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2016年11月2日水曜日

ファイアリングモード(バースト)

つづきから


フルオートマチックモードは強力ですが、いくつか欠点があります。
ひとつは、射撃速度が高すぎて、弾を使いすぎるという問題です。サバゲーのBB弾と違って、実銃の場合は1つのマガジンに高々30発程度しか入りませんから、フルオートマチックでは2~3秒もあれば撃ち尽くしてしまいます。

また、フルオートマチックモードの場合、連続して発射するので、反動が激しくなる傾向があります。銃のグリップは重心からずれていますから、反動を受けると銃が跳ね上がってしまい、狙いが外れることが多くなります。

これらの欠点を解決するための方法として、バーストモードがあります。

3. バーストモード


バーストモードは、フルオートマチックモードの射撃を数発で強制的に中断する仕組みです。3点バーストは3発、2点バーストは2発で、自動的に連射が停止します。

バーストモードの基本的な動作はフルオートマチックモードとほぼ同じですが、シアーやその周辺のパーツが発射弾数をカウントできるような仕組みになっています(銃によって異なります)。3点バーストなら3発、2点バーストなら2発発射後に、セミオートマチックモード同様にディスコネクターが作動して、トリガーとシアーとのリンクを絶つことで、作動を停止させる仕組みです。

バーストモードが付いている銃はどうしてもパーツ点数が多くなる傾向があります。以前は射撃に慣れていない新兵が弾丸を多く消費することへの対策としてしばしばバーストモードが採用されましたが、メンテナンス性が低下したり、いざという時の火力に劣ったりすることが忌避され、あまり使われなくなっています。

アサルトライフルでは、かつてM16A2ライフルがフルオートマチックモードの代わりに3点バーストモードを採用していましたが、現在のM16A4ライフルやM4A1カービンはフルオートマチックモードに変更されています。
M16A2ライフルのバーストモードはフルオートマチック仕様のM16A1ライフルに比べて部品点数がほとんど増えておらず、非常にシンプルな構造でした。しかしその一方で、バースト射撃を途中で中断した時にカウンタがリセットされないため、最初の1回はバースト射撃される弾数が不安定になるという弱点を持っていたため、余計に火力に欠ける側面があったことは否めません。

一方、ロシアのAN94ライフル、通称アバカンは、興味深い目的のために2点バーストモードを応用しています。このライフルは、きわめて特殊な構造になっていて、フルオートマチックモードの最初の2発だけが、通常よりも高速に連射されるように設計されています。これによって、フルオートマチック射撃で銃が跳ね上がる前に2発撃ち出すことを可能にして、制圧力を上げています。
ただし、やはり構造が非常に複雑で、AK47シリーズの最大の特徴であったシンプルでルーズな構造は失われています。

また、日本の自衛隊が採用している89式小銃にも3点バーストモードが装備されています。M16ライフルのものとは異なり、バースト射撃中断時にカウンタがリセットされるため、半端な射撃はできなくなっています。日本の自動小銃として防衛戦闘を主目的として設計されている89式は、マシンガンに近い連射モードを重要視した設計になっているため、バーストモードを標準装備したのだと思われます。

トイガンでは、KSCのM93Rシリーズが3点バーストモードを装備しています(M93R-C、オート9はオプションです)。また、タニオコバのVP70に別売りのストックを取り付けると、3点バーストが使用可能になります。
ロングガンでは、VFCのUMPやG36シリーズに2点バーストモードの付いたモデルがあります。さらに、一部のガスブローバックのM16A2ライフルは、実銃同様のギアラック式3点バーストを採用しています。構造が実銃と同じなので、発射弾数が不安定になる点も完全に再現されています。

2016年11月1日火曜日

ファイアリングモード(フルオート)

つづきから


ハンドガンの場合はセミオートマチックモードがあれば十分ですが、ロングガン、特に軍用銃の場合は、相手の動きを抑制するために、フルオートマチックモードが付いていることがほとんどです。

2. フルオートマチックモード


1回のトリガー操作で1発発射されるセミオートマチックモードに対して、トリガーを引いている間作動が継続するのがフルオートマチックモードです。

前回、「ディスコネクターの調子が悪くなると、トリガーを引いている間スライドが動作し続けてしまう」と書きました。一見するとこれがフルオートマチックモードのように思えますが、この動作の場合、スライドやボルトキャリアが前進するのに合わせてハンマーが落ちていくので、ハンマーの打撃力が完全には伝わりません。そのため、不発が起きたり、発射サイクルにばらつきが発生したりします。

