2016年10月20日木曜日

オートマチックピストルの安全装置(その2)

つづきから


どうもこのところ実銃の話ばかりで申し訳ないのですが、安全な取り扱いをする上で実銃とエアガンの違いを理解するには、実銃の構造も知っておいた方がいいと思いますので、もう少しお付き合いください。

オートマチックピストルには、手動式のマニュアルセフティの他、自動式のオートマチックセフティもあります。
これらは落としたりひっかけたりした時に暴発するのを防ぐためのものであって、「撃ってはいけない時に引き金を引いてしまうことによる誤射」を防ぐことはできません。前回も書きましたが、「撃たなければいけない時に撃てないことを避ける」という設計が最近は多くなってきているので、その分オートマチックセフティの重要性が高くなっています。

1. オートマチックファイアリングピンブロック(AFPB)


APFBは、トリガーを引いていない時にファイアリングピンをブロックするものです。
なぜこれが必要かと言うと、シアが破壊されてハンマーがダウンした時や、落とした時の慣性でシアにハンマーがかからない程度にハンマーがコックされてしまい、そのまま落ちた時に暴発するのを防ぐためです。

AFPBは、何もしていない時に常にファイアリングピンを固定しています。トリガーを引くと内部で自動的に解除されるので、射手はAFPBの存在を気にする必要はありません。
ただ、元々AFPBが無かった銃を改良してAFPBを付けると、トリガーの感触が悪くなるので、特にマッチシューターがM1911系を使う場合は嫌われる傾向にあります。実際、Nighthawk等のマッチ用M1911には、AFPBが取り付けられていません。

AFPBはファイアリングピンに対するセフティなので、エアガンで再現されることはありません。モデルガンにはファイアリングピンがあるので、マルシンのM92Fシリーズで再現されています。

2. トリガーセフティ


セイフアクションの時に解説に出てきたトリガーセフティも、オートマチックセフティの一つです。
引っかけて発砲するのを防止するほか、例えば強く落とした時に慣性でトリガーが引かれてしまうのも防いでくれます。グロックにはマニュアルセフティが一切ありませんが、セイフアクションとトリガーセフティで、「トリガーを引かない限り弾が出ない」のを実現しています。

トリガーセフティはトイガンでももちろん再現されていて、どのメーカーのモデルでもまずライブになっています。

3. ハーフコック


M1911系のハンマーを起こすとき、途中まで起こして離しても、完全にハンマーダウンせずに、途中で止まります。この状態をハーフコックと呼び、シングルアクションが可能なオートマチックピストルには大抵この状態があります。

これは、トリガーを引いていない状態でシアが破損する等してハンマーがリリースされた時でも、途中でハンマーを止め、暴発しないようにするためのものです。また、銃によってはファイアリングピンが長すぎて、ハンマーがフルコックされていない状態からハンマーダウンすると発射してしまうものがありますが、そのような銃であっても、ハーフコック状態になることで、暴発を防いでくれます。

M1911系のガスブローバックガンはこれが採用されていて、例えば東京マルイのハイキャパシリーズは、ハンマーを手で押さえながらトリガーを引いてシアをリリース後、トリガーを離してからハンマーを押さえている手を離しても、ハンマーが途中で停止するようになっています。
ものによっては、マニュアルデコッキングができないように、手で押さえながらハンマーを下ろそうとすると、トリガーを引いていてもハーフコック状態になるモデルもあります。ガスガンは構造上マニュアルデコッキングをすると暴発するものがあるので、それを防ぐ意味でもありがたい仕組みです。

4. マガジンセフティ


S&Wの古いオートマチックピストルには、マガジンが入っていないと発砲できないものがあります。これは、マガジンが入っていない状態ではトリガーとシアのリンクが絶たれていて、マガジンを入れることでそれらが連結され、撃てるようになるというものです。

オートマチックピストルでは、マガジンを抜いていてもチャンバーに一発弾が残っていることがあります。マガジンが入っていないからといって、空撃ちのつもりで引き金を引いてしまった場合に、これで暴発させる事故がしばしば起こります。当人は空撃ちのつもりなので、マニュアルセフティは解除していますし、トリガーを引いているので上述のオートマチックセフティは全て無効になっています。そんな時でも、マガジンセフティは有効に作用して、暴発を防いでくれます。

とはいえ、最近はここまでするのは過剰だということで、マガジンセフティの付いていない機種が主流です。一部州では銃規制の一環でマガジンセフティの装備が必須とされていて、それ向けのモデルもあるのですが、元々マガジンセフティ無しで設計されているモデルに追加するのは難しのもあって、販売を行わないメーカーもあるようです。

まとめ


マニュアルセフティとオートマチックセフティの2段構えで銃は安全性を確保していますが、本質的に銃は武器なので、そもそも危険性のあるものです。そのため、ユーザーが正しい取り扱い方を身に着けていなければ、安全に使うことはできません。

とはいえ、私たちが使えるのは玩具ですし、そこまで過剰になることもありません。決まった手順を踏んで安全を確保してしまえば、楽しく遊ぶことができます。
次回はエアガンの安全な取り扱い方について、私なりの解釈をお伝えしたいと思います。

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