2016年10月31日月曜日

ファイアリングモード(セミオート)

はじめに


前回ガスブローバックのM93Rを紹介しましたが、この銃にはセミオート、フルオート、3点バーストの3種類のファイアリングモードがあります。このような銃を、セレクティブファイアと呼びます。

電動ガンの場合は電子制御か機械制御で通電回数をカウントしてモーターを動作させるわけですが、ガスブローバックガンの場合は実銃と同じように、部品の組み合わせでハンマーの動作を制御しています。

今回はこの仕組みについて、説明しましょう。
なお、ここで説明するのはクローズドボルト式の銃についてです。オープンボルト式については、またの機会にとさせてください。

1. セミオートマチックモード


セミオートマチックモードは、「トリガーを1回引いたら1回発射される」仕組みです。
実銃の場合はチャンバーにカートリッジが入っている状態から、トリガーを引いて発射後、次のカートリッジがチャンバーに入って動作が終了します。ガスブローバックガンの場合はカートリッジがありませんがおおむね同じで、発砲後次のBB弾が自動的にチャンバーに入って、動作が終了します。

トリガーを引くとシアーが外れてハンマーが落ちるわけですが、スライドやボルトの動作は非常に速いので、発射後ハンマーがコックされた時も、トリガーは普通引かれたままのはずです。トリガーはシアーと連動していますから、トリガーを引いたままではシアーがハンマーにかからず、コックされたハンマーがそのまま落ちて、連射になってしまうのではないか、と思うかもしれません。

しかし、実際はそうなりません。
トリガーを引いて一発弾丸を発射すると、ディスコネクターという部品が作動して、トリガーとシアーの連動が絶たれ、シアーから見るとトリガーが引かれていない状態と同じ扱いになります。これで、シアーがハンマーにかかるようになります。
作動したディスコネクターは、トリガーを戻すとリセットされますから、「トリガーを1回引いたら1回発射される」という仕組みが実現できます。

これがセミオートマチックモードの仕組みです。
電動ガンの場合は、前に書いたように全然違う方式で作動を止めているのですが、ガスブローバックガンはほぼこの方式で実現されています。

なので、ディスコネクターの調子が悪くなると、トリガーを引いている間スライドが動作し続けてしまうような現象が起こります。これはフルオートでもなく、単なる暴発です。細かいことは、次回、フルオートマチックモードの回で説明することとしましょう。

2016年10月28日金曜日

エアガンの紹介 - KSC Beretta M93R II(SYSTEM7)

はじめに


Beretta Mod93R、通常M93Rは、マシンピストルとしてとても有名なモデルです。トイガンにおいても、かつてMGC初のガスガンとして発売され、大ヒットしました。
MGC全盛期に協力企業として活躍していたKSCは、MGC廃業後にガスブローバックガンとしてM93Rを発売し、その後改良されながら現在でも再生されるたびに売り切れてしまう人気のモデルとなっています。

1. M93R


SPが要人を護衛する際、サブマシンガンやアサルトライフルでは物々しすぎて威圧感を与えてしまうため、Mod92をベースに3点バースト機構を取り付けて開発された大型マシンピストルがBeretta Mod93Rです。構造もそっくりで、ロッキング方式はMod92譲りのプロップアップ式になっていますが、セフティはコック&ロックセフティが採用されています。

最大の特徴は、やはりその3点バーストです。ピストルのバレルから撃ち出される9x19mm弾でも、バースト射撃ができればサブマシンガン並の制圧力を持ちます。Mod93Rはトリガーガードの前に折り畳み式のフォアグリップがあり、ストックも取り付けられるので、カービンとしての運用も可能です。

KSCのM93Rは、バースト機構もきちんと再現されています。最初に発売されていたKSC M93Rでは、オートマチックシアーが省略されていたので、ディスコネクターをキャンセルしただけの暴発に近いバースト射撃でしたが、M93R IIではオートマチックシアーが装備されているので、スライドが閉鎖してからハンマーが落ちるように改良されています。

KSCのM93R IIはスライドストロークが実銃よりもやや短く、作動スピード寄りの調整がされています。
M93R IIには無印とSYSTEM7の2種類があり、無印モデルは機械式のブローバックエンジンで、SYSTEM7はコバアクセル方式の負圧式ブローバックエンジンなのですが、特に後者は作動が異様に高速で、強烈な破裂音と共に一瞬で作動が終わるため、バースト射撃時の安定性が抜群です。

また、M93R IIには、実銃とは異なりフルオートポジションがあります。セレクターをセミオートとバーストの間にセットすると、フルオートモードに切り替わります。無印M93Rの頃からある機能ですが、無印M93Rには∞マークがあったものが、M93R IIでは実銃通り無刻印になっています。

マガジンはロングマガジンが標準装備です。M92FシリーズのSYSTEM7モデルと互換性があるので、そちらのマガジンを使用するとよりコンパクトにすることができます。

2. バリエーション


元々実銃も1モデルしか存在しないものなので、M93R IIにはあまりバリエーションはありません。

まず、最初に発売されたものが、ABSモデルです。ABS樹脂製でスライドが軽量なため、SYSTEM7のトルクと相まって、猛烈な作動スピードを誇ります。ただし、スライドがあまりにも高速に動作するため、やや耐久性に劣るのが欠点です。
なお、最近は後述するHWモデルが中心で、こちらはあまり生産していないようです。

金属粉入りのヘビーウェイト樹脂で構成されたHWモデルもあります。実銃はスライドもフレームもスチールなのですが、HWモデルはどちらもヘビーウェイト樹脂で作られています。KSCのヘビーウェイト樹脂はかなり重く、ABSモデルよりは作動スピードは遅いものの、十分快調な動作をします。


ヘビーウェイト樹脂は脆いのが欠点ですが、他社に比べてKSCのそれは比較的頑丈な部類に入ります。とはいえ元々繊細なモデルではあるので、夏場等は破損に気を付けてください。

KSCは頻繁にマイナーチェンジを行うメーカーで、最新のロットではチャンバーが改良されています。そのため、命中精度はマルイにも劣りません。
一方、マガジンの生産数が毎回少ないので、サバゲーやシューティングに使いたい人は多めに買っておくことをおすすめします。特にM93R IIはバーストやフルオート射撃が楽しいモデルなので、マガジンを多く買っても損はないと思います。

2016年10月26日水曜日

M4カービンのカスタム - マガジンキャッチ編

はじめに


M4カービンのカスタムについて、ちょっと忘れていたことがありました。

マガジンを固定するためにマガジンキャッチというパーツがあるのですが、このパーツについても各社サイズが違っています。
これもまとめておこうと思います。

1. マルイ電動規格



東京マルイのスタンダード電動ガン M4カービンで使用されているもので、そのクローンのAR-15ライフルも全てこの寸法です。

実銃用とはサイズが違っており、取り付け方法もほとんどがネジ止めになっていますが、VFCなど一部のメーカーは実銃と同じ取り付け方法になっています。
電動ガンのレシーバーは、SYSTEMA PTWなどごく一部のモデルを除いてほとんどが実銃やガスブローバックガンよりも幅広になっているために、マガジンキャッチも特殊なサイズになっています。

2. 次世代M4規格


同じ東京マルイの電動ガンでも、次世代電動ガンはマガジンキャッチの形状が少し違っています。そのため、スタンダード電動ガン用のマガジンキャッチを使用することはできません。

高性能ながらあまりカスタムパーツが出ていないのが次世代電動ガンの欠点なので、基本的には純正パーツを使用することになります。ただ、スタンダード電動ガン用でも、多少加工すれば取り付けられるものもあるようです。

3. WA ガスブローバックM4規格



WAのガスブローバックM4のマガジンキャッチは、実銃用よりもサイズが少し大きく、専用のものを必要とします。取り付け方法は実銃と同じです。

4. 実銃規格


実銃のマガジンキャッチがそのまま使えるタイプです。SYSTEMA PTWと、WA用のリアルサイズレシーバーがこれに対応します。当然、取り付け方法も実銃と同じです。

ただ、取り付けられるだけではうまく作動しないことがあります。特にガスブローバックガンに関しては、BB弾だけではなくガスもマガジンから供給する必要があるので、マガジンのガス放出口のパッキンが、ノズルのガスルートにきつくもなくゆるくもなく、適切に密着している必要があります。うまく動かない場合は、マガジンキャッチやマガジンのパッキン、マガジンを削って調整する必要があります。

まとめ


これらの他、各社のガスブローバックM4もそれぞれ専用のマガジンキャッチを必要とします。ものによっては使えるものもあるかもしれませんが、給弾不良や作動不良の原因にもなるため、きちんと動作するように設定するには根気が必要です。

マガジンの固定は地味ながらエアガンをきちんと動作させるのにとても重要なことで、マガジンキャッチの精度もそれに効いてきます。特に、SYSTEMA PTWやガスブローバックM4はマガジンの位置にシビアなので、最初のうちは純正を使って、慣れてきてから交換した方が、トラブルを避ける意味でもおすすめです。

2016年10月25日火曜日

電動ガンのマガジン

はじめに


実銃の場合は単発式ライフルというものもありますが、エアガンの場合は大抵の場合マガジンがあります。

ガスブローバックガンの場合は、サイズの差こそあれどどれもほとんど同じ構造なのですが、電動ガンの場合はその構造によっていくつか種類があります。

1. ノーマルマガジン



BB弾にスプリングでテンションをかけて押し出すタイプです。装弾数としては30発~120発あたりが相場です。

スプリングテンションを使うため、常にBB弾がチャンバー側に押し出される形になっているので、BB弾が中で遊びにくくなっています。そのため、ジャラジャラという音はしませんし、弾同士が当たって傷つくこともあまりありません。
ただ、スプリングテンションをそこまで強くできないので、マガジンによってはBB弾を選ぶ傾向があります。前にマルイとG&GのBB弾をおすすめしたのは、大抵のノーマルマガジンで問題なく使えるためです。

次世代M4や次世代SCAR、SYSTEMA PTW等のノーマルマガジンには、作動ストップギミックが入っているので、対応する銃本体と合わせると、弾切れになった時に作動が停止します。後述する多弾マガジンではできないので、このギミックを活用したいのであればノーマルマガジン一択になります。

また、一部のマガジンは装弾数を実銃と同じ数に制限する機能が付いています。上記の作動ストップギミックと合わせて、マガジンチェンジの醍醐味が味わえます。まあ、ひとりだけこの機能を使うとサバゲーでは不利ですが……そこはロマンというところでしょうか。

2. ゼンマイ式多弾マガジン



ゼンマイが戻る力でBB弾を押し出すタイプです。装弾数としては300~500発あたりが相場でしょうか。

このタイプはゼンマイで無理やり押し出すので、ある程度BB弾のばらつきによる給弾不良を抑えることができます。ゼンマイの力なので限度はありますが、あまり品質の良くない弾でも使用できることがあります。

