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2016年11月2日水曜日

ファイアリングモード(バースト)

つづきから


フルオートマチックモードは強力ですが、いくつか欠点があります。
ひとつは、射撃速度が高すぎて、弾を使いすぎるという問題です。サバゲーのBB弾と違って、実銃の場合は1つのマガジンに高々30発程度しか入りませんから、フルオートマチックでは2~3秒もあれば撃ち尽くしてしまいます。

また、フルオートマチックモードの場合、連続して発射するので、反動が激しくなる傾向があります。銃のグリップは重心からずれていますから、反動を受けると銃が跳ね上がってしまい、狙いが外れることが多くなります。

これらの欠点を解決するための方法として、バーストモードがあります。

3. バーストモード


バーストモードは、フルオートマチックモードの射撃を数発で強制的に中断する仕組みです。3点バーストは3発、2点バーストは2発で、自動的に連射が停止します。

バーストモードの基本的な動作はフルオートマチックモードとほぼ同じですが、シアーやその周辺のパーツが発射弾数をカウントできるような仕組みになっています(銃によって異なります)。3点バーストなら3発、2点バーストなら2発発射後に、セミオートマチックモード同様にディスコネクターが作動して、トリガーとシアーとのリンクを絶つことで、作動を停止させる仕組みです。

バーストモードが付いている銃はどうしてもパーツ点数が多くなる傾向があります。以前は射撃に慣れていない新兵が弾丸を多く消費することへの対策としてしばしばバーストモードが採用されましたが、メンテナンス性が低下したり、いざという時の火力に劣ったりすることが忌避され、あまり使われなくなっています。

アサルトライフルでは、かつてM16A2ライフルがフルオートマチックモードの代わりに3点バーストモードを採用していましたが、現在のM16A4ライフルやM4A1カービンはフルオートマチックモードに変更されています。
M16A2ライフルのバーストモードはフルオートマチック仕様のM16A1ライフルに比べて部品点数がほとんど増えておらず、非常にシンプルな構造でした。しかしその一方で、バースト射撃を途中で中断した時にカウンタがリセットされないため、最初の1回はバースト射撃される弾数が不安定になるという弱点を持っていたため、余計に火力に欠ける側面があったことは否めません。

一方、ロシアのAN94ライフル、通称アバカンは、興味深い目的のために2点バーストモードを応用しています。このライフルは、きわめて特殊な構造になっていて、フルオートマチックモードの最初の2発だけが、通常よりも高速に連射されるように設計されています。これによって、フルオートマチック射撃で銃が跳ね上がる前に2発撃ち出すことを可能にして、制圧力を上げています。
ただし、やはり構造が非常に複雑で、AK47シリーズの最大の特徴であったシンプルでルーズな構造は失われています。

また、日本の自衛隊が採用している89式小銃にも3点バーストモードが装備されています。M16ライフルのものとは異なり、バースト射撃中断時にカウンタがリセットされるため、半端な射撃はできなくなっています。日本の自動小銃として防衛戦闘を主目的として設計されている89式は、マシンガンに近い連射モードを重要視した設計になっているため、バーストモードを標準装備したのだと思われます。

トイガンでは、KSCのM93Rシリーズが3点バーストモードを装備しています(M93R-C、オート9はオプションです)。また、タニオコバのVP70に別売りのストックを取り付けると、3点バーストが使用可能になります。
ロングガンでは、VFCのUMPやG36シリーズに2点バーストモードの付いたモデルがあります。さらに、一部のガスブローバックのM16A2ライフルは、実銃同様のギアラック式3点バーストを採用しています。構造が実銃と同じなので、発射弾数が不安定になる点も完全に再現されています。

2016年11月1日火曜日

ファイアリングモード(フルオート)

つづきから


ハンドガンの場合はセミオートマチックモードがあれば十分ですが、ロングガン、特に軍用銃の場合は、相手の動きを抑制するために、フルオートマチックモードが付いていることがほとんどです。

2. フルオートマチックモード


1回のトリガー操作で1発発射されるセミオートマチックモードに対して、トリガーを引いている間作動が継続するのがフルオートマチックモードです。

前回、「ディスコネクターの調子が悪くなると、トリガーを引いている間スライドが動作し続けてしまう」と書きました。一見するとこれがフルオートマチックモードのように思えますが、この動作の場合、スライドやボルトキャリアが前進するのに合わせてハンマーが落ちていくので、ハンマーの打撃力が完全には伝わりません。そのため、不発が起きたり、発射サイクルにばらつきが発生したりします。

正式なフルオートマチックモードを持つ銃では、このような現象に対処するため、「フルオートシアー」という部品を持っています。フルオートシアーはスライドやボルトキャリアが閉鎖した時に自動的にトリップするシアーで、フルオートマチックモードでスライドが閉鎖するまで、ハンマーを保持する機能を持ちます。ディスコネクターが作動しない状態でも、閉鎖するまではフルオートシアーがハンマーを抑えているので、先に挙げたようなスライドの動作に合わせてハンマーが徐々に落ちる現象が起きなくなります。

先日紹介したKSC Beretta M93R IIはフルオートシアーを持つため、フルオートシアーの無い無印モデルに比べて、連射モード時の安定性に格段の差があります。ガスブローバックガンの場合、ハンマーの打撃力がきちんとバルブノッカーを通してマガジンの放出バルブに伝わっていないと、ガスの放出量が不安定になって作動も不安定になりやすいので、フルオートシアーの有無が作動性に大きくかかわってきます。


ちなみに、フルオートマチックモードの付いている銃は大抵の国で軍や法執行機関以外での所持が制限されています。そのため、元々フルオートマチックモードの付いていた軍用銃を民間仕様にする場合、フルオート化改造が簡単にできないようにすることを目的として、フルオートシアーが取り付けられないような構造変更が行われていることがあります。

例えば、アメリカでは民間向けにAR-15ライフルが数多く発売されていますが、ロアーレシーバーのフルオートシアーが入る部分が狭くなっていて、無加工ではフルオートシアーが入らないようになっています。さらに、MP5の民間仕様に至ってはグリップフレームの互換性自体が無くなっています。

民間カスタムライフルをエアガンで再現する場合は、このあたりにも気を使うと、さらにリアリティを高めることができますが、どうしてもサバゲー等ではフルオートマチックモードがあると強力であることから、セミオートマチック仕様のレシーバーはあまり出ていないので、なかなか難しいのが現状です。

2016年10月31日月曜日

ファイアリングモード(セミオート)

はじめに


前回ガスブローバックのM93Rを紹介しましたが、この銃にはセミオート、フルオート、3点バーストの3種類のファイアリングモードがあります。このような銃を、セレクティブファイアと呼びます。

電動ガンの場合は電子制御か機械制御で通電回数をカウントしてモーターを動作させるわけですが、ガスブローバックガンの場合は実銃と同じように、部品の組み合わせでハンマーの動作を制御しています。

今回はこの仕組みについて、説明しましょう。
なお、ここで説明するのはクローズドボルト式の銃についてです。オープンボルト式については、またの機会にとさせてください。

1. セミオートマチックモード


セミオートマチックモードは、「トリガーを1回引いたら1回発射される」仕組みです。
実銃の場合はチャンバーにカートリッジが入っている状態から、トリガーを引いて発射後、次のカートリッジがチャンバーに入って動作が終了します。ガスブローバックガンの場合はカートリッジがありませんがおおむね同じで、発砲後次のBB弾が自動的にチャンバーに入って、動作が終了します。