正式なフルオートマチックモードを持つ銃では、このような現象に対処するため、「フルオートシアー」という部品を持っています。フルオートシアーはスライドやボルトキャリアが閉鎖した時に自動的にトリップするシアーで、フルオートマチックモードでスライドが閉鎖するまで、ハンマーを保持する機能を持ちます。ディスコネクターが作動しない状態でも、閉鎖するまではフルオートシアーがハンマーを抑えているので、先に挙げたようなスライドの動作に合わせてハンマーが徐々に落ちる現象が起きなくなります。

先日紹介したKSC Beretta M93R IIはフルオートシアーを持つため、フルオートシアーの無い無印モデルに比べて、連射モード時の安定性に格段の差があります。ガスブローバックガンの場合、ハンマーの打撃力がきちんとバルブノッカーを通してマガジンの放出バルブに伝わっていないと、ガスの放出量が不安定になって作動も不安定になりやすいので、フルオートシアーの有無が作動性に大きくかかわってきます。


ちなみに、フルオートマチックモードの付いている銃は大抵の国で軍や法執行機関以外での所持が制限されています。そのため、元々フルオートマチックモードの付いていた軍用銃を民間仕様にする場合、フルオート化改造が簡単にできないようにすることを目的として、フルオートシアーが取り付けられないような構造変更が行われていることがあります。

例えば、アメリカでは民間向けにAR-15ライフルが数多く発売されていますが、ロアーレシーバーのフルオートシアーが入る部分が狭くなっていて、無加工ではフルオートシアーが入らないようになっています。さらに、MP5の民間仕様に至ってはグリップフレームの互換性自体が無くなっています。

民間カスタムライフルをエアガンで再現する場合は、このあたりにも気を使うと、さらにリアリティを高めることができますが、どうしてもサバゲー等ではフルオートマチックモードがあると強力であることから、セミオートマチック仕様のレシーバーはあまり出ていないので、なかなか難しいのが現状です。

2016年10月31日月曜日

ファイアリングモード(セミオート)

はじめに


前回ガスブローバックのM93Rを紹介しましたが、この銃にはセミオート、フルオート、3点バーストの3種類のファイアリングモードがあります。このような銃を、セレクティブファイアと呼びます。

電動ガンの場合は電子制御か機械制御で通電回数をカウントしてモーターを動作させるわけですが、ガスブローバックガンの場合は実銃と同じように、部品の組み合わせでハンマーの動作を制御しています。

今回はこの仕組みについて、説明しましょう。
なお、ここで説明するのはクローズドボルト式の銃についてです。オープンボルト式については、またの機会にとさせてください。

1. セミオートマチックモード


セミオートマチックモードは、「トリガーを1回引いたら1回発射される」仕組みです。
実銃の場合はチャンバーにカートリッジが入っている状態から、トリガーを引いて発射後、次のカートリッジがチャンバーに入って動作が終了します。ガスブローバックガンの場合はカートリッジがありませんがおおむね同じで、発砲後次のBB弾が自動的にチャンバーに入って、動作が終了します。

トリガーを引くとシアーが外れてハンマーが落ちるわけですが、スライドやボルトの動作は非常に速いので、発射後ハンマーがコックされた時も、トリガーは普通引かれたままのはずです。トリガーはシアーと連動していますから、トリガーを引いたままではシアーがハンマーにかからず、コックされたハンマーがそのまま落ちて、連射になってしまうのではないか、と思うかもしれません。

しかし、実際はそうなりません。
トリガーを引いて一発弾丸を発射すると、ディスコネクターという部品が作動して、トリガーとシアーの連動が絶たれ、シアーから見るとトリガーが引かれていない状態と同じ扱いになります。これで、シアーがハンマーにかかるようになります。
作動したディスコネクターは、トリガーを戻すとリセットされますから、「トリガーを1回引いたら1回発射される」という仕組みが実現できます。

これがセミオートマチックモードの仕組みです。
電動ガンの場合は、前に書いたように全然違う方式で作動を止めているのですが、ガスブローバックガンはほぼこの方式で実現されています。

なので、ディスコネクターの調子が悪くなると、トリガーを引いている間スライドが動作し続けてしまうような現象が起こります。これはフルオートでもなく、単なる暴発です。細かいことは、次回、フルオートマチックモードの回で説明することとしましょう。

2016年10月20日木曜日

オートマチックピストルの安全装置(その2)