一方、ゼンマイで押し出すルートに入る前の弾はマガジン内で遊んでいるので、弾が減ってくるとジャラジャラ音がしてしまいます。強く振ったりすると弾同士が当たってしまって傷がつくこともあるので、精密射撃にはあまり向いていません。
また、作動ストップギミックは通常オミットされていて、対応する銃であっても使用することはできません。

あと地味ながら面倒なのが、ゼンマイの巻き上げでしょう。大抵はマガジンボトムにギア状のダイアルが出ているので、そこを指で回しますが、結構疲れます。最近はマガジン横に六角レンチを入れて巻けるようになっていたり、マガジン底からワイヤーが出ていて、それを引っ張ることで巻けるものもあります。

多弾マガジンの最大の利点は、これ一本だけ持っていっても十分にサバゲーの1ゲームを遊びきれるところです。特に装備があまり整っていない初心者の方の場合、ノーマルマガジンを持ち運ぶ方法がありませんから、これはかなりの利点だと思います。
個人的には、初めてサバゲー用に電動ガンを買った時、一緒に1本ゼンマイ式多弾マガジンを買うことをおすすめします。

3. 電動式多弾マガジン



ゼンマイ式多弾マガジンのゼンマイをモーターで巻きあげるようにしたものです。通常は機関銃タイプの電動ガンに使用します。

このタイプはとにかく装弾数が多く、1000発を超えるものもあります。その分巨大で、構造もやや複雑になる傾向があります。

独立したスイッチが付いていて、押している間ゼンマイを巻いてくれるものがほとんどですが、一部の専用品には音感センサーで発射を検知したり、トリガーと連動させたりして、自動的に巻き上げる機能が付いているものもあります。

機関銃タイプの電動ガンには最初から付いていることが多いので、それらを使う場合にはこのマガジンのお世話になることが多いでしょう。ライフル用の電動式多弾マガジンもありますが、相当な勢いでばらまかない限りは、これほどの数を撃ち切ることはあまりありません。

ちなみに、たまにゼンマイの入っていない欠陥品があります。ゼンマイが無いとモーター停止で給弾が止まってしまい非常に使いづらいので、注意してください。

まとめ


上でも書きましたが、最初のうちはゼンマイ式の多弾マガジンをひとつ買っておくと便利です。ノーマルマガジンより少し高いくらいで購入できます。ノーマルマガジンのマガジンチェンジはすごく楽しいのですが、いかんせん4本も5本も持ち歩くには、マガジンポーチの付いたリグやプレートキャリアが必要で、マガジンと合わせると値も張るので、最初はなかなか大変です。

電動ガンを買うと大抵はノーマルマガジンが1本付いてきますから、それを撃ち切ったら多弾マガジンにチェンジする(多弾マガジンはポケットにでも入れておく)というような使い方でも十分楽しめると思います。

2016年10月24日月曜日

エアガンの紹介 - MGC P7M13

はじめに


モデルガン時代にトップメーカーをひた走り、エアガン時代にはアフターシュートガスブローバックで一時代を築いたのがMGCです。すでに倒産してしまったメーカーですが、モデルガンメーカーらしく珍しい銃をエアガンとしてモデルアップしていました。そのひとつがP7M13です。

1. P7(PSP)


P7は、Heckler & Kochがドイツ警察の制式拳銃のトライアルに向けて開発したオートマチックピストルです。H&Kは近年では非常にオーソドックスなピストルを発売し、人気を博していますが、かつては非常に特殊な機構を持った、独特のピストルばかりを発売していました。P7もそのひとつです。

P7はガスディレードブローバックという方式のオートマチックピストルです。オートマチックピストルで比較的高威力の実包を発射する場合、単に発射の反作用でそのままスライドを作動させてしまうと、高圧の発射ガスが射手に吹き付けてしまって危険なので、発射ガスの圧力が下がるほんの少しの間だけ、スライドが後退しないようになっています。
ガスディレードブローバック方式は、発射ガスをフレーム側のシリンダーに流し込んで、スライドの作動を妨げるダンパーとすることで、スライドの後退を遅延させる方式です。このタイプの作動方式を持ったオートマチックピストルはほとんどありません。そのうちのひとつがP7です。

また、P7はスクウィーズコッカーという安全装置を備えていて、グリップ前方のレバーを握り込むことでストライカーがコックされ、発射状態になります。もしレバーを離すと、ストライカーは自動的にデコックされて待機状態に戻るので、発射できない状態になります。つまり、握っていなければ発射できず、握るだけで発射可能な状態になるので、安全性と即応性が高いという特徴があります。
また、スライドストップも兼用していて、最終弾発射後ホールドオープンしたスライドは、スクウィーズコッカーを握りなおすことでリリースされます。
ただし、構造が複雑で部品点数が多くなるので、P7以外に採用されたモデルはありません。

P7はスライドの高さが低く、サイトラインも低いため、構えた手の人差し指を伸ばした先と銃口の指す先が近く、狙いやすい銃とされています。ガスディレードブローバック式でバレルが固定されていることもあって、命中精度はかなりよいものだったそうです。

2. P7M13


P7はいくつかのバリエーションが存在します。一番最初に開発されたのがPSPと呼ばれるモデルで、のちにP7と改名されました。そのマイナーチェンジバージョンがP7M8で、P7M13はそのダブルカラムモデルです。

ダブルカラムなのでグリップが太くなってしまい、若干不格好にはなりましたが、P7特有のコンパクトさと精度の高さはそのままになっています。
MGCのP7M13はこれをモデルアップしており、スクウィーズコッカーによるストライカーコック・デコック以外のメカは全てライブになっています。

MGCのP7M13は同社グロック17のメカニズムを応用していて、ハンマーを持っていません。トリガーを引くと、トリガーに連動したバルブノッカーを直接作動させて放出バルブを叩く、独特の方式になっています。これは、グロックもP7も、外装式のハンマーを持たない、ストライカー方式のピストルだったためだと思われます。ストライカー方式のピストルで、ストライカーまで再現されたエアガンは、現在に至るまで発売されていません。

ハンマーがないので、スクウィーズコッカーによるコック・デコックは再現できませんでしたが、スクウィーズコッカーはセフティとして作動するので、グリップを握っていない限り発射できなくなっています。また、ホールドオープンの解除もスクウィーズコッカーでできるようになっています。

アフターシュートガスブローバック方式なので命中精度はあまりよくありませんし、ホップアップシステムもないので射程も短いですが、作動自体は非常にしっかりとしていて、キビキビと動作してくれます。
ただ、当時のヘビーウェイト樹脂はあまり頑丈ではなく、経年劣化もあるので、何度も撃っていると貴重なスライドを割ってしまうかもしれない点には注意です。そのくらい気持ちよく動いてくれます。

スクウィーズコッカー周りが若干繊細なので、調子のいい個体は無理にいじらない方がいいでしょう。もう部品が手に入らないので、もし手に入れることができたら、大事に扱ってあげてください。

2016年10月22日土曜日

エアガンの安全な取り扱い方(ガスブローバックガン編)

はじめに


ガスブローバックガンは構造がかなり実銃に似ているので、ほぼ同様の扱い方ができます。ただ、やはり実銃とは構造が違う部分もあるので、注意が必要です。

1. 基本的な取り扱い


ガスブローバックガンは大抵の場合マガジンにパワーソースであるガスが入っているので、マガジンを取り外してしまえばもう作動しません。必ずマガジンセフティが付いているようなものです。そのため、撃たない時はマガジンを抜いておくのが基本です。

マガジン無しで弾を抜きたい場合は、スライドストップかボルトキャッチをかけた状態にして、バレルの先端からクリーニングロッドを突っ込みます。ボルトキャッチがない銃の場合は手で押さえながらやることになるので、手をはさんだりしないように気を付けましょう。

なお、撃たない場合はセーフティをオンにしたいところですが、コック&ロックセフティの場合はハンマーを起こさないかぎりセフティをオンにできません。だからといってハンマーを起こしてしまうのはまさに本末転倒なので、ハンマーダウンのままで大丈夫です。

グロックの場合は完全に再現したためにマニュアルセフティが付いていないモデルがあるので、やはりマガジンを抜いておきましょう。

2. ガスの抜き方


基本的にガスを入れっぱなしにするのはマガジンによくありません。ただし、マガジンの放出バルブを手で押して放出するのは避けてください。というのは、放出バルブのパッキンが冷えによって痛むことがあるためです。

マガジンに弾が入っていないことを確認してから、空撃ちでガスを消費するようにしましょう。

なお、メーカーによってはマガジンに微量のガスを入れて保管することが推奨されているモデルもあります。そのような場合は、ガス、できればHFC-134aを入れた状態で保管してください。この場合、日の当たる場所や暑い部屋には放置しないでください。破裂するおそれがあります。

2016年10月21日金曜日

エアガンの安全な取り扱い方(電動ガン編)

はじめに


エアガンは外見こそ銃にそっくりですが、実際のところ仕組みが全然違うので、実銃と同じように扱えばいい、というわけではありません。
ただ、基本的には「引き金を引いても弾が出ない」状態にするのが基本です。

仕組みや構造によって取り扱い方は変わってくるので、まずはそれぞれについてまとめていきましょう。

なお、最初にひとつだけ理解していただきたいのは、安全な取り扱いとは「自らが心掛け、実践する」ものであって、「誰かを糾弾し、実践させる」ものではありません。何をさておいても、この点だけはしっかりと守ってほしいと思います。

1. 基本的な取り扱い


電動ガンは実銃とは異なり、そのパワーソースと弾丸が別々に供給されます。そのため、「マガジンを抜いていても弾が出る可能性がある」ことに注意しなければなりません。

一般的な電動ガンの場合、マガジンを抜いていても、マガジンからチャンバーまでの給弾ルートにBB弾が残ることがあります。また、電子回路で常にノズルとピストンが前進した状態で停止するように制御しない限り、撃った後にチャンバーに弾が残っていることがあります(プリコックにすると確実にチャンバーに弾が残ります)。
この状態でトリガーを引くと、マガジンが無くても弾が発射されてしまいます。

なので、一番良い方法は「マガジンを抜いてから安全な方向に向けて発砲して弾を抜く」です。実銃と違ってスライドやボルトを動かしても弾を抜けないので、撃ってしまうのが確実です。
サバゲフィールドやシューティングレンジでも、フィールドアウトや射撃終了する際にはこの方法を使っているところがほとんどです。

弾を抜き終わったら、セレクターをSAFEポジションにしておきましょう。
なお、電子制御式ではSAFEポジションを発射に割り当てられるものがありますが、正直危険なのであまりお勧めはしません。

2. バッテリーの取り外し


長期にわたって使わない場合は、必ずバッテリーを取り外すようにしましょう。バッテリーが入っていなければ電動ガンは動かないので、最大の安全策です。

また、電子制御式だったり、FETが入っていたりすると、作動させていなくても電流が流れているので、バッテリーを消耗します。リチウムポリマーバッテリーでこれをやってしまうと、発火する恐れもあるので、注意してください。