トリガーを引くとシアーが外れてハンマーが落ちるわけですが、スライドやボルトの動作は非常に速いので、発射後ハンマーがコックされた時も、トリガーは普通引かれたままのはずです。トリガーはシアーと連動していますから、トリガーを引いたままではシアーがハンマーにかからず、コックされたハンマーがそのまま落ちて、連射になってしまうのではないか、と思うかもしれません。

しかし、実際はそうなりません。
トリガーを引いて一発弾丸を発射すると、ディスコネクターという部品が作動して、トリガーとシアーの連動が絶たれ、シアーから見るとトリガーが引かれていない状態と同じ扱いになります。これで、シアーがハンマーにかかるようになります。
作動したディスコネクターは、トリガーを戻すとリセットされますから、「トリガーを1回引いたら1回発射される」という仕組みが実現できます。

これがセミオートマチックモードの仕組みです。
電動ガンの場合は、前に書いたように全然違う方式で作動を止めているのですが、ガスブローバックガンはほぼこの方式で実現されています。

なので、ディスコネクターの調子が悪くなると、トリガーを引いている間スライドが動作し続けてしまうような現象が起こります。これはフルオートでもなく、単なる暴発です。細かいことは、次回、フルオートマチックモードの回で説明することとしましょう。

2016年10月25日火曜日

電動ガンのマガジン

はじめに


実銃の場合は単発式ライフルというものもありますが、エアガンの場合は大抵の場合マガジンがあります。

ガスブローバックガンの場合は、サイズの差こそあれどどれもほとんど同じ構造なのですが、電動ガンの場合はその構造によっていくつか種類があります。

1. ノーマルマガジン



BB弾にスプリングでテンションをかけて押し出すタイプです。装弾数としては30発~120発あたりが相場です。

スプリングテンションを使うため、常にBB弾がチャンバー側に押し出される形になっているので、BB弾が中で遊びにくくなっています。そのため、ジャラジャラという音はしませんし、弾同士が当たって傷つくこともあまりありません。
ただ、スプリングテンションをそこまで強くできないので、マガジンによってはBB弾を選ぶ傾向があります。前にマルイとG&GのBB弾をおすすめしたのは、大抵のノーマルマガジンで問題なく使えるためです。

次世代M4や次世代SCAR、SYSTEMA PTW等のノーマルマガジンには、作動ストップギミックが入っているので、対応する銃本体と合わせると、弾切れになった時に作動が停止します。後述する多弾マガジンではできないので、このギミックを活用したいのであればノーマルマガジン一択になります。

また、一部のマガジンは装弾数を実銃と同じ数に制限する機能が付いています。上記の作動ストップギミックと合わせて、マガジンチェンジの醍醐味が味わえます。まあ、ひとりだけこの機能を使うとサバゲーでは不利ですが……そこはロマンというところでしょうか。

2. ゼンマイ式多弾マガジン



ゼンマイが戻る力でBB弾を押し出すタイプです。装弾数としては300~500発あたりが相場でしょうか。

このタイプはゼンマイで無理やり押し出すので、ある程度BB弾のばらつきによる給弾不良を抑えることができます。ゼンマイの力なので限度はありますが、あまり品質の良くない弾でも使用できることがあります。

一方、ゼンマイで押し出すルートに入る前の弾はマガジン内で遊んでいるので、弾が減ってくるとジャラジャラ音がしてしまいます。強く振ったりすると弾同士が当たってしまって傷がつくこともあるので、精密射撃にはあまり向いていません。
また、作動ストップギミックは通常オミットされていて、対応する銃であっても使用することはできません。

あと地味ながら面倒なのが、ゼンマイの巻き上げでしょう。大抵はマガジンボトムにギア状のダイアルが出ているので、そこを指で回しますが、結構疲れます。最近はマガジン横に六角レンチを入れて巻けるようになっていたり、マガジン底からワイヤーが出ていて、それを引っ張ることで巻けるものもあります。

多弾マガジンの最大の利点は、これ一本だけ持っていっても十分にサバゲーの1ゲームを遊びきれるところです。特に装備があまり整っていない初心者の方の場合、ノーマルマガジンを持ち運ぶ方法がありませんから、これはかなりの利点だと思います。
個人的には、初めてサバゲー用に電動ガンを買った時、一緒に1本ゼンマイ式多弾マガジンを買うことをおすすめします。

3. 電動式多弾マガジン



ゼンマイ式多弾マガジンのゼンマイをモーターで巻きあげるようにしたものです。通常は機関銃タイプの電動ガンに使用します。

このタイプはとにかく装弾数が多く、1000発を超えるものもあります。その分巨大で、構造もやや複雑になる傾向があります。

独立したスイッチが付いていて、押している間ゼンマイを巻いてくれるものがほとんどですが、一部の専用品には音感センサーで発射を検知したり、トリガーと連動させたりして、自動的に巻き上げる機能が付いているものもあります。

機関銃タイプの電動ガンには最初から付いていることが多いので、それらを使う場合にはこのマガジンのお世話になることが多いでしょう。ライフル用の電動式多弾マガジンもありますが、相当な勢いでばらまかない限りは、これほどの数を撃ち切ることはあまりありません。

ちなみに、たまにゼンマイの入っていない欠陥品があります。ゼンマイが無いとモーター停止で給弾が止まってしまい非常に使いづらいので、注意してください。

まとめ


上でも書きましたが、最初のうちはゼンマイ式の多弾マガジンをひとつ買っておくと便利です。ノーマルマガジンより少し高いくらいで購入できます。ノーマルマガジンのマガジンチェンジはすごく楽しいのですが、いかんせん4本も5本も持ち歩くには、マガジンポーチの付いたリグやプレートキャリアが必要で、マガジンと合わせると値も張るので、最初はなかなか大変です。

電動ガンを買うと大抵はノーマルマガジンが1本付いてきますから、それを撃ち切ったら多弾マガジンにチェンジする(多弾マガジンはポケットにでも入れておく)というような使い方でも十分楽しめると思います。

2016年10月22日土曜日

エアガンの安全な取り扱い方(ガスブローバックガン編)

はじめに


ガスブローバックガンは構造がかなり実銃に似ているので、ほぼ同様の扱い方ができます。ただ、やはり実銃とは構造が違う部分もあるので、注意が必要です。

1. 基本的な取り扱い


ガスブローバックガンは大抵の場合マガジンにパワーソースであるガスが入っているので、マガジンを取り外してしまえばもう作動しません。必ずマガジンセフティが付いているようなものです。そのため、撃たない時はマガジンを抜いておくのが基本です。

マガジン無しで弾を抜きたい場合は、スライドストップかボルトキャッチをかけた状態にして、バレルの先端からクリーニングロッドを突っ込みます。ボルトキャッチがない銃の場合は手で押さえながらやることになるので、手をはさんだりしないように気を付けましょう。

なお、撃たない場合はセーフティをオンにしたいところですが、コック&ロックセフティの場合はハンマーを起こさないかぎりセフティをオンにできません。だからといってハンマーを起こしてしまうのはまさに本末転倒なので、ハンマーダウンのままで大丈夫です。

