2016年10月7日金曜日

M4カービンのカスタム - マズルデバイス編(その2)

つづきから


続きです。マズルブレーキとサウンドサプレッサーについて解説します。

3. マズルブレーキ


 

M16ライフルやM4カービンのような小口径銃では反動もそれほど大きくありませんが、対物ライフルのような大口径銃になると、一発の反動がとても大きく、射手の肩を痛めてしまったりします。
例えば、実用的な狩猟用実包の中で最強クラスの威力を誇る.460Wetherby Magnumはとてつもなく反動が強く、マズルデバイスの無い猟銃からの射撃は、慣れている人でも数発が限界とされるくらいのリコイルを発生させます。軍用対物ライフルの実包はこれを超えるパワーを持つので、とてもなんらかの対策なしで撃てる代物ではありません。

そこで、コンペンセイターと同じように発射ガスを使用して反動を抑えるものがマズルブレーキです。コンペンセイターとの違いは、あちらが跳ね上がりを抑えることを主な目的としているのに対して、マズルブレーキは後ろ向きの反動を抑えることを主な目的としている点です。
マズルブレーキは、ほんの少し斜め後ろに発射ガスを噴き出させることで、反動を抑えます。戦車砲の砲口にT字のパーツが取り付けられているのを見たことがあるかもしれませんが、あれもマズルブレーキです。
ただし、コンペンセイターよりもさらに強烈に発射ガスを噴き出させるので、周囲の砂埃などをまき散らしてしまう欠点もあります。

基本的には大口径のライフルに取り付けられることが多いですが、AR-15でもロングレンジシューティング用にセッティングされたものには取り付けられることがあります。
大型のマズルブレーキが取り付けられたBarrett M82A1は、.50BMGという超強力な実包を使用しつつ、その重量とマズルブレーキの効果によって、立射で連発できるほどリコイルが軽減されています。

4. サウンドサプレッサー


 

言わずと知れた「サイレンサー」です。実際は無音まではいかないので、「サウンドサプレッサー」と呼ばれます。

サプレッサーは銃口から噴き出した発射ガスを内部のバッフルと呼ばれる空洞で拡散させ、低速にすることで、発射音を小さくします。発射ガスが低速になるので反動も軽減されますし、発射炎もサプレッサー内部で消えてしまうので、炎も目立ちません。

いいことづくめのようですが、当然ながら反動抑制効果はほとんどなくなってしまいます。
また、サプレッサーは内部で高温の発射ガスを受け止めるため劣化しやすく、数十発の射撃で内部パーツの交換が必要になります。

サプレッサーの工作精度や取り付け精度が低い場合、銃口から発射された弾丸がサプレッサーの内部に衝突する「バッフルストライク」という現象が発生することがあります。これは非常に危険なのですが、弾丸が通る穴を大きくすると消音効果が落ちてしまうので、高性能なサウンドサプレッサーは非常に高価です。

さらに、サプレッサーを使用するとバレル内の圧力が高くなる傾向があります。ガス圧駆動式の銃の場合は、作動に悪影響が出ることがあります。サプレッサーの取り付けを前提としたAR-15の場合は、ガスシステムが切り替え式になっていて、機関部に流入するガスの量を減らすことができるようになっているものもあります。

まとめ


当然ながらエアガンの場合、サウンドサプレッサー以外は外見が変わるだけです。しかし、その銃が使われるシチュエーションを想定してマズルデバイスを選択すると、エアガンといえどもそこに説得力が生まれます。

最終的にはもちろん好みなのですが、自分で設定を考えて選んでいくと、全体として統一感が生まれますし、「なるほど!」という納得感のあるセットアップになること間違いありません。そのためにも、実銃のパーツがどういう仕組みでどう働くのか、というのを知っておくことは、とても役に立つことだと思います。


0 件のコメント:

コメントを投稿