3. ピストンの解放


安全性とは直接関係ないのですが、使い終わったらセミオートで一発撃ってから保管することをお勧めします。

機械スイッチ式の場合、カットオフレバーがあってもいくらかピストンがコックされた状態で停止するのですが、セミオートよりもフルオートの方が勢いが付いている分より多くコックされてしまいます。そのまま放置するとスプリングが圧縮されたままになり、テンションが落ちてしまうので、セミオートで撃って解放する、というわけです。

電子制御式でピストンが前進状態で完全停止するようになっているものは、気にしなくても構いません。一方、プリコック機能を使っている場合は、制御基板の機能を使って解放することになります。プリコック機能が付いている電子制御基板には、通常ピストン解放機能がありますが、もしも無い場合(あるいはなんらかの細工をして停止位置を変えている場合)は、分解して逆転防止ラッチを解除する必要があります。大変面倒くさいので、あまりお勧めはしません。

シア式の場合は、電源を切った状態(またはバッテリーを抜いた状態)で引き金を引くとエアーコッキングガンとして作動するので、それを活用してスプリングを解放できます。

2016年10月20日木曜日

オートマチックピストルの安全装置(その2)

つづきから


どうもこのところ実銃の話ばかりで申し訳ないのですが、安全な取り扱いをする上で実銃とエアガンの違いを理解するには、実銃の構造も知っておいた方がいいと思いますので、もう少しお付き合いください。

オートマチックピストルには、手動式のマニュアルセフティの他、自動式のオートマチックセフティもあります。
これらは落としたりひっかけたりした時に暴発するのを防ぐためのものであって、「撃ってはいけない時に引き金を引いてしまうことによる誤射」を防ぐことはできません。前回も書きましたが、「撃たなければいけない時に撃てないことを避ける」という設計が最近は多くなってきているので、その分オートマチックセフティの重要性が高くなっています。

1. オートマチックファイアリングピンブロック(AFPB)


APFBは、トリガーを引いていない時にファイアリングピンをブロックするものです。
なぜこれが必要かと言うと、シアが破壊されてハンマーがダウンした時や、落とした時の慣性でシアにハンマーがかからない程度にハンマーがコックされてしまい、そのまま落ちた時に暴発するのを防ぐためです。

AFPBは、何もしていない時に常にファイアリングピンを固定しています。トリガーを引くと内部で自動的に解除されるので、射手はAFPBの存在を気にする必要はありません。
ただ、元々AFPBが無かった銃を改良してAFPBを付けると、トリガーの感触が悪くなるので、特にマッチシューターがM1911系を使う場合は嫌われる傾向にあります。実際、Nighthawk等のマッチ用M1911には、AFPBが取り付けられていません。

AFPBはファイアリングピンに対するセフティなので、エアガンで再現されることはありません。モデルガンにはファイアリングピンがあるので、マルシンのM92Fシリーズで再現されています。

2. トリガーセフティ


セイフアクションの時に解説に出てきたトリガーセフティも、オートマチックセフティの一つです。
引っかけて発砲するのを防止するほか、例えば強く落とした時に慣性でトリガーが引かれてしまうのも防いでくれます。グロックにはマニュアルセフティが一切ありませんが、セイフアクションとトリガーセフティで、「トリガーを引かない限り弾が出ない」のを実現しています。

トリガーセフティはトイガンでももちろん再現されていて、どのメーカーのモデルでもまずライブになっています。

3. ハーフコック


M1911系のハンマーを起こすとき、途中まで起こして離しても、完全にハンマーダウンせずに、途中で止まります。この状態をハーフコックと呼び、シングルアクションが可能なオートマチックピストルには大抵この状態があります。

これは、トリガーを引いていない状態でシアが破損する等してハンマーがリリースされた時でも、途中でハンマーを止め、暴発しないようにするためのものです。また、銃によってはファイアリングピンが長すぎて、ハンマーがフルコックされていない状態からハンマーダウンすると発射してしまうものがありますが、そのような銃であっても、ハーフコック状態になることで、暴発を防いでくれます。

M1911系のガスブローバックガンはこれが採用されていて、例えば東京マルイのハイキャパシリーズは、ハンマーを手で押さえながらトリガーを引いてシアをリリース後、トリガーを離してからハンマーを押さえている手を離しても、ハンマーが途中で停止するようになっています。
ものによっては、マニュアルデコッキングができないように、手で押さえながらハンマーを下ろそうとすると、トリガーを引いていてもハーフコック状態になるモデルもあります。ガスガンは構造上マニュアルデコッキングをすると暴発するものがあるので、それを防ぐ意味でもありがたい仕組みです。

4. マガジンセフティ


S&Wの古いオートマチックピストルには、マガジンが入っていないと発砲できないものがあります。これは、マガジンが入っていない状態ではトリガーとシアのリンクが絶たれていて、マガジンを入れることでそれらが連結され、撃てるようになるというものです。

オートマチックピストルでは、マガジンを抜いていてもチャンバーに一発弾が残っていることがあります。マガジンが入っていないからといって、空撃ちのつもりで引き金を引いてしまった場合に、これで暴発させる事故がしばしば起こります。当人は空撃ちのつもりなので、マニュアルセフティは解除していますし、トリガーを引いているので上述のオートマチックセフティは全て無効になっています。そんな時でも、マガジンセフティは有効に作用して、暴発を防いでくれます。

とはいえ、最近はここまでするのは過剰だということで、マガジンセフティの付いていない機種が主流です。一部州では銃規制の一環でマガジンセフティの装備が必須とされていて、それ向けのモデルもあるのですが、元々マガジンセフティ無しで設計されているモデルに追加するのは難しのもあって、販売を行わないメーカーもあるようです。

まとめ


マニュアルセフティとオートマチックセフティの2段構えで銃は安全性を確保していますが、本質的に銃は武器なので、そもそも危険性のあるものです。そのため、ユーザーが正しい取り扱い方を身に着けていなければ、安全に使うことはできません。

とはいえ、私たちが使えるのは玩具ですし、そこまで過剰になることもありません。決まった手順を踏んで安全を確保してしまえば、楽しく遊ぶことができます。
次回はエアガンの安全な取り扱い方について、私なりの解釈をお伝えしたいと思います。

2016年10月19日水曜日

オートマチックピストルの安全装置(その1)

はじめに


グロックを紹介した時に、「マニュアルセフティが全くない実用性に割り切ったデザイン」と書きました。オートマチックピストルには通常なんらかの安全機構が備わっていて、落としたりしても暴発しないようになっています。

安全装置のうち、意識して手動で操作するものをマニュアルセフティと呼びます。マニュアルセフティには大きく2種類存在します。

1. コック&ロックセフティ


M1911系やH&KのUSP以降のピストル等に使用されているセフティです。


モデルによって少し構造が違っていて、M1911の場合はハンマーをコックした状態でトリガーとハンマーをロックするセフティになっています。ハンマーダウン状態でセフティをオンにできませんが、そもそもシングルアクションではハンマーダウン状態から発砲できないので、特に問題ありません。

一方、USP等のシングル・ダブルアクションでは、ハンマーダウン状態でもセフティをオンにできるものがあります。USPの場合は、セフティをオンにするとトリガーとハンマーのリンクが立たれ、トリガーがスカスカになります。

下記のデコッキングセフティと違って、コック&ロックセフティはオンにしてもハンマーの状態に影響を与えないので、解除すればそのままシングルアクションで発砲することができます。コッキングした状態でロックするので、「コック&ロック」と呼ばれます。

エアガンでもこのタイプのセフティはほぼ再現されていて、ガスブローバックガンのM1911は確実にこれが使用可能です。

2. デコッキングセフティ


シングル・ダブルアクションオートマチックで採用されるセフティです。
このセフティをオンにすると、ハンマーが強制的にダウンしますが、ファイアリングピンを叩かなくなるので、弾は発射されません。

ベレッタ Mod92F系のデコッキングセフティは、スライド上のレバーを下向きに回転させると、ハンマーがダウンして、トリガーとハンマーのリンクが絶たれます。そのままにしておけばどうやっても発砲できませんし、解除すればダブルアクションで発砲することができます。
このタイプのことだけを指して、マニュアルセフティと呼ぶこともあります


また、SIG P226系のデコッキングセフティは、デコッキングのみの機能を持ちます。フレーム左側のデコッキングレバーを下向きに動かすと、ハンマーがダウンしますが、デコッキングレバーはバネの力で戻ってしまいます。そのため、発砲できない状態を維持できませんが、「撃とうと思ったらセフティがかかっていて撃てなかった」という状態にならないようにするための意図的な設計です。ダブルアクションはトリガーが重いので、それがセフティになるという発想ですね。


USP以降のH&Kのオートマチックピストルは、レバーを上げるとコック&ロック、レバーを下げるとデコッキングという2段構えの設計になっています。バリエーションでコック&ロックのシングルアクションや、ダブルアクションオンリーも選べるので、全てがこのタイプというわけではありませんが、ガスブローバックガンで再現されているものはこれになります。


つづきます


マニュアルセフティは確かに安全なのですが、軍や警察で実際に命の危険がある時、あわててセフティを解除しないでトリガーを引いてしまい、発砲できない状態に陥ることが稀にあるそうです。
そのため、最近のオートマチックピストル、特にグロックやそのフォロワーのモデルの場合は、内蔵のオートマチックセフティに全て任せて、「引き金を引きさえすれば常に撃てる」ように設計することが多くなってきました。次回はそのあたりについて書きたいと思います。

2016年10月18日火曜日

オートマチックピストルのトリガーシステム(その2)

つづきから


一部メーカーが採用されている特殊な方式には、「ダブルアクションの安全性」と「シングルアクションのトリガープル」を両立したものがあります。

4. セイフアクション(変則セミダブルアクション)


グロック及びそのフォロワーのモデルに採用されている方式です。全てハンマーを使わず、ストライカー方式になっています。グロックで初めて採用され、特許が取られていましたが、特許切れに伴い同じ方式を採用したピストルが各社から発売されています。

この方式はスライドを引いただけではストライカーが完全にコックされません。その状態で万が一シアが外れても、打撃力が足りないので発砲できません。トリガーを引いていくと、ストライカーの残りの分がコックされ、引き切るとシアが外れてレットオフする仕組みです。

この方式ではストライカーは完全ではないとはいえコックされているので、トリガープルは軽くなっています。そのままだとトリガーを引っかけて発砲してしまうことがあるので、グロックではトリガーセフティというオートマチックセフティが装備されています。これは、トリガーの中央に小さいトリガーのようなものがあり、これと一緒にトリガーを引かない限り、フレームにひっかかってトリガーを引き切れなくなっています。
セイフアクションを採用した他社のピストルも、大抵は似たようなセフティが装備されています。