グロックの場合は完全に再現したためにマニュアルセフティが付いていないモデルがあるので、やはりマガジンを抜いておきましょう。

2. ガスの抜き方


基本的にガスを入れっぱなしにするのはマガジンによくありません。ただし、マガジンの放出バルブを手で押して放出するのは避けてください。というのは、放出バルブのパッキンが冷えによって痛むことがあるためです。

マガジンに弾が入っていないことを確認してから、空撃ちでガスを消費するようにしましょう。

なお、メーカーによってはマガジンに微量のガスを入れて保管することが推奨されているモデルもあります。そのような場合は、ガス、できればHFC-134aを入れた状態で保管してください。この場合、日の当たる場所や暑い部屋には放置しないでください。破裂するおそれがあります。

2016年10月21日金曜日

エアガンの安全な取り扱い方(電動ガン編)

はじめに


エアガンは外見こそ銃にそっくりですが、実際のところ仕組みが全然違うので、実銃と同じように扱えばいい、というわけではありません。
ただ、基本的には「引き金を引いても弾が出ない」状態にするのが基本です。

仕組みや構造によって取り扱い方は変わってくるので、まずはそれぞれについてまとめていきましょう。

なお、最初にひとつだけ理解していただきたいのは、安全な取り扱いとは「自らが心掛け、実践する」ものであって、「誰かを糾弾し、実践させる」ものではありません。何をさておいても、この点だけはしっかりと守ってほしいと思います。

1. 基本的な取り扱い


電動ガンは実銃とは異なり、そのパワーソースと弾丸が別々に供給されます。そのため、「マガジンを抜いていても弾が出る可能性がある」ことに注意しなければなりません。

一般的な電動ガンの場合、マガジンを抜いていても、マガジンからチャンバーまでの給弾ルートにBB弾が残ることがあります。また、電子回路で常にノズルとピストンが前進した状態で停止するように制御しない限り、撃った後にチャンバーに弾が残っていることがあります(プリコックにすると確実にチャンバーに弾が残ります)。
この状態でトリガーを引くと、マガジンが無くても弾が発射されてしまいます。

なので、一番良い方法は「マガジンを抜いてから安全な方向に向けて発砲して弾を抜く」です。実銃と違ってスライドやボルトを動かしても弾を抜けないので、撃ってしまうのが確実です。
サバゲフィールドやシューティングレンジでも、フィールドアウトや射撃終了する際にはこの方法を使っているところがほとんどです。

弾を抜き終わったら、セレクターをSAFEポジションにしておきましょう。
なお、電子制御式ではSAFEポジションを発射に割り当てられるものがありますが、正直危険なのであまりお勧めはしません。

2. バッテリーの取り外し


長期にわたって使わない場合は、必ずバッテリーを取り外すようにしましょう。バッテリーが入っていなければ電動ガンは動かないので、最大の安全策です。

また、電子制御式だったり、FETが入っていたりすると、作動させていなくても電流が流れているので、バッテリーを消耗します。リチウムポリマーバッテリーでこれをやってしまうと、発火する恐れもあるので、注意してください。

3. ピストンの解放


安全性とは直接関係ないのですが、使い終わったらセミオートで一発撃ってから保管することをお勧めします。

機械スイッチ式の場合、カットオフレバーがあってもいくらかピストンがコックされた状態で停止するのですが、セミオートよりもフルオートの方が勢いが付いている分より多くコックされてしまいます。そのまま放置するとスプリングが圧縮されたままになり、テンションが落ちてしまうので、セミオートで撃って解放する、というわけです。

電子制御式でピストンが前進状態で完全停止するようになっているものは、気にしなくても構いません。一方、プリコック機能を使っている場合は、制御基板の機能を使って解放することになります。プリコック機能が付いている電子制御基板には、通常ピストン解放機能がありますが、もしも無い場合(あるいはなんらかの細工をして停止位置を変えている場合)は、分解して逆転防止ラッチを解除する必要があります。大変面倒くさいので、あまりお勧めはしません。

シア式の場合は、電源を切った状態(またはバッテリーを抜いた状態)で引き金を引くとエアーコッキングガンとして作動するので、それを活用してスプリングを解放できます。

2016年10月20日木曜日

オートマチックピストルの安全装置(その2)

つづきから


どうもこのところ実銃の話ばかりで申し訳ないのですが、安全な取り扱いをする上で実銃とエアガンの違いを理解するには、実銃の構造も知っておいた方がいいと思いますので、もう少しお付き合いください。

オートマチックピストルには、手動式のマニュアルセフティの他、自動式のオートマチックセフティもあります。
これらは落としたりひっかけたりした時に暴発するのを防ぐためのものであって、「撃ってはいけない時に引き金を引いてしまうことによる誤射」を防ぐことはできません。前回も書きましたが、「撃たなければいけない時に撃てないことを避ける」という設計が最近は多くなってきているので、その分オートマチックセフティの重要性が高くなっています。

1. オートマチックファイアリングピンブロック(AFPB)


APFBは、トリガーを引いていない時にファイアリングピンをブロックするものです。
なぜこれが必要かと言うと、シアが破壊されてハンマーがダウンした時や、落とした時の慣性でシアにハンマーがかからない程度にハンマーがコックされてしまい、そのまま落ちた時に暴発するのを防ぐためです。

AFPBは、何もしていない時に常にファイアリングピンを固定しています。トリガーを引くと内部で自動的に解除されるので、射手はAFPBの存在を気にする必要はありません。
ただ、元々AFPBが無かった銃を改良してAFPBを付けると、トリガーの感触が悪くなるので、特にマッチシューターがM1911系を使う場合は嫌われる傾向にあります。実際、Nighthawk等のマッチ用M1911には、AFPBが取り付けられていません。

AFPBはファイアリングピンに対するセフティなので、エアガンで再現されることはありません。モデルガンにはファイアリングピンがあるので、マルシンのM92Fシリーズで再現されています。

2. トリガーセフティ


セイフアクションの時に解説に出てきたトリガーセフティも、オートマチックセフティの一つです。
引っかけて発砲するのを防止するほか、例えば強く落とした時に慣性でトリガーが引かれてしまうのも防いでくれます。グロックにはマニュアルセフティが一切ありませんが、セイフアクションとトリガーセフティで、「トリガーを引かない限り弾が出ない」のを実現しています。

トリガーセフティはトイガンでももちろん再現されていて、どのメーカーのモデルでもまずライブになっています。

3. ハーフコック


M1911系のハンマーを起こすとき、途中まで起こして離しても、完全にハンマーダウンせずに、途中で止まります。この状態をハーフコックと呼び、シングルアクションが可能なオートマチックピストルには大抵この状態があります。

これは、トリガーを引いていない状態でシアが破損する等してハンマーがリリースされた時でも、途中でハンマーを止め、暴発しないようにするためのものです。また、銃によってはファイアリングピンが長すぎて、ハンマーがフルコックされていない状態からハンマーダウンすると発射してしまうものがありますが、そのような銃であっても、ハーフコック状態になることで、暴発を防いでくれます。

M1911系のガスブローバックガンはこれが採用されていて、例えば東京マルイのハイキャパシリーズは、ハンマーを手で押さえながらトリガーを引いてシアをリリース後、トリガーを離してからハンマーを押さえている手を離しても、ハンマーが途中で停止するようになっています。
ものによっては、マニュアルデコッキングができないように、手で押さえながらハンマーを下ろそうとすると、トリガーを引いていてもハーフコック状態になるモデルもあります。ガスガンは構造上マニュアルデコッキングをすると暴発するものがあるので、それを防ぐ意味でもありがたい仕組みです。