つづきから


どうもこのところ実銃の話ばかりで申し訳ないのですが、安全な取り扱いをする上で実銃とエアガンの違いを理解するには、実銃の構造も知っておいた方がいいと思いますので、もう少しお付き合いください。

オートマチックピストルには、手動式のマニュアルセフティの他、自動式のオートマチックセフティもあります。
これらは落としたりひっかけたりした時に暴発するのを防ぐためのものであって、「撃ってはいけない時に引き金を引いてしまうことによる誤射」を防ぐことはできません。前回も書きましたが、「撃たなければいけない時に撃てないことを避ける」という設計が最近は多くなってきているので、その分オートマチックセフティの重要性が高くなっています。

1. オートマチックファイアリングピンブロック(AFPB)


APFBは、トリガーを引いていない時にファイアリングピンをブロックするものです。
なぜこれが必要かと言うと、シアが破壊されてハンマーがダウンした時や、落とした時の慣性でシアにハンマーがかからない程度にハンマーがコックされてしまい、そのまま落ちた時に暴発するのを防ぐためです。

AFPBは、何もしていない時に常にファイアリングピンを固定しています。トリガーを引くと内部で自動的に解除されるので、射手はAFPBの存在を気にする必要はありません。
ただ、元々AFPBが無かった銃を改良してAFPBを付けると、トリガーの感触が悪くなるので、特にマッチシューターがM1911系を使う場合は嫌われる傾向にあります。実際、Nighthawk等のマッチ用M1911には、AFPBが取り付けられていません。

AFPBはファイアリングピンに対するセフティなので、エアガンで再現されることはありません。モデルガンにはファイアリングピンがあるので、マルシンのM92Fシリーズで再現されています。

2. トリガーセフティ


セイフアクションの時に解説に出てきたトリガーセフティも、オートマチックセフティの一つです。
引っかけて発砲するのを防止するほか、例えば強く落とした時に慣性でトリガーが引かれてしまうのも防いでくれます。グロックにはマニュアルセフティが一切ありませんが、セイフアクションとトリガーセフティで、「トリガーを引かない限り弾が出ない」のを実現しています。

トリガーセフティはトイガンでももちろん再現されていて、どのメーカーのモデルでもまずライブになっています。

3. ハーフコック


M1911系のハンマーを起こすとき、途中まで起こして離しても、完全にハンマーダウンせずに、途中で止まります。この状態をハーフコックと呼び、シングルアクションが可能なオートマチックピストルには大抵この状態があります。

これは、トリガーを引いていない状態でシアが破損する等してハンマーがリリースされた時でも、途中でハンマーを止め、暴発しないようにするためのものです。また、銃によってはファイアリングピンが長すぎて、ハンマーがフルコックされていない状態からハンマーダウンすると発射してしまうものがありますが、そのような銃であっても、ハーフコック状態になることで、暴発を防いでくれます。

M1911系のガスブローバックガンはこれが採用されていて、例えば東京マルイのハイキャパシリーズは、ハンマーを手で押さえながらトリガーを引いてシアをリリース後、トリガーを離してからハンマーを押さえている手を離しても、ハンマーが途中で停止するようになっています。
ものによっては、マニュアルデコッキングができないように、手で押さえながらハンマーを下ろそうとすると、トリガーを引いていてもハーフコック状態になるモデルもあります。ガスガンは構造上マニュアルデコッキングをすると暴発するものがあるので、それを防ぐ意味でもありがたい仕組みです。

4. マガジンセフティ


S&Wの古いオートマチックピストルには、マガジンが入っていないと発砲できないものがあります。これは、マガジンが入っていない状態ではトリガーとシアのリンクが絶たれていて、マガジンを入れることでそれらが連結され、撃てるようになるというものです。

オートマチックピストルでは、マガジンを抜いていてもチャンバーに一発弾が残っていることがあります。マガジンが入っていないからといって、空撃ちのつもりで引き金を引いてしまった場合に、これで暴発させる事故がしばしば起こります。当人は空撃ちのつもりなので、マニュアルセフティは解除していますし、トリガーを引いているので上述のオートマチックセフティは全て無効になっています。そんな時でも、マガジンセフティは有効に作用して、暴発を防いでくれます。

とはいえ、最近はここまでするのは過剰だということで、マガジンセフティの付いていない機種が主流です。一部州では銃規制の一環でマガジンセフティの装備が必須とされていて、それ向けのモデルもあるのですが、元々マガジンセフティ無しで設計されているモデルに追加するのは難しのもあって、販売を行わないメーカーもあるようです。