エアガンでセイフアクションを再現したものはありません。というのも、ガスガンの場合はマガジンの放出バルブを叩かなければならないので、ストライカー式の銃もハンマー内装式にアレンジされているためです。
もし、トイガンでセイフアクションを味わいたいならば、タナカが発売しているモデルガンのグロックがこの方式を再現しています。

5. LEMトリガー


H&KのP2000で選択できるトリガーシステムです。

このトリガーシステムでは、見かけ上ハンマーをコックしてもすぐに戻ってしまい、一見ダブルアクションのように見えます。しかし実際は、ハンマーは上下に分割されていて、下側のハンマー(シアにかかってる部分だけ)はコックされた状態です。
トリガーを引くと、連動して上部ハンマーがコックされます。上部ハンマーにはハンマーが戻る程度のスプリング圧しかかかっていないので非常に軽くトリガーを引くことができます。

コンベンショナルなオートマチックピストルの形をしつつ、セイフアクション同様のトリガープルを再現できる面白い仕組みです。

これも残念ながらエアガンには存在しません。モデルガンにもないので、体験するには海外で実銃射撃をするしかありません。

まとめ


今回は実銃についての話題でしたが、なぜこんな話をしたのかというと、これらのトリガーシステムが銃に付けられているセフティ機能と大きくかかわってくるからです。
解説中でも少し出しましたが、細かい話は次回以降書いていこうと思います。

2016年10月17日月曜日

オートマチックピストルのトリガーシステム(その1)

はじめに


グロックを紹介した時に、「マニュアルセフティが全くない実用性に割り切ったデザイン」と書きました。実はグロックピストルはマニュアルセフティが無くても、落下や衝撃を与えた時に暴発しない仕組みを備えるため、やや特殊なトリガーシステムを備えています。

グロックは特殊な例ですが、オートマチックピストルには、他にもいくつかのメジャーなトリガーシステムがあります。

1. シングルアクションオンリー


ハンマーをコックした状態からしか発砲できない方式です。とはいえ、オートマチックの場合は一発撃てば次は自動的にハンマーが起きた状態にすることができますし、初弾を装填した時にハンマーがコックされるので、その点は問題にはなりません。

この方式は、あらかじめハンマーがコックされているのでトリガーはシアを解除するだけでよく、トリガープルを非常に軽くできるのがメリットです。軽いトリガーの場合、トリガーを引いても狙いがずれにくいので、高精度の銃にすることができます。
一方、トリガーが軽いため、うっかり引っかけてトリガーを引いたりしないように、なんらかのセフティが必要です。

このタイプのトリガーシステムで最も有名なのが、M1911及びそのバリエーションモデルです。M1911の場合は、グリップセフティとサムセフティの2つのセフティを持っていて、サムセフティがかかっていればトリガーは動きませんし、仮にサムセフティを解除しても、グリップをしっかり握り込んでグリップセフティを解除しなければ撃てないようになっています。


一方、そのM1911を参考に徹底した省コスト化を図ったのがあのトカレフピストル、TT-33です。トカレフピストルはセフティも省略されているので、チャンバーに初弾を装填したままうっかり落としたりすると、暴発を起こすことがあります。当時は撃つ直前まで装填をしないルールだったのでこれでも問題なかったということです。

2. ダブルアクションオンリー


ハンマーは常にダウン状態で、トリガーを引くと連動してハンマーが起こされ、引き切ることでハンマーがレットオフされる方式です。手でハンマーを起こして、シングルアクションにすることはできません。

この方式はトリガープルが重く、狙いがぶれやすいという弱点があります。一方、トリガープルが重いおかげで、うっかりトリガーを引き切ってしまうことはまずありません。そのため、マニュアルセフティがなくても十分安全な銃にすることができます。

マニュアルセフティが不要と言うことは、余計なレバー類が外側に出ていないので、隠し持っていても引き抜くときに引っかかりにくいため、コンパクトなオートマチックピストルによく採用されています。

今回はオートマチックピストルの解説ですが、リボルバーもダブルアクションオンリーのものが結構あります。リボルバーは発射してもハンマーがコックされないので、マニュアルセフティが付いている銃は稀です。

エアガンにおいては、ガスブローバックガンには今のところこのタイプはありません。リボルバーを含む固定ガスガンでハンマー内装式の場合、ダブルアクションオンリーになっていることがあります。例えば、マルゼンのP99フィクスドスライドはダブルアクションオンリーですが、独特な構造でトリガープルがなめらかなので、快適に使うことが出来ます。

3. シングル・ダブルアクション


両方のモードを使用できる方式です。ハンマーダウンからトリガーを引けばダブルアクションですし、手でハンマーを起こしてシングルアクションにすることもできます。

このタイプのオートマチックピストルは多く、米軍が採用しているU.S. Pistol M9/M9A1やその元となったベレッタ Mod92FS、H&K USPやHK45、SIG P226及びそのバリエーションなど、多岐に渡ります。


これらのオートマチックピストルには、大抵の場合、コックされたハンマーを安全にダウンさせるためのデコッキング機能が付加されています。デコッキングをしておくと、トリガーがダブルアクション状態に戻るので、マニュアルセフティを解除しても安全に持ち運ぶことができ、トリガーを引けばそのまま発砲できます。

ただ、Cz75のようにデコッキング機能のないシングル・ダブルアクションオートマチックもあります。このようなモデルでダブルアクションを使うには、手でハンマーをしっかり押さえながらトリガーを引き、そっとダウンさせる必要があります。この操作をマニュアルデコッキングと呼びますが、正直なところ危険な操作なので、あまり推奨されてはいないようです。

ちなみに、マニュアルデコッキングをガスブローバックガンで行うと、方式によっては暴発しますので、やらないようにしてください。

つづきます


コンベンショナルな方式は上記3種類ですが、この他に特殊な方式がいくつかあります。特殊とはいえその中には現代では主流となっている方式がありますので、次回解説したいと思います。

2016年10月15日土曜日

オートマチックピストルのグリップアングル

ちょっとしたコラムです


オートマチックピストルのグリップアングルには、実は大きく分けて2種類があることをご存じでしょうか。

100年以上前に開発されたU.S. Pistol M1911、いわゆるコルトガバメントですが、現代に至るまで45口径オートマチックピストルのマスターピースとして、延々使われています。軍用でもまだ特殊部隊で使われていますし、警察官の装備から一般人のシューティング用まで、広く普及しています。

一方、30年ほど前に開発されたグロック17は、軽量なポリマーフレームとシンプルな操作性で、今ではすっかり現代オートマチックピストルの代名詞となりました。特許が切れた今では、様々な企業がグロックピストルの設計を参考にしたポリマーフレームとストライカーを採用したオートマチックピストルを開発・販売しています。

これら2つのピストルですが、実はグロックのグリップは、M1911のグリップに比べて、ほんの少し寝ています。これは、発砲した時にフリンチング……リコイルを恐れて下向きに力をかけてしまうことで狙いを外すことに対する対策として、グリップの下部を膨らませたことによるものなのですが、M1911が約118°、グロックが約109°と、10°にも満たないわずかな差ではあるものの、とっさに構えた時、サイティングのずれとして現れてきます。

例えば、M1911に親しんだ人がグロックを使用すると、ほんの少し上を狙ってしまいます。逆に、グロックに慣れた人がM1911を使うと、ほんの少し下を狙ってしまうことになります。
この現象が起きると、シューティングではスコアが落ちますし、何より軍や警察でいざという時に狙いを外してしまう可能性が出てきます。

そのため、グロックピストルには、サードパーティからこのグリップ角度を補正するパーツが発売されています。Grip Force Adapterと呼ばれるこのパーツを使うと、グリップ後部のえぐれている部分を少し埋めることで、グリップの角度を補正してくれます。

グロックのフォロワーである各社のポリマーフレームオートは、大抵がグロックと同じグリップアングルを持ちます。これらに対する補正パーツは今のところ発売されていないようですが、グリップのバックストラップを交換可能なものが多く、それによっていくらか補正することができます。有名どころでは、S&W M&Pシリーズがそのような仕組みになっています。

ピストルのグリップアングルに関しては慣れと好みの問題なので、好きに選んでもらってよいのですが、使いたいと思った銃の角度が自分に合わないことがある、ということは理解しておくといいでしょう。

2016年10月14日金曜日

エアガンの紹介 - 東京マルイ グロック17

はじめに


ハイキャパと並んで東京マルイのガスブローバックハンドガンで人気があるのが、グロックシリーズです。
グロックはポリマー製のフレームに箱型のスライドという色気のない外見に、マニュアルセフティが全くない実用性に割り切ったデザインで、発売当初はいろいろと言われてしましたが、その安定した作動性と装弾数の多さ、軽量さでたちまち人気の銃となってしまいました。現在発売されているストライカー式のポリマーフレームオートマチックは、ほとんどがグロックそっくりの構造をしています。

東京マルイのグロックも実銃と同じように、高い実用性を備えています。

1. グロック17



最も基本となるモデルが、9x19mm弾を使用するフルサイズセミオートマチックのグロック17です。実はガスブローバックでは、2番目に発売されたモデルです。

ハイキャパがどちらかといえば強めの重いリコイルを持っていたのに対して、グロックは軽量なスライドを高速に動作させて、軽快なリコイルを発生させています。リコイルそのものは比較的軽い部類なので、コントロールしやすく、狙いやすい銃になっています。
命中精度はかなり良く、リコイルが軽いことも相まって、さくさく当てることができます。

内部構造は実銃と違ってシングルアクションのインナーハンマー方式になっています。マニュアルセフティはフレーム前方のシリアルナンバープレートにありますが、正直使いにくいものです。元々撃たない時はマガジンを入れないのが鉄則ですし、フィールド内ではトリガーセフティで十分なので、あまり使うこともないでしょう。

この銃もカスタムパーツが豊富で、サードパーティ製のパーツで一丁組み上げることができます。発射に関連するパーツがユニット化されているので、ハイキャパよりも初心者向きです。特に、GUARDERのナイロンファイバー製のフレームは質感がよく、比較的安価にドレスアップできるのでおすすめです。

東京マルイのグロックシリーズは実銃よりもほんの少しフレームの幅が広いため、実銃のグロック17用のホルスターには入らないことがあります。その場合は、.45ACPモデルであるグロック21用のホルスターが適合することが多いようです。

2. バリエーション


グロックは実銃でもバリエーションが非常に多く、そのうちのいくつかはエアガンでも発売されています。

先に「グロック17は2番目に発売された」と書きましたが、最初に発売されたモデルがグロック26です。グロック17を小型化したサブコンパクトモデルです。


中身はほとんどグロック17と同じですが、インナーハンマーのコックとトリガー位置が連動していないため、ハンマーダウン時でもトリガーが前進した状態になります。これはグロック17のパーツを入れると同じ仕様にすることができます。

グロック26のグリップとスライドを延長したグロック26アドバンスというモデルもあります。架空のデザインなのですが、グロック26はスライドストロークが短く作動が速いので、あえてこちらを好む方もいます。