4. マガジンセフティ


S&Wの古いオートマチックピストルには、マガジンが入っていないと発砲できないものがあります。これは、マガジンが入っていない状態ではトリガーとシアのリンクが絶たれていて、マガジンを入れることでそれらが連結され、撃てるようになるというものです。

オートマチックピストルでは、マガジンを抜いていてもチャンバーに一発弾が残っていることがあります。マガジンが入っていないからといって、空撃ちのつもりで引き金を引いてしまった場合に、これで暴発させる事故がしばしば起こります。当人は空撃ちのつもりなので、マニュアルセフティは解除していますし、トリガーを引いているので上述のオートマチックセフティは全て無効になっています。そんな時でも、マガジンセフティは有効に作用して、暴発を防いでくれます。

とはいえ、最近はここまでするのは過剰だということで、マガジンセフティの付いていない機種が主流です。一部州では銃規制の一環でマガジンセフティの装備が必須とされていて、それ向けのモデルもあるのですが、元々マガジンセフティ無しで設計されているモデルに追加するのは難しのもあって、販売を行わないメーカーもあるようです。

まとめ


マニュアルセフティとオートマチックセフティの2段構えで銃は安全性を確保していますが、本質的に銃は武器なので、そもそも危険性のあるものです。そのため、ユーザーが正しい取り扱い方を身に着けていなければ、安全に使うことはできません。

とはいえ、私たちが使えるのは玩具ですし、そこまで過剰になることもありません。決まった手順を踏んで安全を確保してしまえば、楽しく遊ぶことができます。
次回はエアガンの安全な取り扱い方について、私なりの解釈をお伝えしたいと思います。

2016年10月19日水曜日

オートマチックピストルの安全装置(その1)

はじめに


グロックを紹介した時に、「マニュアルセフティが全くない実用性に割り切ったデザイン」と書きました。オートマチックピストルには通常なんらかの安全機構が備わっていて、落としたりしても暴発しないようになっています。

安全装置のうち、意識して手動で操作するものをマニュアルセフティと呼びます。マニュアルセフティには大きく2種類存在します。

1. コック&ロックセフティ


M1911系やH&KのUSP以降のピストル等に使用されているセフティです。


モデルによって少し構造が違っていて、M1911の場合はハンマーをコックした状態でトリガーとハンマーをロックするセフティになっています。ハンマーダウン状態でセフティをオンにできませんが、そもそもシングルアクションではハンマーダウン状態から発砲できないので、特に問題ありません。

一方、USP等のシングル・ダブルアクションでは、ハンマーダウン状態でもセフティをオンにできるものがあります。USPの場合は、セフティをオンにするとトリガーとハンマーのリンクが立たれ、トリガーがスカスカになります。

下記のデコッキングセフティと違って、コック&ロックセフティはオンにしてもハンマーの状態に影響を与えないので、解除すればそのままシングルアクションで発砲することができます。コッキングした状態でロックするので、「コック&ロック」と呼ばれます。

エアガンでもこのタイプのセフティはほぼ再現されていて、ガスブローバックガンのM1911は確実にこれが使用可能です。

2. デコッキングセフティ


シングル・ダブルアクションオートマチックで採用されるセフティです。
このセフティをオンにすると、ハンマーが強制的にダウンしますが、ファイアリングピンを叩かなくなるので、弾は発射されません。

ベレッタ Mod92F系のデコッキングセフティは、スライド上のレバーを下向きに回転させると、ハンマーがダウンして、トリガーとハンマーのリンクが絶たれます。そのままにしておけばどうやっても発砲できませんし、解除すればダブルアクションで発砲することができます。
このタイプのことだけを指して、マニュアルセフティと呼ぶこともあります


また、SIG P226系のデコッキングセフティは、デコッキングのみの機能を持ちます。フレーム左側のデコッキングレバーを下向きに動かすと、ハンマーがダウンしますが、デコッキングレバーはバネの力で戻ってしまいます。そのため、発砲できない状態を維持できませんが、「撃とうと思ったらセフティがかかっていて撃てなかった」という状態にならないようにするための意図的な設計です。ダブルアクションはトリガーが重いので、それがセフティになるという発想ですね。


USP以降のH&Kのオートマチックピストルは、レバーを上げるとコック&ロック、レバーを下げるとデコッキングという2段構えの設計になっています。バリエーションでコック&ロックのシングルアクションや、ダブルアクションオンリーも選べるので、全てがこのタイプというわけではありませんが、ガスブローバックガンで再現されているものはこれになります。


つづきます


マニュアルセフティは確かに安全なのですが、軍や警察で実際に命の危険がある時、あわててセフティを解除しないでトリガーを引いてしまい、発砲できない状態に陥ることが稀にあるそうです。
そのため、最近のオートマチックピストル、特にグロックやそのフォロワーのモデルの場合は、内蔵のオートマチックセフティに全て任せて、「引き金を引きさえすれば常に撃てる」ように設計することが多くなってきました。次回はそのあたりについて書きたいと思います。

2016年10月18日火曜日

オートマチックピストルのトリガーシステム(その2)

つづきから


一部メーカーが採用されている特殊な方式には、「ダブルアクションの安全性」と「シングルアクションのトリガープル」を両立したものがあります。

4. セイフアクション(変則セミダブルアクション)


グロック及びそのフォロワーのモデルに採用されている方式です。全てハンマーを使わず、ストライカー方式になっています。グロックで初めて採用され、特許が取られていましたが、特許切れに伴い同じ方式を採用したピストルが各社から発売されています。

この方式はスライドを引いただけではストライカーが完全にコックされません。その状態で万が一シアが外れても、打撃力が足りないので発砲できません。トリガーを引いていくと、ストライカーの残りの分がコックされ、引き切るとシアが外れてレットオフする仕組みです。

この方式ではストライカーは完全ではないとはいえコックされているので、トリガープルは軽くなっています。そのままだとトリガーを引っかけて発砲してしまうことがあるので、グロックではトリガーセフティというオートマチックセフティが装備されています。これは、トリガーの中央に小さいトリガーのようなものがあり、これと一緒にトリガーを引かない限り、フレームにひっかかってトリガーを引き切れなくなっています。
セイフアクションを採用した他社のピストルも、大抵は似たようなセフティが装備されています。

エアガンでセイフアクションを再現したものはありません。というのも、ガスガンの場合はマガジンの放出バルブを叩かなければならないので、ストライカー式の銃もハンマー内装式にアレンジされているためです。
もし、トイガンでセイフアクションを味わいたいならば、タナカが発売しているモデルガンのグロックがこの方式を再現しています。

5. LEMトリガー


H&KのP2000で選択できるトリガーシステムです。

このトリガーシステムでは、見かけ上ハンマーをコックしてもすぐに戻ってしまい、一見ダブルアクションのように見えます。しかし実際は、ハンマーは上下に分割されていて、下側のハンマー(シアにかかってる部分だけ)はコックされた状態です。
トリガーを引くと、連動して上部ハンマーがコックされます。上部ハンマーにはハンマーが戻る程度のスプリング圧しかかかっていないので非常に軽くトリガーを引くことができます。

