つづきから
フルオートマチックモードは強力ですが、いくつか欠点があります。
ひとつは、射撃速度が高すぎて、弾を使いすぎるという問題です。サバゲーのBB弾と違って、実銃の場合は1つのマガジンに高々30発程度しか入りませんから、フルオートマチックでは2~3秒もあれば撃ち尽くしてしまいます。
また、フルオートマチックモードの場合、連続して発射するので、反動が激しくなる傾向があります。銃のグリップは重心からずれていますから、反動を受けると銃が跳ね上がってしまい、狙いが外れることが多くなります。
これらの欠点を解決するための方法として、バーストモードがあります。
3. バーストモード
バーストモードは、フルオートマチックモードの射撃を数発で強制的に中断する仕組みです。3点バーストは3発、2点バーストは2発で、自動的に連射が停止します。
バーストモードの基本的な動作はフルオートマチックモードとほぼ同じですが、シアーやその周辺のパーツが発射弾数をカウントできるような仕組みになっています(銃によって異なります)。3点バーストなら3発、2点バーストなら2発発射後に、セミオートマチックモード同様にディスコネクターが作動して、トリガーとシアーとのリンクを絶つことで、作動を停止させる仕組みです。
バーストモードが付いている銃はどうしてもパーツ点数が多くなる傾向があります。以前は射撃に慣れていない新兵が弾丸を多く消費することへの対策としてしばしばバーストモードが採用されましたが、メンテナンス性が低下したり、いざという時の火力に劣ったりすることが忌避され、あまり使われなくなっています。
アサルトライフルでは、かつてM16A2ライフルがフルオートマチックモードの代わりに3点バーストモードを採用していましたが、現在のM16A4ライフルやM4A1カービンはフルオートマチックモードに変更されています。
M16A2ライフルのバーストモードはフルオートマチック仕様のM16A1ライフルに比べて部品点数がほとんど増えておらず、非常にシンプルな構造でした。しかしその一方で、バースト射撃を途中で中断した時にカウンタがリセットされないため、最初の1回はバースト射撃される弾数が不安定になるという弱点を持っていたため、余計に火力に欠ける側面があったことは否めません。
一方、ロシアのAN94ライフル、通称アバカンは、興味深い目的のために2点バーストモードを応用しています。このライフルは、きわめて特殊な構造になっていて、フルオートマチックモードの最初の2発だけが、通常よりも高速に連射されるように設計されています。これによって、フルオートマチック射撃で銃が跳ね上がる前に2発撃ち出すことを可能にして、制圧力を上げています。
ただし、やはり構造が非常に複雑で、AK47シリーズの最大の特徴であったシンプルでルーズな構造は失われています。
また、日本の自衛隊が採用している89式小銃にも3点バーストモードが装備されています。M16ライフルのものとは異なり、バースト射撃中断時にカウンタがリセットされるため、半端な射撃はできなくなっています。日本の自動小銃として防衛戦闘を主目的として設計されている89式は、マシンガンに近い連射モードを重要視した設計になっているため、バーストモードを標準装備したのだと思われます。
トイガンでは、KSCのM93Rシリーズが3点バーストモードを装備しています(M93R-C、オート9はオプションです)。また、タニオコバのVP70に別売りのストックを取り付けると、3点バーストが使用可能になります。
ロングガンでは、VFCのUMPやG36シリーズに2点バーストモードの付いたモデルがあります。さらに、一部のガスブローバックのM16A2ライフルは、実銃同様のギアラック式3点バーストを採用しています。構造が実銃と同じなので、発射弾数が不安定になる点も完全に再現されています。