同じく架空のモデルですが、グロック17カスタムというものもあります。


アウターバレルの先端付近にマグナポートという発射炎を逃がす穴をあけ、その分スライドを切り欠いたモデルです。標準でサムレストとマグウェルが装備され、付属のマガジンにもマグバンパーが取り付けられています。

グロック17のセレクティブファイアモデルがグロック18Cです。スライド上にセレクターがあり、切り替えることでフルオート射撃ができます。


東京マルイのグロックは元々作動スピードに振った調整がされていて、グロック18Cはそれをさらに高速化しているので、フルオート射撃では秒間20発以上の連射速度を持ちます。夏場に撃つとスライドが割れかねないので、気を付けて撃つようにしてください。作動が高速なので、シューティングにも向いています。
内部パーツはグロック17とは互換性がありません。フルオート作動用にフルオートシアーが入っているので、スライド閉鎖時にクリック感があります。
また、ブローバックハウジングの高さがグロック17よりも低いため、ドットサイトを載せられるカスタムスライドの場合、こちらを使うことがあります。

グロック17には競技用のロングバレルモデルがあります。それがグロック34です。


元々グロック17Lというもっと長いモデルがあったのですが、IPDAという競技のレギュレーションに合致しないため、少しだけ短くされたモデルです。 エアガンではインナーバレルを長くできるので、グロック17よりも初速と命中精度が高くなっています。

最近発売された最も新しいモデルがグロック22です。.40S&Wを使用するグロックで、エアガン的にはグロック17の刻印違いです。


…と、思いきや、スライドとバレルが新造されていて、ちゃんと.40S&Wのサイズになっています。また、アウターバレルのチャンバー部の削れ防止がされているなど、最新作にふさわしい細かいマイナーチェンジがされています。
マガジンはグロック17のものが使えますが、専用の.40S&W形状のものもあります。マガジンキャッチのかかる溝が両側に切られていて、第4世代グロックのマガジンキャッチ切り替え機能に対応しています。第4世代グロックはまだマルイからモデルアップされていないのですが、これはもしかすると近いうちに発売されるのかもしれませんね。

 

2016年10月13日木曜日

M4カービンのカスタム - グリップ編

はじめに


銃前方のマズルデバイスとハンドガード、後方のストックと来れば、残るは銃の中央付近です。グリップは銃を正確にコントロールするために非常に重要な部品なので、ストック以上に使い手の好みが出る部品です。

これもやはりエアガンには実銃とは異なるものが使用されています。

1. 電動ガン用グリップ(マルイ規格)



マルイのスタンダード電動ガンとその互換機、及び次世代電動ガンのグリップがこれになります。KSCのERGシリーズも、スタンダード電動ガンの互換機をベースにギミックを追加したものなので、このタイプのグリップを使用します。

電動ガンのM4カービンの場合、グリップにモーターが格納されることになります。そのため、実銃よりもかなり太いグリップになっています。最近の製品は形状を工夫して太さを感じさせないように努力していますが、持ち比べるとかなりの差を感じます。

このタイプのグリップは、グリップの内側からメカボックスに対してネジ止めします。通常は2本のネジで固定しますが、海外の一部製品では4本のネジのものもあるようです。

モーターが入るため、グリップの角度はメカボックスの設計に依存します。そのため、BCMのGunfighter Gripや、HK416のような、角度の立ったグリップの電動ガン用は、内部でモーターがオフセットしています。

低品質のグリップを使うと、モーターの角度が不安定になったり、本来の設計とは異なる角度になったりして、ギアノイズが悪化したり、異常発熱したりすることがあります。
このように、電動ガンのグリップ交換は案外面倒なものだったりします。

2. 電動ガン用グリップ(SYSTEMA PTW規格)


SYSTEMA PTWはグリップの厚さを実銃と同じサイズにするため、特殊なモーターを使用しています。そのため、グリップも専用品を使います。

PTWのグリップは、レシーバーには直接固定されていません。グリップはモーターにかぶさる形で取り付けられ、モーターエンドのネジ穴に底板を介して固定される形になります。つまり、PTWのグリップは、モーターに直接固定されている状態です。

一部の実銃用のグリップは、内部を削り込むことで使用することができますが、モーターにグリップを固定する関係上、握り込むことでどうしてもモーターに負担をかけてしまいます。実銃用を加工したグリップの場合、純正よりも精度で劣るため、モーターへの負荷は確実に大きくなります。あまり多用しないのであればともかく、サバゲーでバリバリ使う場合は、純正グリップか、G&P等から発売されている専用品を使用した方がよいでしょう。

3. ガスブローバックガン用グリップ



ガスブローバックガンの場合、作動にグリップは関係ないため、実銃用のグリップを使用することができます。マルイMWS、WA、KSC、VFC、WE等、ほとんどのメーカーで同じ製品を使うことができます。

但し、WA用のサードパーティ製レシーバーを使う場合は注意が必要です。PrimeやIRON等のリアルサイズレシーバーと呼ばれるものは、実包が撃てないようになっていることを除いて、内部構造も実銃そっくりに再現しています。WA純正のロアーレシーバーはセレクターにクリック感を与えるプランジャーがセレクター後ろ側にある内部のシャーシから出ていますが、これらのリアルサイズレシーバーはセレクタープランジャーがセレクターの下側から出ており、スプリングがグリップに収まるようになっています。WA用と銘打たれているグリップは、プランジャースプリングが入る穴がないため、これらのレシーバーはWA用のグリップは使用できません。基本的に実銃用のグリップを流用する形になります。
ちなみに、プランジャーの位置が違うのでセレクターの互換性もありません。大抵はレシーバーを買うと付いてきますが、付いてこなかった場合は別途購入する必要があります。

ガスブローバックガンの場合、グリップはその内側からレシーバーに直接ネジで固定されます。角度も関係ないので、角度の立ったグリップもそのまま使用できます。

外見上、一番グリップの融通が利くのがガスブローバックガンです。

まとめ


グリップは本当に好みが出るものなので、なるべく好きなものを使ってほしいのですが、電動ガンの場合は選択を誤ると銃にダメージを与えることがあるのが難点です。できるだけ信頼のおけるきちんとしたメーカー品を買うことをおすすめします。

実銃のAR15の世界では、最近角度の立ったグリップが流行りのため、取り付けたいという方も多いかもしれません。残念ながら電動ガンではそれができるものは少なく、一部の専用品を使うか、PTWの場合は実銃用を加工するか(しかも全てではありませんし、加工は極めて難しい部類に入ります)しかありません。

夏場限定になってしまいますが、そういう好みに合わせたセットアップを楽しむために、ガスブローバックM4を買うのもいいかもしれませんね。

2016年10月12日水曜日

M4カービンのカスタム - バッファーチューブ編(その2)

つづきから


では、残りを紹介してしまいましょう。

3. ガスブローバックガン用バッファーチューブ


ガスブローバックガンのバッファーチューブは、そもそも機能が実銃と同じなので、構造や取り付け方法も実銃と同じです。
ただし、メーカーによってネジの寸法が異なっているので、注意する必要があります。

3.1 実銃規格


読んで字のごとく、実物のバッファーチューブと互換性のあるサイズです。
WA、2015年モデル以降のVFC、WEはこの規格です。

3.2 初期VFCサイズ


VFCの初期のモデルはややチューブが細く、ミリネジになっているため、実物のバッファーチューブは使用できません。

3.3 KSCサイズ


M31×P1.5のネジを使用したチューブです。やはり実物のバッファーチューブは使用できません。
KSCは初期型と現行型で寸法の違う場所が多く、バッファーチューブもネジのピッチは同じものの、互換性が無いようです。サードパーティ製の部品もないので、純正品をそのまま使うことになります。

3.4 マルイMWSサイズ


マルイのM4 MWSも実物のバッファーチューブとは互換性がありません。ネジ部がやや細く、併せてレシーバーのネジ穴も狭いため、交換するにはリタップが必要です。
いくつか互換性のあるサードパーティ製の部品が発売されているので、交換する場合はそちらを使います。

4. SYSTEMA PTW用バッファーチューブ


SYSTEMA PTWには、ネジという意味では実物のバッファーチューブがそのまま取り付けられます。しかし、配線の逃がしがないため、実際は使用できません。加工が必要です。
実物バッファーチューブに変更する場合、バッテリーの格納には要注意です。後ろから交換できなくなってしまうので、テイクダウンしてのバッテリー交換になりますし、配線の引き直しも必要になります。チューブの後ろを切り落とす手もありますが、強度が落ちるので、止めた方がいいでしょう。

まとめ


エアガン特有の構造の違いで、各社互換性が無い状態です。ストックを交換するだけならチューブを交換する必要もないのですが、質感が気に入らないとか、バッテリーが入らないとかの理由で交換する場合は、自分の持っているロアーレシーバーにきちんと対応しているかどうかを確認してから購入するようにしてください。
特に、MAGPUL UBR等の専用チューブを必要とするものの場合は、対応した製品が発売されていない限り使用することはできません。

2016年10月11日火曜日

M4カービンのカスタム - バッファーチューブ編(その1)

つづきから


バッファーチューブは伸縮ストックの取り付けに使う重要なパーツですが、実はエアガンのメーカーと機種によって互換性が大きく異なる場所でもあります。
原則として、「スタンダード電動ガン」「次世代電動ガン」「ガスブローバックガン」「SYSTEMA PTW」で違っていて、その中でもスタンダード電動ガンとガスブローバックガンはメーカーによって規格が違っていたりします。

1. スタンダード電動ガン用バッファーチューブ



スタンダード電動ガン用のバッファーチューブは実銃とは全く違う構造をしています。本来、バッファーチューブはレシーバーにねじ込まれるようになっているので、ロアーレシーバーのバッファーチューブが取り付けられる部分には穴が開いていますが、スタンダード電動ガンの場合は、ここにリブの立ったパイプ状のものが付いています。下のAmazonのページにある写真を見るとよくわかります。



スタンダード電動ガン用のバッファーチューブにはこのパイプがピタッとはまりこむようになっていて、これが回転止めになります。
ただ、これだけだと抜けてしまうので、バッファーチューブの後ろから長めのネジを入れて、メカボックスに固定します。

したがって、スタンダード電動ガンのバッファーチューブは、「必ず後端が開放されている(蓋が付いていることもある)」「メカボックスが無ければ固定できない」という直腸があります。

バッファーチューブのガイドになるレシーバー後部のパイプですが、ロアーレシーバーのメーカーによって長さが異なり、そのためパーツ互換性がないことがあります。もし長すぎて取り付けられない場合は、パイプを少し切り落として短くする必要があります。通常は加工しても特に問題はありません。

2. 次世代電動ガン M4シリーズ用バッファーチューブ



次世代電動ガン用のバッファーチューブは実銃用に似ていますが完全に専用品で、他のエアガンとの互換性はありません。純正を使っていればいいので、ある意味一番楽な規格かもしれません。
固定方法も実銃と同じで、ロアーレシーバーにねじ込んでから、キャッスルナットを締め付けてレシーバーにつっぱらせることで固定します。逆に言うと、分解組み立てには専用の工具が必要です。