コンベンショナルなオートマチックピストルの形をしつつ、セイフアクション同様のトリガープルを再現できる面白い仕組みです。

これも残念ながらエアガンには存在しません。モデルガンにもないので、体験するには海外で実銃射撃をするしかありません。

まとめ


今回は実銃についての話題でしたが、なぜこんな話をしたのかというと、これらのトリガーシステムが銃に付けられているセフティ機能と大きくかかわってくるからです。
解説中でも少し出しましたが、細かい話は次回以降書いていこうと思います。

2016年10月17日月曜日

オートマチックピストルのトリガーシステム(その1)

はじめに


グロックを紹介した時に、「マニュアルセフティが全くない実用性に割り切ったデザイン」と書きました。実はグロックピストルはマニュアルセフティが無くても、落下や衝撃を与えた時に暴発しない仕組みを備えるため、やや特殊なトリガーシステムを備えています。

グロックは特殊な例ですが、オートマチックピストルには、他にもいくつかのメジャーなトリガーシステムがあります。

1. シングルアクションオンリー


ハンマーをコックした状態からしか発砲できない方式です。とはいえ、オートマチックの場合は一発撃てば次は自動的にハンマーが起きた状態にすることができますし、初弾を装填した時にハンマーがコックされるので、その点は問題にはなりません。

この方式は、あらかじめハンマーがコックされているのでトリガーはシアを解除するだけでよく、トリガープルを非常に軽くできるのがメリットです。軽いトリガーの場合、トリガーを引いても狙いがずれにくいので、高精度の銃にすることができます。
一方、トリガーが軽いため、うっかり引っかけてトリガーを引いたりしないように、なんらかのセフティが必要です。

このタイプのトリガーシステムで最も有名なのが、M1911及びそのバリエーションモデルです。M1911の場合は、グリップセフティとサムセフティの2つのセフティを持っていて、サムセフティがかかっていればトリガーは動きませんし、仮にサムセフティを解除しても、グリップをしっかり握り込んでグリップセフティを解除しなければ撃てないようになっています。


一方、そのM1911を参考に徹底した省コスト化を図ったのがあのトカレフピストル、TT-33です。トカレフピストルはセフティも省略されているので、チャンバーに初弾を装填したままうっかり落としたりすると、暴発を起こすことがあります。当時は撃つ直前まで装填をしないルールだったのでこれでも問題なかったということです。

2. ダブルアクションオンリー


ハンマーは常にダウン状態で、トリガーを引くと連動してハンマーが起こされ、引き切ることでハンマーがレットオフされる方式です。手でハンマーを起こして、シングルアクションにすることはできません。

この方式はトリガープルが重く、狙いがぶれやすいという弱点があります。一方、トリガープルが重いおかげで、うっかりトリガーを引き切ってしまうことはまずありません。そのため、マニュアルセフティがなくても十分安全な銃にすることができます。

マニュアルセフティが不要と言うことは、余計なレバー類が外側に出ていないので、隠し持っていても引き抜くときに引っかかりにくいため、コンパクトなオートマチックピストルによく採用されています。

今回はオートマチックピストルの解説ですが、リボルバーもダブルアクションオンリーのものが結構あります。リボルバーは発射してもハンマーがコックされないので、マニュアルセフティが付いている銃は稀です。

エアガンにおいては、ガスブローバックガンには今のところこのタイプはありません。リボルバーを含む固定ガスガンでハンマー内装式の場合、ダブルアクションオンリーになっていることがあります。例えば、マルゼンのP99フィクスドスライドはダブルアクションオンリーですが、独特な構造でトリガープルがなめらかなので、快適に使うことが出来ます。

3. シングル・ダブルアクション


両方のモードを使用できる方式です。ハンマーダウンからトリガーを引けばダブルアクションですし、手でハンマーを起こしてシングルアクションにすることもできます。

このタイプのオートマチックピストルは多く、米軍が採用しているU.S. Pistol M9/M9A1やその元となったベレッタ Mod92FS、H&K USPやHK45、SIG P226及びそのバリエーションなど、多岐に渡ります。


これらのオートマチックピストルには、大抵の場合、コックされたハンマーを安全にダウンさせるためのデコッキング機能が付加されています。デコッキングをしておくと、トリガーがダブルアクション状態に戻るので、マニュアルセフティを解除しても安全に持ち運ぶことができ、トリガーを引けばそのまま発砲できます。

ただ、Cz75のようにデコッキング機能のないシングル・ダブルアクションオートマチックもあります。このようなモデルでダブルアクションを使うには、手でハンマーをしっかり押さえながらトリガーを引き、そっとダウンさせる必要があります。この操作をマニュアルデコッキングと呼びますが、正直なところ危険な操作なので、あまり推奨されてはいないようです。

ちなみに、マニュアルデコッキングをガスブローバックガンで行うと、方式によっては暴発しますので、やらないようにしてください。

つづきます


コンベンショナルな方式は上記3種類ですが、この他に特殊な方式がいくつかあります。特殊とはいえその中には現代では主流となっている方式がありますので、次回解説したいと思います。

2016年9月26日月曜日

スコープのパララックス

はじめに


「アイボックスの広いスコープは適当に覗いても標的が見える」という話をすでにしたかと思います。しかし、スコープは見えればいいというものではなく、レティクルで狙ったところに弾丸を送り込むことができなければ意味がありません。この時に重要になるのが、パララックス(視差)という概念です。

1. パララックスとは


スコープのレティクルは当然上下左右に調整ができるのですが、場合によっては覗き込む位置によって、レティクルの位置が変化してしまうことがあります。これをパララックスと呼びます。

例えば、30m先の標的にレティクルをきちんと合わせたとします。この状態でとっさに構えて、たまたま目がスコープをまっすぐ覗きこまずに、少しずれてしまった時、もしこのスコープがパララックスの影響を受けていると、レティクルに標的をぴたりと合わせたとしても、標的には当たりません。なぜなら、覗き込む位置がずれたことで、レティクルが指す場所がずれてしまっているからです。
これでは、いくらアイボックスの広いスコープを使っていても、狙ったところに当たらなくなってしまいます。

パララックスは標的までの距離に依存しています。100mでパララックスが無くなる(パララックスフリーと呼びます)ように設定されているスコープで、50m先の標的を狙うと、パララックスが発生します。この影響をなくすためには、パララックスを調整する必要があります。

2. パララックスの調整


スコープによっては、パララックスの調整ができるものとできないものがあります。パララックスの調整ができないスコープでは、あらかじめ設計された距離以外ではパララックスの影響をなくすことはできません。
一方、現在主流のスコープは大抵パララックスの調整が可能です。通常はフォーカスの調整と一体となっていて、レティクルと標的のピントがきちんと合っていれば、パララックスの影響を受けない状態であるといえます。

ただ、パララックスの調整範囲には上限があります。スマホのカメラで手元の小さいものを撮影する時、何度やってもオートフォーカスでピントが合わない、という現象を見たことがあるかと思いますが、それと同じで、ある程度近いとフォーカス調整機構ではピントを合わせきれなくなるのです。

これはエアガンにとっては大きな問題です。というのは、エアガンは実銃に比べてはるかに射程が短いので、パララックスの影響を受けない距離をより短くしなければならず、つまり通常よりも近距離の標的にピントを合わせなければいけない、ということになるからです。
この最低距離は、きちんとしたメーカーでは仕様として公開しています。完全に影響を取り切れないとしても、できるかぎりパララックスフリーの距離が短いものを選んだ方がよいでしょう。

