2016年10月15日土曜日

オートマチックピストルのグリップアングル

ちょっとしたコラムです


オートマチックピストルのグリップアングルには、実は大きく分けて2種類があることをご存じでしょうか。

100年以上前に開発されたU.S. Pistol M1911、いわゆるコルトガバメントですが、現代に至るまで45口径オートマチックピストルのマスターピースとして、延々使われています。軍用でもまだ特殊部隊で使われていますし、警察官の装備から一般人のシューティング用まで、広く普及しています。

一方、30年ほど前に開発されたグロック17は、軽量なポリマーフレームとシンプルな操作性で、今ではすっかり現代オートマチックピストルの代名詞となりました。特許が切れた今では、様々な企業がグロックピストルの設計を参考にしたポリマーフレームとストライカーを採用したオートマチックピストルを開発・販売しています。

これら2つのピストルですが、実はグロックのグリップは、M1911のグリップに比べて、ほんの少し寝ています。これは、発砲した時にフリンチング……リコイルを恐れて下向きに力をかけてしまうことで狙いを外すことに対する対策として、グリップの下部を膨らませたことによるものなのですが、M1911が約118°、グロックが約109°と、10°にも満たないわずかな差ではあるものの、とっさに構えた時、サイティングのずれとして現れてきます。

例えば、M1911に親しんだ人がグロックを使用すると、ほんの少し上を狙ってしまいます。逆に、グロックに慣れた人がM1911を使うと、ほんの少し下を狙ってしまうことになります。
この現象が起きると、シューティングではスコアが落ちますし、何より軍や警察でいざという時に狙いを外してしまう可能性が出てきます。

そのため、グロックピストルには、サードパーティからこのグリップ角度を補正するパーツが発売されています。Grip Force Adapterと呼ばれるこのパーツを使うと、グリップ後部のえぐれている部分を少し埋めることで、グリップの角度を補正してくれます。

グロックのフォロワーである各社のポリマーフレームオートは、大抵がグロックと同じグリップアングルを持ちます。これらに対する補正パーツは今のところ発売されていないようですが、グリップのバックストラップを交換可能なものが多く、それによっていくらか補正することができます。有名どころでは、S&W M&Pシリーズがそのような仕組みになっています。

ピストルのグリップアングルに関しては慣れと好みの問題なので、好きに選んでもらってよいのですが、使いたいと思った銃の角度が自分に合わないことがある、ということは理解しておくといいでしょう。

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