2016年10月24日月曜日

エアガンの紹介 - MGC P7M13

はじめに


モデルガン時代にトップメーカーをひた走り、エアガン時代にはアフターシュートガスブローバックで一時代を築いたのがMGCです。すでに倒産してしまったメーカーですが、モデルガンメーカーらしく珍しい銃をエアガンとしてモデルアップしていました。そのひとつがP7M13です。

1. P7(PSP)


P7は、Heckler & Kochがドイツ警察の制式拳銃のトライアルに向けて開発したオートマチックピストルです。H&Kは近年では非常にオーソドックスなピストルを発売し、人気を博していますが、かつては非常に特殊な機構を持った、独特のピストルばかりを発売していました。P7もそのひとつです。

P7はガスディレードブローバックという方式のオートマチックピストルです。オートマチックピストルで比較的高威力の実包を発射する場合、単に発射の反作用でそのままスライドを作動させてしまうと、高圧の発射ガスが射手に吹き付けてしまって危険なので、発射ガスの圧力が下がるほんの少しの間だけ、スライドが後退しないようになっています。
ガスディレードブローバック方式は、発射ガスをフレーム側のシリンダーに流し込んで、スライドの作動を妨げるダンパーとすることで、スライドの後退を遅延させる方式です。このタイプの作動方式を持ったオートマチックピストルはほとんどありません。そのうちのひとつがP7です。

また、P7はスクウィーズコッカーという安全装置を備えていて、グリップ前方のレバーを握り込むことでストライカーがコックされ、発射状態になります。もしレバーを離すと、ストライカーは自動的にデコックされて待機状態に戻るので、発射できない状態になります。つまり、握っていなければ発射できず、握るだけで発射可能な状態になるので、安全性と即応性が高いという特徴があります。
また、スライドストップも兼用していて、最終弾発射後ホールドオープンしたスライドは、スクウィーズコッカーを握りなおすことでリリースされます。
ただし、構造が複雑で部品点数が多くなるので、P7以外に採用されたモデルはありません。

P7はスライドの高さが低く、サイトラインも低いため、構えた手の人差し指を伸ばした先と銃口の指す先が近く、狙いやすい銃とされています。ガスディレードブローバック式でバレルが固定されていることもあって、命中精度はかなりよいものだったそうです。

2. P7M13


P7はいくつかのバリエーションが存在します。一番最初に開発されたのがPSPと呼ばれるモデルで、のちにP7と改名されました。そのマイナーチェンジバージョンがP7M8で、P7M13はそのダブルカラムモデルです。

ダブルカラムなのでグリップが太くなってしまい、若干不格好にはなりましたが、P7特有のコンパクトさと精度の高さはそのままになっています。
MGCのP7M13はこれをモデルアップしており、スクウィーズコッカーによるストライカーコック・デコック以外のメカは全てライブになっています。

MGCのP7M13は同社グロック17のメカニズムを応用していて、ハンマーを持っていません。トリガーを引くと、トリガーに連動したバルブノッカーを直接作動させて放出バルブを叩く、独特の方式になっています。これは、グロックもP7も、外装式のハンマーを持たない、ストライカー方式のピストルだったためだと思われます。ストライカー方式のピストルで、ストライカーまで再現されたエアガンは、現在に至るまで発売されていません。

ハンマーがないので、スクウィーズコッカーによるコック・デコックは再現できませんでしたが、スクウィーズコッカーはセフティとして作動するので、グリップを握っていない限り発射できなくなっています。また、ホールドオープンの解除もスクウィーズコッカーでできるようになっています。

アフターシュートガスブローバック方式なので命中精度はあまりよくありませんし、ホップアップシステムもないので射程も短いですが、作動自体は非常にしっかりとしていて、キビキビと動作してくれます。
ただ、当時のヘビーウェイト樹脂はあまり頑丈ではなく、経年劣化もあるので、何度も撃っていると貴重なスライドを割ってしまうかもしれない点には注意です。そのくらい気持ちよく動いてくれます。

スクウィーズコッカー周りが若干繊細なので、調子のいい個体は無理にいじらない方がいいでしょう。もう部品が手に入らないので、もし手に入れることができたら、大事に扱ってあげてください。

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