2016年9月19日月曜日

ホップアップシステム

今回は一気に解説します


BB弾を飛ばす時、当然ながら強力な圧力をかければ遠くまで届きます。昔は実際こうやって、発射エネルギーだけで相当な距離を飛ばしていたようですが、現在ではパワー規制があるため、単純に発射しただけではほとんど飛びません。
しかし、普通の電動ガンでも、今の製品は50m近く飛ぶようになっています。このために存在するのが、ホップアップシステムです。

ホップアップシステムは、BB弾にバックスピンをかけることでマグヌス効果による揚力を与えて、遠くまで飛ぶようにする仕組みです。精度よく設計・組み立てられたホップアップシステムで回転力を与えられたBB弾は、低速ながら伸びるような弾道でスーッと飛んでいきます。特に、パワーの低い10歳以上用のエアガンを撃つと、この様子がはっきりとわかります。

通常、エアガンではチャンバー内にラバーの突起を出しておき、発射時にBB弾がその突起に触れることで、バックスピン(ホップ)をかけています。ホップが弱すぎると射程が短くなってしまいますし、強すぎると弾速が低下した頃に前進速度と揚力のバランスが崩れて、天高く舞い上がってしまいます。
好みもありますが、30m付近で少し浮き上がってから落ちるような弾道にすると、サバゲーでは使いやすい気がします。

ホップのかかり具合は、BB弾の重量、大きさ、表面の具合によって変わってきます。そのため、突起の出方を調節することでバックスピンの回転数を変化させて、適切なホップに変更できる可変ホップアップシステムを搭載したエアガンが主流です。
ただし、可変ホップアップシステムは調整がシビアだったり、構造上可変の仕組みを入れられなかったり等の理由で、固定ホップアップシステムを採用しているエアガンも数多くあります。このような場合は、BB弾の選択によって調整します。固定ホップアップエアガンのチャンバー上部に穴をあけて、イモネジをねじ込むことで調整できるようなカスタムをする人もいます。

ホップをかけると、通常は弾速が少し下がります。しかし、バレルが短く初速を稼ぐためにスプリングを強くする機種では、ホップをかけると弾速が上がる傾向があります。これは、チャンバーからBB弾が動き出す前に強いスプリングで一気に空気を圧縮するので、ホップをかけるほど内圧が高くなるためです。この間のバランスをうまくとると、ホップをかけても初速の変わらないエアガンになります。

これを極端にしたものがいわゆる流速チューンで、非常に短いバレルと強いスプリング、大量のエアーを使って、強いホップで撃ち出すものです。ホップをかけるほど弾速が上がるので、高い弾速と高回転を同時に得ることができ、射程を延ばすことができますが、持っているエネルギーが多いので「当たると痛い」という特徴もあります(銃刀法では弾速しか測定しないので、回転エネルギーはどれだけ高くても法に触れません)。スプリングも強いので、メカに与える負荷が高く、あまりおすすめはしません。

非常に軽いBB弾に回転をかけて弾道を制御する関係上、ホップアップシステムには高い精度が求められます。海外製のエアガンは弾速規制が緩い関係で、パワーにものを言わせて飛ばすことができるので、このあたりの精度があまい傾向があります。精密射撃に海外製を使うのであれば、ホップアップ周りは精度の良いパーツで組みなおした方がいいかもしれませんね。

2016年9月11日日曜日

電動ガンの種類(作動方式編3)

つづきから


今回はシアー式です。この方式を採用した製品は多くはありませんが、とても面白い特徴を持っています。

3.シアー式

最初にエアソフトガンの種類を紹介した時、「電動ガンとはエアーコッキングガンをモーターで自動化したもの」と示したような気がしますが、まさにこのシアー式はそれそのものです。

シアー式の場合、モーターがピストンを後退させるところまではほぼ一緒ですが、完全に後退しきった時点でピストンをシアーが固定します。モーターの動作はこの時点で終了します。
トリガーを引くと、シアーが倒れてピストンが前進し、BB弾を発射させるわけです。このあたりの動作は完全にエアーコッキングガンと同じです。

シアー式が面白いのは、BB弾を発射後、モーターが再始動し、ピストンを後退させた状態まで持ってくることです。
機械スイッチ式は「トリガーを引くとピストンが後退し、後退しきったら前進してBB弾を発射する」がひとつのサイクルであるのに対して、シアー式は「トリガーを引くとピストンが前進し、BB弾を発射、その後ピストンが後退してシアーで保持される」という動作になります。
ちなみに、最初の1発は基本的に手動でコッキングするので、これだけを見ると完全にエアーコッキングガンと一緒です。実際、電源を入れなければ、エアーコッキングガンとして撃つことができるモデルがほとんどです。また、使い終わってピストンを前進させておくには、電源を切って1発発射すれば、ピストンは後退しないので、そのまま保管できます。

さて、このピストンの動作ですが、何かに似ているような気がしませんか?

これは、ガスブローバックガンのアフターシュートブローバックとプレシュートブローバックの関係に似ています。弾が出る前に後退するか、弾が出た後に後退するかの違いです。
電動ガンでモデルアップされるようなロングガンの場合、重量があるので、軽いピストンの動作の反作用で大きく銃口がぶれてしまうことはまずありません。しかし、ピストンが後退状態から作動を開始するので、原理上ロックタイムを最短にすることができます。

ただし、シアー式はその構造上、部品点数が多く、メンテナンスが非常に難しいという欠点があります。
現在販売されているシアー式は、KSCのHK33/53シリーズと、TOPのUltimate Ejection Electric Blowbackシリーズですが、これらのどちらも作動に関するパーツが非常に多いため、個人でのメンテナンスが全く推奨されていません。また、組み込みが難しいためか、内部のカスタムパーツもほとんど発売されていません。

ちなみに、KSCとTOPのシアー式はそれぞれ構造が違っています。
KSCは完全に機械でタイミングを取っていて、最初の一発を撃つ前に手動でコッキングせずに電源を入れてしまうとタイミングがずれから破損してしまうため、発売当初は「壊れやすい」との評判が立ってしまいました。実際は正しく使えばそう簡単には壊れないのですが、機械スイッチ式に慣れた人は「ついうっかり」をしてしまいがちだったのも、原因のひとつでしょう。
若干トリガーは重いですが、独特の撃ち心地はとても気持ちの良いものです。


TOPの方式はさらに洗練させたもので、ピストンの位置をセンサーで検出しています。これにより、ピストンが完全に前進しない限りモーターを回転させないようにしているので、タイミングずれによる破損を防いでいます。他にも、最初のコッキングを全て手動でやらずに、ほんの少し引いてから戻すと、モーターが自動でコッキングするアシスト機能や、個別の電源スイッチを持たず、マガジンを入れなければ電源が入らない機能を持っています。
ちなみにTOPのシアー式電動ガンはボルトキャリアが完全に動作するようになっていて、しかもライブカート式も存在するので、電動ガンとは思えないリアルな作動を実現しています。

