、フルオート化改造が簡単にできないようにすることを目的として、フルオートシアーが取り付けられないような構造変更が行われていることがあります。

例えば、アメリカでは民間向けにAR-15ライフルが数多く発売されていますが、ロアーレシーバーのフルオートシアーが入る部分が狭くなっていて、無加工ではフルオートシアーが入らないようになっています。さらに、MP5の民間仕様に至ってはグリップフレームの互換性自体が無くなっています。

民間カスタムライフルをエアガンで再現する場合は、このあたりにも気を使うと、さらにリアリティを高めることができますが、どうしてもサバゲー等ではフルオートマチックモードがあると強力であることから、セミオートマチック仕様のレシーバーはあまり出ていないので、なかなか難しいのが現状です。