ギミックの関係上、バッファーチューブに大きな負荷がかかるため、特にバッファーチューブとレシーバーを結合するネジにガタが出やすいのが弱点です。それを防ぐため、ネジロックが大量に塗布されていますが、使っているうちに緩んでいくことがあるので、時々点検するようにしてください。特に、亜鉛ダイキャスト製のキャッスルナットに注意しましょう。


残りはガスブローバックガンとSYSTEMA PTWなのですが、これらは比較的ややこしく、長くなりそうなので、次回としましょう。

2016年10月10日月曜日

M4カービンのカスタム - ストック編

はじめに


マズルデバイスと合わせて、銃全体のシルエットに大きく影響を与えるパーツがストックです。

1. 固定ストック



オリジナルのAR-15、つまりM16で採用されているものが固定ストックです。M16A1までに使用されているA1 lengthと、M16A2以降に使用されているA2 lengthの2種類があります。
固定ストックはレシーバーにがっちり取り付けられるため、ガタツキが無く、精度の高い射撃を行うのに向いています。一方、寸法の融通がきかず、また重量もあるため、ボディーアーマーを使用した近代的な戦闘ではあまり使われていないようです。一部の狙撃用ストックでは、バットプレートを伸縮式にすることで、微調整が可能なようになってはいますが、あくまでも微調整用で、伸縮ストックほどの柔軟性はありません。

電動ガンに使用する場合、固定ストックを使うとその内部にバッテリーを格納できます。スペースが広いので、大容量のバッテリーを使用できますし、ニッケル系のバッテリーも余裕を持って使用できるのがメリットです。
最近はオリジナルの台形のストックの他、MAGPULやVLTOR、Rock River Arms等が独自の形状のストックをリリースしています。特にVLTORとRock River Armsの固定ストックは同社の伸縮ストックに近い形状をしていて、軽量に作られています。

面白い製品として、Battle Arms DevelopmentのLightweight Stockがあります。これは、後述する伸縮ストック用のバッファーチューブの後端に取り付けるもので、バッファーチューブ自体に直接バットプレートを取り付けてストックにしてしまうものです。使い勝手はあまりよくありませんが、非常に軽量で見た目も面白い製品です。

2. 伸縮ストック



AR-15カービンに使用するには固定ストックは長すぎるため、伸縮ストックが採用されています。
ごく初期のものは固定ストックを短く切って、伸縮ギミックを入れたようなものでしたが、その後は短縮化したバッファーチューブにかぶせるタイプのものとなりました。現在発売されている伸縮ストックも、形状こそ違うものの、基本的な使い方は全て同じです。

伸縮ストックには対応するバッファーチューブに合わせて2種類存在します。

2.1 ミリタリーストック


軍用のM4カービンと同じ寸法のバッファーチューブ(ミリタリーチューブ)に対応するストックです。M4用ストックと言えば大抵はこのサイズです。

エアガンとしては、ほぼ全ての電動ガン、ガスブローバックガンがこの寸法です。したがって、実銃用の伸縮ストックをそのまま取り付けることができます。

2.2 コマーシャルストック


民間向けのバッファーチューブ(コマーシャルチューブ)に対応するストックです。コマーシャルチューブは、軍用のストックが入らないようにやや大きく作られています。
最近はストックに互換性を持たせない理由が特にないとされたのか、コマーシャルチューブ対応のストックは少なくなってきています。

エアガンではSYSTEMA PTWのチューブ後方が開放されている旧型のバッファーチューブ、VFCの旧型HK416電動ガンのバッファーチューブがこの寸法です。PTWの新型バッファーチューブはミリタリーストック対応なので注意してください。

3. PDWストック



伸縮ストックではあるのですが、小型化のために特殊なバッファーチューブを使用したタイプがこれです。
ショートバレルドライフル(SBR)に使用することが多く、ものによってはボルトキャリアを含めて専用品を使用することがあります。

実銃としては、H&K HK416C、TROY M7A1(新型)に使用されているものがこのPDWストックです。これら2機種はボルトキャリアもバッファー一体型の専用品を使用します。
また、Battle Arms DevelopmentのVERT STOCK SYSTEMもPDWストックですが、これはバッファーを専用品にすることでボルトキャリアは通常のものが使用できます。

エアガンとしては、HK416Cが東京マルイとVFCから発売されています。また、VERTはIRON Airsoftが電動ガン用とガスブローバックガン用にそれぞれレプリカを発売しています。


ところで、バッファーチューブ自体は取り外しが可能なので、固定ストックだったものを伸縮ストックにしたり、伸縮ストックだったものを固定ストックにしたり、といったことができます。ただ、例によってこのバッファーチューブ自体も実銃とトイガンで規格が違っているのが悩みどころです。

次回はそのあたりについてまとめてみようと思います。

2016年10月8日土曜日

M4カービンのカスタム - マズルスレッド編

はじめに


前回マズルデバイスについて書いたのですが、取り付け方法については特になにも触れませんでした。
マズルデバイスを取り付けるネジをマズルスレッドと呼ぶのですが、実はバレルナットと同じで、この部分も実銃とエアガンで違っている部分のひとつです。また、メーカーによっても異なっていたりします。
今回はこれをまとめてみました。

1. M14×P1.0 逆ネジ


電動ガンのマズルスレッドで最も多いのがこのM14逆ネジです。M14逆ネジとか、M14CCW(Counter-Clockwise)とも呼ばれます。
普通のネジは時計回りに回すと締まりますが、このネジは逆ネジなので、反時計回りに回すことで締まります。それ以外は普通のネジです。

東京マルイの電動ガンのうち、マズルデバイスが取り外せるものはほぼ確実にこの規格です。KSCのERGシリーズも逆ネジになっています(HK33シリーズは後述の正ネジです)。
ガスブローバックガンだと、東京マルイ、KSC、VFC、WEが逆ネジです。WEは一部正ネジが混ざっているとも聞きますが……。

2. M14×P1.0 正ネジ


逆ネジがあれば正ネジもあります。M14正ネジとか、M14CW(Clockwise)とも呼ばれます。

G&Pの電動ガンは基本的に正ネジです。また、SYSTEMA PTWも純正アウターバレルは正ネジ仕様です。
ガスブローバックガンだと、WA、G&Pが該当します。

3. 1/2inch-28tpi


実銃のAR-15で最も多く使われているマズルスレッドです。必然的に、リアルさを重視したトイガンで使われるものです。ちなみに正ネジです。

純正でこのネジになっているものはほとんどありません。VIPER-TechのガスブローバックM4がこの仕様になっているくらいでしょうか。
ただ、WAのガスブローバックM4やSYSTEMA PTW用のサードパーティ製アウターバレルには、このネジになっているものがあります。物によってはマズルスレッドが交換式になっていて、インチネジとM14ネジの切り替えができるものもあります。


正直なところマズルスレッドは対応しているマズルデバイスさえあればどれでも構わないのですが、ひとつだけ気にするべきことがあります。

サウンドサプレッサーやブラストシールドには、QDタイプと言って、フラッシュハイダーやコンペンセイターの上にそのままかぶせられるようになっているものがあります。固定方法はいくつかあるのですが、その中でもネジ式のものが問題です。フラッシュハイダーのネジとそれにかぶせるサウンドサプレッサーのネジが逆だと、サウンドサプレッサーを取り付ける時にフラッシュハイダーが取れてしまうのです。
単純にとれるだけならまだしも、イモネジで固定されていたりすると、無理に回してネジを壊してしまうこともあります。

QDタイプのネジ式サプレッサーは正ネジであることがほとんどなので、そのタイプのサウンドサプレッサーを使いたい場合は、できればその下のマズルデバイスも正ネジにした方がいいでしょう。もし逆ネジのモデルに取り付ける場合は、アウターバレルの交換となってしまうので面倒なのですが…。

2016年10月7日金曜日

M4カービンのカスタム - マズルデバイス編(その2)

つづきから


続きです。マズルブレーキとサウンドサプレッサーについて解説します。

3. マズルブレーキ


 

M16ライフルやM4カービンのような小口径銃では反動もそれほど大きくありませんが、対物ライフルのような大口径銃になると、一発の反動がとても大きく、射手の肩を痛めてしまったりします。
例えば、実用的な狩猟用実包の中で最強クラスの威力を誇る.460Wetherby Magnumはとてつもなく反動が強く、マズルデバイスの無い猟銃からの射撃は、慣れている人でも数発が限界とされるくらいのリコイルを発生させます。軍用対物ライフルの実包はこれを超えるパワーを持つので、とてもなんらかの対策なしで撃てる代物ではありません。

そこで、コンペンセイターと同じように発射ガスを使用して反動を抑えるものがマズルブレーキです。コンペンセイターとの違いは、あちらが跳ね上がりを抑えることを主な目的としているのに対して、マズルブレーキは後ろ向きの反動を抑えることを主な目的としている点です。
マズルブレーキは、ほんの少し斜め後ろに発射ガスを噴き出させることで、反動を抑えます。戦車砲の砲口にT字のパーツが取り付けられているのを見たことがあるかもしれませんが、あれもマズルブレーキです。
ただし、コンペンセイターよりもさらに強烈に発射ガスを噴き出させるので、周囲の砂埃などをまき散らしてしまう欠点もあります。

基本的には大口径のライフルに取り付けられることが多いですが、AR-15でもロングレンジシューティング用にセッティングされたものには取り付けられることがあります。
大型のマズルブレーキが取り付けられたBarrett M82A1は、.50BMGという超強力な実包を使用しつつ、その重量とマズルブレーキの効果によって、立射で連発できるほどリコイルが軽減されています。

4. サウンドサプレッサー


 

言わずと知れた「サイレンサー」です。実際は無音まではいかないので、「サウンドサプレッサー」と呼ばれます。

サプレッサーは銃口から噴き出した発射ガスを内部のバッフルと呼ばれる空洞で拡散させ、低速にすることで、発射音を小さくします。発射ガスが低速になるので反動も軽減されますし、発射炎もサプレッサー内部で消えてしまうので、炎も目立ちません。

いいことづくめのようですが、当然ながら反動抑制効果はほとんどなくなってしまいます。
また、サプレッサーは内部で高温の発射ガスを受け止めるため劣化しやすく、数十発の射撃で内部パーツの交換が必要になります。

サプレッサーの工作精度や取り付け精度が低い場合、銃口から発射された弾丸がサプレッサーの内部に衝突する「バッフルストライク」という現象が発生することがあります。これは非常に危険なのですが、弾丸が通る穴を大きくすると消音効果が落ちてしまうので、高性能なサウンドサプレッサーは非常に高価です。