まとめ


電動ガンはロングガンの作動方式としては最もメジャーなものですが、ここまで述べたように、電動ガンと一口に言っても、さまざまな作動方式があります。
機械スイッチ式が一番リーズナブルで、カスタムのノウハウも多いため、最初の1丁には一番向いていると思います。そのうち、トリガーのレスポンスや射撃感が物足りなくなったら、電子制御式やシアー式に手を出してみるのをおすすめします。電子制御式特有の超高速なセミオート連射や、シアー式のダイレクト感は、一度撃つとやみつきになります。

電動ガンはほとんどがロングガンということもあって比較的高価なものが多いですが、その射撃性能は圧倒的です。サバゲーのみならず、プリンキング用途でも、気持ちよく遊ぶことができるので、予算ができたら手に取ってみることをおすすめします。

2016年9月10日土曜日

電動ガンの種類(作動方式編2)

つづきから


電動ガンの基本はほぼ前回の機械スイッチ式であって、その他の方式は「ピストンの制御をどうするか」という一点に尽きます。
今回は、最近特に人気の出てきた電子制御式について少し書いてみましょう。

2.電子制御式


電子制御式の原点は、おそらくSYSTEMAのPTW(Professional Training Weapon; トレポン)でしょう。東京マルイの機械スイッチ式が特許化されていたこともあって、全く異なる方式が求められていたというのが、たぶん最大の動機かもしれません。

PTWは構造自体が東京マルイの機械スイッチ式とは全く違うのですが、最近は機械スイッチ式の制御を電子制御にする、ドロップインタイプの制御ユニットが発売されています。
ドロップインタイプの制御ユニットを導入すると、動作が次のようになります。

まず、機械スイッチ式ではトリガーを引くといきなりモーターに通電していましたが、電子制御では内蔵CPUに対する制御信号が出ます。これを受けて、制御ユニットはモーターを回転させるため、モーターへの通電を開始します。
射撃システムそのものは機械スイッチ式と全く変わりませんが、カットオフレバーがスイッチを切るのではなく、「カットオフレバーが動作したこと」を表すボタンを押します。これによって、内蔵CPUは通電を終了します。制御ユニットの方式によっては、カットオフレバーを使わず、セクターギアの回転自体を光センサーや磁石で検出するものもあります。PTWは光センサーです。ARESのEFCSメカボックスは磁石を称しています。


基本はこれだけなのですが、これだけでもメリットがあります。
電動ガンがモーターを始動する時、スイッチには相当な電流が流れます。スイッチが接触するその瞬間、まだほんの少し隙間が空いている時、その隙間を無視して電流が流れる、いわゆるスパークが発生します。これによって、電動ガンのスイッチは少しずつ焦げることになります。これをスイッチ焼けといいます。スイッチ焼けがひどくなると、電流が流れなくなってしまうので、最終的に電動ガンは動作しなくなってしまいます。

一方、電子制御式では、トリガーのスイッチは単なる制御信号のON/OFFなので、非常に小さな電流しか流れません。そのため、スイッチが焼けることがなく、耐久性を延ばすことができます。

また、実は機械スイッチ式には「セミオートロック」という現象があります。これは、セミオート射撃中にトリガーを戻したタイミングが悪く、カットオフレバーが跳ね上がった瞬間にちょうど通電が終了してモーターの回転が停止すると、カットオフレバーが中途半端にスイッチを切ってしまい、次にトリガーを引いてもセミオート射撃ができなくなる現象です。
いったんこうなると、フルオートモードに切り替えて射撃しないかぎり、電動ガンは動作しなくなってしまいます。

しかし電子制御式では、カットオフレバーがきちんと作動を終えるまでCPU側でモーターの停止を遅延させることができるので、原理的にセミオートロックは発生しません。トリガーが単なるスイッチで、トリガーのストロークを短くできるという特徴と合わせて、セミオートの高速な連射が可能なので、セミオート縛りでサバゲーをする時に非常に強力です。

BB弾の発射についても、電子制御式にはCPUが乗っているため、細かい制御が可能です。
例えば、「カットオフレバーが3回作動したら通電を停止する」という制御にすれば、3点バーストが実現できます。
さらに、カットオフレバーが作動してモーターを停止する際、逆起電力を利用して電磁ブレーキをかければ、モーターの慣性を殺して、急停止させることができます。これをうまく使うと、ピストンがある程度後退した状態で止めておくことでき、次の射撃でトリガーを引いてからBB弾が発射されるまでの時間、ロックタイムを極端に短くすることもできます(プリコックと呼びます)。
モーターへの通電を常に全開で行うのではなく、細かくONとOFFを繰り返すPWM制御を行えば、フルオート射撃の連射速度を変化させることもできます。
以下はARESのコントローラーです。


機械スイッチ式のシンプルな構造はメンテナンス性もよく頑丈ですが、電子制御式にすると、このように電動ガンのポテンシャルをさらに引き出すことができるようになります。
ただし、精密な電子回路が搭載されることになるので、例えば雨の日に使ったりすると簡単に壊れてしまいます。泥だらけになるような荒い使い方をしたい人は、電子制御式よりも、機械スイッチ式の方が向いているかもしれません。

現在はいろいろ選べるようになっているので、自分のプレイスタイルやユースケースに合わせて、エアガンを選べばいいのです。

さらにつづきます


電動ガンには他にも作動方式があります。次回はシアー式について解説します。

2016年9月9日金曜日

電動ガンの種類(作動方式編1)

はじめに


昨日までガスガンについて書きました。ガスガン、特にガスブローバックガンについては、エンジンの作動方式などいくつか書きたいこともあるのですが、まずはその前に、主要なエアソフトガンの種類について紹介しておきたいので、今回は電動ガンについて書こうと思います。

電動ガンは命中精度もよく、連射も効くので、サバゲーでは一番よく使われている種類です。
各社さまざまな特徴を持つモデルが発売されていますが、今回は作動方式に目を向けて、分類してみることにします。


1.機械スイッチ式


最も主流の方式がこの機械スイッチ式です。といっても、このような名前で呼ばれることはありません。今私が適当に名付けました。最もメジャーで、電動ガンといえばこの方式という時代が長く続いたので、特に名前が付いていないのだと思います。
最初にこの方式を採用したのは、東京マルイのFA-MASです。マイナーチェンジを繰り返しながら、現在でも販売されている、ベストセラー商品です。



機械スイッチ式は、トリガーが単純な接点スイッチになっていて、トリガーを引くと接点が接触して電流が流れ、モーターを回転させる方式です。電動ガンの作動の流れはおおむね次のようになります。

まず、トリガーを引くと、それに連動したスイッチがONになり電流が流れ、モーターが回転します。モーターは、先端のピニオンギアから、べべルギア、スパーギア、セクターギアと回転力を伝え、セクターギアがピストン下部のラックギアを引くことで、ピストンを後退させます。

セクターギアの回転にはもうひとつ連動しているものがあります。これがタペットプレートで、セクターギアが回転するとタペットプレートもピストン同様に後退し、連動してノズルを後退させます。しかし、タペットプレートはピストンに比べてほんの少ししか後退せず、すぐにスプリングの力で前進します。これによって、ノズルはBB弾を拾い上げ、チャンバーに装填します。

一方、継続して後退しているピストンですが、セクターギアのラックギアとかみ合う歯は全周にわたって付いているわけではないので、やはりそのうちかみ合いが外れます。すると、抑えるものがなくなったピストンはスプリングの力で前進し、シリンダー内の空気を圧縮、ノズルから噴出させて、BB弾を発射する、という流れになります。

フルオート射撃しかできない銃の場合はこれだけで事足りてしまうのですが、大抵はセミオート射撃がありますから、もう少し仕組みがあります。
実は、セクターギアの回転にはもうひとつ、「カットオフレバー」というパーツが連動しています。セミオート射撃モードでは、セクターギアがある程度回転すると、カットオフレバーを跳ね上げて、スイッチの接触を強制的に切ってしまいます。スイッチが切られるとモーターは少しの間惰性で回転しますが、最終的には止まりますから、単発射撃になります。ここで切られたスイッチの接触は、トリガーをいったん戻すことでリセットされます。

なお、モーターが惰性で回転すると、一発射撃した後ピストンを少し引いてしまうことがあります。これを放置すると、スプリングの力に負けてピストンが前進し、2発目が弱々しく飛び出してしまうので、それを防ぐために、べべルギアに「逆転防止ラッチ」がかみ合うようになっています。ギアが逆回転しないようになっているので、仮にピストンが少し引かれてしまっても、そのままその位置で停止する仕組みです。

一見複雑なようですが、これらすべてがギアとスプリングの組み合わせで連動動作しています。これらのタイミングがほんの少しずれるだけで、例えばBB弾が発射されなかったり、逆に2発発射されてしまったり、偶数発目がヒョロヒョロだったりと、さまざまなトラブルを引き起こします。

よく設計されている電動ガンはメーカー出荷時の状態がもっともバランスのいい状態なので、故障するまではそのまま使って、おかしくなってから開けてみるようにした方がいいでしょう。あるいは、練習のためにあえて壊れているものを入手するのもいいかもしれませんね。


つづきます


電動ガンは今にいたるまでほぼこの機械スイッチ式のみだったのですが、最近はより高度な制御が可能な方式が生まれています。次回はそのうちのひとつ、電子制御式について書きたいと思います。

2016年9月8日木曜日

ガスブローバックガンの種類(作動方式編2)

つづきから


続いてしまいました。では、プレシュートブローバックガンについて説明しましょう。


2.プレシュートブローバック


プレシュートブローバックは、アフターシュートブローバックの逆で、BB弾が発射されてからスライドが後退する方式です。
作動方式は各社いろいろ工夫が凝らされていて、それぞれに特徴があるので、細かい仕組みは後日書く予定の別記事に譲りますが、簡単な説明だけはいつものようにしておこうと思います。



まず、初弾はアフターシュートブローバックと同じように手でスライドを引いて装填します。その状態でトリガーを引いてバルブを開放すると、まずバレル方向にガスが流れてBB弾が発射されます。
BB弾が発射されると、シリンダー内のバルブが切り替わり、シリンダーにガス圧がかかります。シリンダーにはスライドに固定されたピストンが入っているので(逆にスライドがシリンダーになっているものもあります)、ガス圧が上がるにつれてスライドが後退し、一定の距離スライドが下がるとバルブが閉鎖して、あとは慣性でスライドが下がる、という仕組みです。

バルブの切り替え方法やスライド内の構造に各社少しずつ違いはありますが、基本的な作動方式はほぼ同じです。
アフターシュートブローバックとは違い、BB弾が発射してからスライドが後退するので、スライドの後退の反作用で銃口が下がるのは、発射後になります。そのため、比較的狙ったところに当てやすい仕組みになっています。

一方、仕組みの説明を見て分かった方もいるかもしれませんが、スライドの後退に使ったガスはそのまま排出されてしまうため、アフターシュートブローバックに比べて燃費は悪くなります。とはいえ、現在でも改良されている方式なので、純粋な性能ではこちらの方がはるかに上です。


まとめ


実はこの他にもミドルシュートブローバックという中間的なものもあるのですが、数も少ないので今回は割愛させていただきました。
ガスブローバックガンは液化ガスを気化させて使う都合上、どうしても冷えに弱いという特徴があります。9月に入って少し秋の雰囲気になってきましたが、まだまだ暑い日が続いていますので、今のうちに楽しんでおくことにしましょう!

2016年9月5日月曜日

エアーコッキングガンの仕組みと特徴

はじめに


今日はエアーコッキングガンについて少し掘り下げてみましょう。
エアーコッキングガンは、エアソフトガン黎明期から存在する方式です。古くからサバゲーをやっている人にSS-9000と言うと、「懐かしいねー!」と返ってくるはずです。

仕組み


構造は非常にシンプルで、ピストンの後ろにスプリングがあり、手動でスプリングを圧縮しながらピストンを後退させ、「シアー」という部品にピストンをひっかけます。今回はピストンですが、実銃でもハンマーやファイアリングピンをセットして、トリガーを引けば撃てる状態にする操作のことを「コッキング」と呼びます。
シアーはトリガーに連動していて、トリガーを引くとシアーからピストンが外れてスプリングによって前進し、シリンダー内の空気を圧縮してBB弾を撃ち出す方式です。

スプリングの圧縮のタイミングが、シリンダーを引いた時と押し込んだ時の2種類がありますが、基本的な構造は全く同じです。どちらかといえば、シリンダーを引いた時にスプリングを圧縮する方式の方が、現在は主流です。この方式を、プルコッキングと呼びます。
逆に、シリンダーを押し込んだときにスプリングを圧縮する方式を、プッシュコッキングと呼びます。今ではほとんど使われていませんが、2016年現在発売されている製品では、Silverback Airsoftの"SRS"がこの方式です。

長所と短所


エアーコッキングガンは構造がシンプルなので、比較的安価なものが多いです。ハンドガンの場合は数千円で購入することができますし、ロングガンであっても、例えば東京マルイのVSR-10は2万円ほどで購入することができます。
しかも、BB弾を撃ち出すために必要なエネルギーは、手で圧縮したスプリングなので、BB弾以外の消耗品は不要です。いくらでも撃つことができます。

一方で、手動でスプリングを圧縮するので、連射すると非常に疲れます。ハンドガンのように小型のものの場合はスプリングを長くできないので、あまりパワーを上げてしまうと、コッキングするのがとても辛いエアガンになってしまいます。そのため、比較的ローパワーの製品が多くなっています。

ロングガンの場合は、長くしなやかなピストンを使用して多くの空気を圧縮、放出することで、コッキングが軽いまま、比較的高いパワーを持っているものが多くあります。先に挙げたVSR-10も、かなりコッキングの軽いエアーコッキングガンですが、高めのパワーを持っています。

また、作動部分が前後に動くピストンだけなので、命中精度が比較的高いのもこの方式のメリットです。ボルトアクションライフルをサバゲーでうまく使うと、スナイパーとしてかなり手強い存在になります。サバゲー以外でも、30m先のターゲットに対して射撃を行い、集弾性を競う「30mチャレンジ」といった、精密射撃においてもよく使われます。

まとめ


エアーコッキングガンでの射撃は、連射が効かない分、1発1発をしっかり狙って撃つ、射撃の醍醐味が味わえるような気がします。初心者がサバゲーで最初の一丁にするには少々厳しいですが、標的射撃をする分には無関係ですし、何よりターゲットの中心に一発で当てた時のうれしさは、連射とはまた違った喜びがあります。
そういう、一撃に賭けるストイックさが、エアーコッキングガンの魅力なんでしょうね。