さらに、サプレッサーを使用するとバレル内の圧力が高くなる傾向があります。ガス圧駆動式の銃の場合は、作動に悪影響が出ることがあります。サプレッサーの取り付けを前提としたAR-15の場合は、ガスシステムが切り替え式になっていて、機関部に流入するガスの量を減らすことができるようになっているものもあります。

まとめ


当然ながらエアガンの場合、サウンドサプレッサー以外は外見が変わるだけです。しかし、その銃が使われるシチュエーションを想定してマズルデバイスを選択すると、エアガンといえどもそこに説得力が生まれます。

最終的にはもちろん好みなのですが、自分で設定を考えて選んでいくと、全体として統一感が生まれますし、「なるほど!」という納得感のあるセットアップになること間違いありません。そのためにも、実銃のパーツがどういう仕組みでどう働くのか、というのを知っておくことは、とても役に立つことだと思います。


2016年10月6日木曜日

M4カービンのカスタム - マズルデバイス編(その1)

はじめに


ハンドガードとバレルナットについて解説したので、このままM4カービン(AR-15ライフル)にいくつかあるネジ関連部品について書いてみたいと思います。
次はマズルデバイスです。

マズルデバイスは銃口に取り付ける部品のことで、いくつかの目的ごとに名前が付いています。ただ、あくまでもメインの目的が何かによって分類されているだけで、他の種類の機能を持たないというわけではないことに注意してください。

1. フラッシュハイダー



軍用ライフルによく使われる部品がこのフラッシュハイダーです。名前の通り、発射時のフラッシュ、すなわち閃光を抑制します。日本語では消炎器と呼びます。

軍用ライフルの場合、射撃時に相手に見つからないことがとても重要です。発射炎が赤々と輝いてしまっては、自分はここにいるぞと教えているようなものです。また、暗い場所で射撃する場合に、射手が発射の閃光をまともに見てしまうと、せっかく暗闇に慣れた目を眩ませてしまったりします。
フラッシュハイダーは、その内部で発射ガスを燃焼させ、炎を閉じ込めることで、発射炎が大きく広がることを防ぎます。

銃身長が短いカービンの場合、未燃焼のガスがより多く発生するので、フラッシュハイダーの重要性もより増します。初期のM16カービンは当初フルサイズのM16ライフルと同じフラッシュハイダーを使用していましたが、この大きな発射炎が問題となり、モデルチェンジするにしたがって、フラッシュハイダーも巨大化していくことになりました。

近年のフラッシュハイダーは性能も向上したので、比較的小型で十分な性能を持っています。M16A4とM4A1はバレル長が違いますが、全く同じフラッシュハイダーを使用しています。

2. コンペンセイター



ライフルを構えて撃つと、射手の手と肩を支点として跳ね上がるような動きをします。銃が完全なパイプ状であればまっすぐ後退するだけですが、実際はバレルが重心よりも上にあるので、それに合わせて反動が回転運動になってしまうためです。
コンペンセイターは、発射ガスをあえて噴き出させることで、その回転運動を抑えて、銃の跳ね上がりを抑制します。

コンペンセイターを使用すると発射時の銃のブレが少なくなるので、素早く精密な射撃がしやすくなります。そのため、スピードシューティング系のマッチライフルに採用されることが多いマズルデバイスです。
一方、派手にガスを噴出させることから、発射炎が大きくなる傾向があるため、あまり軍用ライフルで採用されることはありません。

最近はブラストシールドというパーツも販売されていて、これを対応したコンペンセイターにワンタッチで取り付けることで発射炎を抑えられるような設計になっているものもあります。コンペンセイターとしての性能は落ちますが、場合によって切り替えられるのが最大のメリットです。
あと、かっこいいというのもありますね。

つづきます


長くなってしまったので次回に続きます。次回はマズルブレーキとサウンドサプレッサーです。

2016年10月5日水曜日

M4カービンのカスタム - バレルナットの規格編

つづきから


さて、バレルナットの規格についてです。
実銃のM4……AR-15ライフルのバレルナットは、そのほとんど全てが1.250inch-18tpi(1-1/4-18tpiとも)というネジ規格で統一されています。そのため、どのメーカーのアッパーレシーバーとバレルナットを組み合わせても、多少の誤差こそあれど、基本的に取り付けることができます。

一方、エアガンのM16ライフルやM4カービンのバレルナットのネジは、大きく分けて2種類が存在します。

1. M31.8×P1.5(マルイ規格)




電動ガン用のバレルナットのネジで最もメジャーなものがこの規格です。上記はMADBULL製のNoveske NSR用バレルナットのマルイ規格モデルです。

東京マルイの電動M4シリーズ及びその互換機のレシーバーは大抵この規格です。また、VFC、KSC、WAのガスブローバックM4もこの寸法になっています。
東京マルイのガスブローバックM4もこの規格ですが、アウターバレル基部が特殊な形状をしているので、サードパーティのバレルナットに変更する場合は、専用のアダプターが必要です。

市販のレプリカハンドガードに付属しているバレルナットはほとんどがこのネジに適合します。ただ、加工精度の関係でネジが浅く切られている個体もあるので、そういった場合はヤスリ等で少し削ってあげる必要があります。

2. 1.250inch-18tpi(実銃規格)



リアルさを重視したモデルの場合は、実銃のバレルナットがそのまま付くように、ネジ規格も実銃と同じになっています。上記はMADBULL製のNoveske NSR用バレルナットの実銃規格モデルです。

SYSTEMA PTWや、WEのガスブローバックM4、Prime、IRON等のリアルサイズ系WA用アッパーレシーバーはこの規格です。

PTW用と言われているレプリカハンドガードに付属しているバレルナットはこのネジに適合します。もちろん、実銃用のバレルナットも使えます。ただ、実銃用のバレルナットやハンドガードは、所持していても違法性は全くないのですが、外為法による規制があるため、個人での輸入はできません。

どのネジもそうなのですが、ミリネジとインチネジで大きく分かれます。M4の場合、実銃はほとんどがインチネジなので、それを極力再現する設計のエアガンはインチネジになっていることが多いです。
一方、普通の電動ガンは、サバゲーツールとしての設計から、入手しやすいミリネジになっているケースが多いようです。

2016年10月4日火曜日

M4カービンのカスタム - ハンドガード編

はじめに


M4カービンというか、いわゆるAR-15系ライフルは、サードパーティ製のカスタムパーツが非常に多く発売されており、それらを組み合わせて何もないところから一丁組み上げることもできてしまいます。
電動ガンも事情は同じで、国内・海外を問わず、さまざまなパーツが発売されています。

これから、それらについて時々紹介していこうと思います。
具体的なパーツについては後々に譲るとして、まずは大きく規格とか取り付け方法について説明していくことにしましょう。
最初に、ハンドガードについて解説します。

1. ドロップインハンドガード


ノーマルの樹脂製ハンドガードは、デルタリングとフロントキャップの間に挟み込むようにして取り付けられています。
デルタリングにはウェルドスプリングというスプリングが入っていて、リングが前方に向けて押し付けられた状態になっています。デルタリングをレシーバー側にぐいっと引くと、デルタリングとバレルナットの間に隙間が空くので、フロントキャップに先にハンドガードを引っ掛けてから、反対側をその隙間に入れることで固定します。



Knights ArmamentのRISやRAS、MAGPULのMOE Handguardなどは、この仕組みをそのまま使って固定するハンドガードです。これらの交換用ハンドガードは、ドロップインハンドガードと呼ばれています。


これらの取り付けは比較的簡単なので、初心者でも取り付けることができます。一般的な電動ガンのウェルドスプリングはそこまで固くないので、手で十分取り付けることができると思います。

一方、SYSTEMA PTWの場合は、ウェルドスプリングが異様に固い(実物よりも!)ので、手でやる場合は相当苦労することと思います。特に実物のドロップインハンドガードを使う場合は、デルタリングアセンブリをまるごと実物に交換してしまうことをおすすめします。

2. フリーフロートハンドガード


ドロップインハンドガードはハンドガードをバレルナットとフロントキャップの2点で固定します。バレルナットはいいのですが、フロントキャップはバレルの中ほどにあるので、ここに荷重がかかると、バレルの安定性に影響を与えてしまうことがあります。

そこで開発されたのは、フリーフロートハンドガードです。
このタイプのハンドガードは、純正のバレルナットの代わりに専用のバレルナットを使って、バレルナットにだけ固定します。そのため、バレルがハンドガードと接触せず、バレルの安定性に影響を与えない、という寸法です。

今はこのタイプのハンドガードが主流で、米軍でも特殊部隊向けのモデルや選抜射手向けのモデル(マークスマンライフル)にはフリーフロートハンドガードが使用されています。

有名なところだと、著名インストラクターのクリス・コスタ氏が一時期使用して人気となったKnights ArmamentのURXシリーズや、米軍が採用しているDaniel DefenseのRIS2、カーボンファイバー製のPRI GenIII等があります。本当にいろいろなメーカーから発売されているので、調べてみると面白いかもしれません。

トイガン用には、レプリカとしていくつか発売されています。中にはきちんとライセンスを取った上で、実銃に取り付けができないようにほんの少しだけ構造を変えた専用のものもあります。こういったものは非常に出来が良く、見た目も精度もよいので、値段はそこそこしますがおすすめです。


欠点としては、取り付けに専用工具が必要になるケースが多いことです。特に酷いのがURXシリーズで、初代URX、URX2/III/3.1、URX4でそれぞれ要求する工具が違います。トイガン向けのレプリカも当然それに準じて専用工具が必要なので、あまり初心者向けではありません。

案外取り付けが楽なのがGeissele Automaticのハンドガードで、モデルによって微妙にことなりますが、基本はバレルナットをねじ込んでからハンドガードを前から差し込み、ボルトで固定するだけです。正式ライセンス品はありませんが、レプリカがいくつか発売されています。

ところで、さきほどからちょいちょい「バレルナット」という言葉が出てきていたかと思います。これはバレルをアッパーレシーバーに固定するためのネジなのですが、実はこのネジ、同じM4カービンと言っても、エアガンのメーカーによって微妙に異なっています。
エアガンにはこういう微妙な規格の差がちょくちょくあります。このブログでは、そういった点についても紹介していこうと考えていますので、次回はバレルナットのネジ規格について書こうと思います。

それでは、つづきます。

2016年10月3日月曜日

バッテリーのコネクターの規格

はじめに


電動ガンは比較的息の長い製品です。一方で、近年のスマートフォンなどをみればわかりますが、バッテリーの進歩はとても早く、小型で、軽量で、大容量で、出力の大きい製品がどんどん出てきています。
バッテリーの特性が変われば、その出力方法……端子の形状も変化していきます。このあたりは結構常識でありながら、なかなかまとまった情報がWeb上にないので、いい機会ですから整理しておくことにします。

1. ラージコネクター


一番最初に採用されたコネクターです。タミヤのラジコンに使われているので、タミヤコネクターとも呼ばれます。
メスコネクター内部のピンが、オスコネクター内部のプラグに挿入されることで通電します。コネクターの取り付け方法は圧着です。

定格電流は15Aで、電動ガンを普通に使う分にはなんとか足りる程度でしょう。

主に固定ストックにバッテリーを格納するモデルで使用されています。というより、コネクターのサイズが大きいので、ハンドガードやバッファーチューブにバッテリーを格納するのが難しい、と言った方がいいかもしれません。

このコネクターはひとつ欠点があります。ピンをプラグに挿入するという方式であるため、脱着を繰り返すとプラグが広がってしまい、接触不良を起こしやすいことです。
電動ガンを作動させると大きな電流が流れるので、ほんの少しの接触不良なら普通に動いてしまうのですが、その場合スパークが発生するので、ピンとプラグが焦げてしまいます。これによって、接触不良を悪化させて、最終的には使えなくなってしまうことがあります。
どうも最近動作のキレが悪い、と思ったら、コネクターを疑ってみるといいかもしれません。

2. ミニコネクター


ラージコネクターを一回り小型にしたコネクターです。仕組みはラージコネクターと全く同じなので、基本的な特性、特徴もラージコネクターと全く同じです。

サイズが小さいので、ハンドガードや伸縮ストックにバッテリーを格納する場合によく使われるもので、現在主流のコネクターです。

定格電流10Aと、電動ガンを作動させるには少し心もとない性能です。フルオートメインの運用であればまだよいのですが、リチウムポリマーバッテリーを使ってセミオートを多用する場合は、なるべくこのコネクターから変更した方がよいと思います。

3. マイクロディーンズコネクター


ミニT等とも呼ばれるコネクターです。板バネ状の端子が突き出していて、コネクターを接続するとバネの力で端子が密着する仕組みになっています。

この端子は定格電流30Aまで耐えられるので、高電圧バッテリーを使用するモデルによく使われます。板バネで押さえつける関係上、電流のロスが少ないので、タミヤコネクターやミニコネクターと比べて、同じバッテリーを使っていても少し性能が良くなります。
また、コネクターが非常に小さく、ミニコネクターの半分ほどしかないので、バッファーチューブ内にバッテリーを格納するのにうってつけです。

一方、オス側の端子が露出しているので、扱いを誤ると変形させてしまうことがあります。また、取り付けを間違えてオス側をバッテリーに取り付けてしまうと、ショートさせてしまう危険性があります。バッテリーには必ずメス側を取り付けるようにしましょう。
コネクター自体はプラスマイナスを逆に繋ぐことはできませんが、端子を接触させるだけならできてしまうのも欠点です。コネクターの取り付けにはんだ付けが必要なこともあり、総じて上級者向けのコネクターと言えます。

4. BECコネクター


BECコネクターは非常に小さなコネクターで、電動ハンドガン用のリポバッテリーアダプターに使われています。電動ハンドガンはバッテリーを格納するスペースがほとんどなく、マイクロディーンズコネクターですら大きすぎるので、これが使われています。

定格電流が3Aしかなく、電動ガンに使うには完全に力不足です。セミオートの連射を使用するのにはかなり厳しいスペックと言わざるを得ません。基本的には電動ハンドガン用なのでそうそう多く撃つこともないとは思いますが、このコネクターを使う場合は、あまり連射をしすぎないようにする必要があるかと思います。

まとめ


基本的には大きいコネクターほど効率がよく、寿命も長いのですが、スペースが限られた電動ガンではそうそう大きなコネクターを使うわけにもいかないのがネックです。
内部カスタムをしていない状態でそのまま使う分には、純正状態で使っても特に問題はないでしょう。特にラージコネクターの場合はそこそこ余裕があるので、無理して変更する必要もないかと思います。
一方、サイクルを上げたり、電子制御方式にしてプリコック制御を行う場合、大電流を流すことになるので、マイクロディーンズコネクターのような高効率のものに変更することをおすすめします。

ちなみに、すべてのコネクターはショートを防ぐため、バッテリー側をメスコネクターにします。電動ガン側のバッテリーコネクターと、バッテリーのコネクターをまとめて交換する場合は気を付けるようにしましょう。

2016年10月2日日曜日

電動ガンのバッテリー格納(M16ライフル・M4カービン 後方配線編)

つづきから


では、後方配線です。これもいくつかの格納方式があります。


3. 後方配線・ストック


M16ライフルのように固定ストックモデルの場合、ストック内部に大きなスペースを用意できるので、そこに設置するのが定石です。以前はニッカドバッテリーで容量も少なかったので、大容量タイプのバッテリーを固定ストックに入れることで連続稼働時間を延ばすようにする人もいました。
今でこそリチウムポリマーバッテリーを使用して他の場所に入れる人も増えましたが、固定ストックにバッテリーを格納するようにすれば、内部が広くケーブルの取り回しも楽なので、今でも好む人が多い方式です。

一部のM4カービンはSOPMODストックのようなバッテリーコンパートメントのあるストックを使うことで、伸縮ストックでもバッテリーを格納できるようにしています。
次世代SOPMODのSOPMODバッテリーはこれの亜種で、複数の接点を組み合わせて専用のストックを使うことにより、カセット式のバッテリーを伸縮ストックに使えるようにしたものです。取り回しは非常に楽ですが、あまり効率がよくないのが欠点です。
アダプターを使えば通常のバッテリーを使うこともできます。


4. 後方配線・バッテリーポーチ


後方配線でもバッテリーケースを使用することができます。こちらはレール取り付け型ではなく、ストックに取り付けるポーチが主流です。
これは以前よく見られた方式で、ストック内に格納するような大型のバッテリーを伸縮ストックの横に括り付けて運用します。大きく重いバッテリーでも、銃の後ろ側に重量がかかるので、取り回しはそれほど難しくはありません。

ただ、リチウムポリマーバッテリーのように衝撃に弱いバッテリーをこの方式で使うことはおすすめできません。どちらかといえば大型のニッカドバッテリーを使いたい人向けです。


5. 後方配線・バッファーチューブ


バッファーチューブは細く、ニッカドバッテリーやニッケル水素バッテリーはとても入りませんが、リチウムポリマーバッテリーの普及によって、バッファーチューブもバッテリーの格納場所として使えるようになりました。

スペースが狭いので大きなバッテリーは入りませんが、800mAh程度のリチウムポリマーバッテリーであれば、バッファーチューブにすっぽりと入れることができます。
東京マルイ製品はリチウムポリマーバッテリーの使用をメーカーが推奨していないので、標準でこの方式を採用するものはありません。G&Pなど、主に海外製の製品がこの方式を採用しています。また、SYSTEMA PTWもこの方式です。

次世代SOPMODや次世代M4では、バッファーチューブ内にリコイルウェイトが入っているため、この方式は使用できません。
また、スペースが狭いのでコネクターのサイズが問題になることがあります。後日紹介しますが、マイクロディーンズコネクターという形状のコネクターに取り換えて使っている方がほとんどです。

これらの他に、最近開発された特殊な方式があります。これがマガジンバッテリー方式です。


6. マガジンバッテリー


東京マルイ 次世代電動ガン HK416Cや、SYSTEMA PTW リコイルモデルは、バッテリーをマガジンに格納する「バッテリーマガジン方式」になっています。




この方式の最大の利点は、パワーソースの位置が実銃と全く同じであることです。実銃は当然ながらカートリッジ内の発射薬の燃焼ガスで動作するので、パワーソースはマガジン内に存在することになりますが、バッテリーマガジン方式では、それと同様に、バッテリー内にBB弾と一緒にバッテリーを格納します。
そのため、バッテリーという電動ガンに必須の巨大なパーツが銃本体から取り除かれるので、銃に大きなスペースが必要とされなくなります。

ただし、マガジンをバッテリーに格納するということは、マガジンごとにバッテリーを用意しなければならないということでもあります。しかも装弾数が少ないので、余計にマガジンが多く必要です。特にSYSTEMA PTWの純正マガジンバッテリーは非常に高価で、マガジンとセットでガスブローバックハンドガンが買えるくらいの価格設定がされています。

また、リチウムポリマーバッテリーを使用している場合等は特にですが、マガジンの乱暴な扱いでバッテリーが破損すると危険なので、マガジンチェンジでマガジンを投げ捨てたりしないように注意する必要があります。


まとめ


電動ガンの場合、そもそもバッテリーをどこに入れるかは非常に大きな課題です。リチウムポリマーバッテリーの普及でだいぶ融通がきくようにはなりましたが、M4カービンは案外スペースがなく、毎回悩ましいところです。

リチウムポリマーバッテリーに抵抗がないのであれば、バッファーチューブにバッテリーを格納すると、ストックとハンドガードを自由に選べるようになるのでおすすめです。

2016年10月1日土曜日

電動ガンのバッテリー格納(M16ライフル・M4カービン 前方配線編)

はじめに


前回次世代SOPMODの紹介をしましたが、次世代SOPMODはそのバッテリーの格納方式に非常に特徴のあるモデルでした。

電動ガンは当然ながらバッテリーが無ければ動作しないものですが、バッテリーは比較的場所を取る部品なので、毎回格納場所に苦労します。
M16ライフル・M4カービン系の電動ライフルでは、大きく分けてメカボックスの前側にバッテリーを配置する前方配線と、後ろ側に配置する後方配線の2種類があります。具体的には、以下のような場所にバッテリーを格納するようになっています。


1. 前方配線・ハンドガード


スタンダード電動ガンのM4A1カービンや、次世代電動ガン M4A1カービンのように、ノーマルのハンドガードを使用したM4カービンは、ハンドガードにバッテリーを格納します。

スペースにはあまり余裕がないので、ニッケル水素バッテリーやニッカドバッテリーの場合は、ミニバッテリーと呼ばれる種類のバッテリーを使用します。リチウムポリマーバッテリーの場合は自由な形状にできるので、二股になったヌンチャクバッテリーなども入ったりします。




2.前方配線・バッテリーケース


レールハンドガードを取り付けたM4カービンの場合、とてもミニバッテリーが入るようなスペースはハンドガード内にありません。しかし、ニッカドバッテリーやニッケル水素バッテリーはどうしてもサイズが大きいので、そのほかのどこにもバッテリーを格納する場所がない、ということがあります。

このような場合は、レールに取り付けることのできるバッテリーケースを用意して、その中に格納することができます。もちろん、リチウムポリマーバッテリーを入れることもできます。

大抵の場合は、軍用のレーザーサイト(AN/PEQ-2やAN/PEQ-15、AN/PEQ-16等)をモチーフにしたバッテリーケースを使用します。以前はバッテリーサイズの関係でデフォルメされていることも多かったですが、現在ではリチウムポリマーバッテリーを使用することで、本物そっくりの形状を持ったバッテリーケースもあるので、それほど違和感なく使用することができます。




つづきます


前方配線はこのくらいなのですが、後方配線にも種類が結構あります。また、最近はその他の方式も出てきています。結構な分量になりそうなので、続きは次回にしましょう。