まとめ


マニュアルセフティとオートマチックセフティの2段構えで銃は安全性を確保していますが、本質的に銃は武器なので、そもそも危険性のあるものです。そのため、ユーザーが正しい取り扱い方を身に着けていなければ、安全に使うことはできません。

とはいえ、私たちが使えるのは玩具ですし、そこまで過剰になることもありません。決まった手順を踏んで安全を確保してしまえば、楽しく遊ぶことができます。
次回はエアガンの安全な取り扱い方について、私なりの解釈をお伝えしたいと思います。

2016年10月19日水曜日

オートマチックピストルの安全装置(その1)

はじめに


グロックを紹介した時に、「マニュアルセフティが全くない実用性に割り切ったデザイン」と書きました。オートマチックピストルには通常なんらかの安全機構が備わっていて、落としたりしても暴発しないようになっています。

安全装置のうち、意識して手動で操作するものをマニュアルセフティと呼びます。マニュアルセフティには大きく2種類存在します。

1. コック&ロックセフティ


M1911系やH&KのUSP以降のピストル等に使用されているセフティです。


モデルによって少し構造が違っていて、M1911の場合はハンマーをコックした状態でトリガーとハンマーをロックするセフティになっています。ハンマーダウン状態でセフティをオンにできませんが、そもそもシングルアクションではハンマーダウン状態から発砲できないので、特に問題ありません。

一方、USP等のシングル・ダブルアクションでは、ハンマーダウン状態でもセフティをオンにできるものがあります。USPの場合は、セフティをオンにするとトリガーとハンマーのリンクが立たれ、トリガーがスカスカになります。

下記のデコッキングセフティと違って、コック&ロックセフティはオンにしてもハンマーの状態に影響を与えないので、解除すればそのままシングルアクションで発砲することができます。コッキングした状態でロックするので、「コック&ロック」と呼ばれます。

エアガンでもこのタイプのセフティはほぼ再現されていて、ガスブローバックガンのM1911は確実にこれが使用可能です。

2. デコッキングセフティ


シングル・ダブルアクションオートマチックで採用されるセフティです。
このセフティをオンにすると、ハンマーが強制的にダウンしますが、ファイアリングピンを叩かなくなるので、弾は発射されません。

ベレッタ Mod92F系のデコッキングセフティは、スライド上のレバーを下向きに回転させると、ハンマーがダウンして、トリガーとハンマーのリンクが絶たれます。そのままにしておけばどうやっても発砲できませんし、解除すればダブルアクションで発砲することができます。
このタイプのことだけを指して、マニュアルセフティと呼ぶこともあります


また、SIG P226系のデコッキングセフティは、デコッキングのみの機能を持ちます。フレーム左側のデコッキングレバーを下向きに動かすと、ハンマーがダウンしますが、デコッキングレバーはバネの力で戻ってしまいます。そのため、発砲できない状態を維持できませんが、「撃とうと思ったらセフティがかかっていて撃てなかった」という状態にならないようにするための意図的な設計です。ダブルアクションはトリガーが重いので、それがセフティになるという発想ですね。


USP以降のH&Kのオートマチックピストルは、レバーを上げるとコック&ロック、レバーを下げるとデコッキングという2段構えの設計になっています。バリエーションでコック&ロックのシングルアクションや、ダブルアクションオンリーも選べるので、全てがこのタイプというわけではありませんが、ガスブローバックガンで再現されているものはこれになります。


つづきます


マニュアルセフティは確かに安全なのですが、軍や警察で実際に命の危険がある時、あわててセフティを解除しないでトリガーを引いてしまい、発砲できない状態に陥ることが稀にあるそうです。
そのため、最近のオートマチックピストル、特にグロックやそのフォロワーのモデルの場合は、内蔵のオートマチックセフティに全て任せて、「引き金を引きさえすれば常に撃てる」ように設計することが多くなってきました。次回はそのあたりについて書きたいと思います。

2016年10月18日火曜日

オートマチックピストルのトリガーシステム(その2)

つづきから


一部メーカーが採用されている特殊な方式には、「ダブルアクションの安全性」と「シングルアクションのトリガープル」を両立したものがあります。

4. セイフアクション(変則セミダブルアクション)


グロック及びそのフォロワーのモデルに採用されている方式です。全てハンマーを使わず、ストライカー方式になっています。グロックで初めて採用され、特許が取られていましたが、特許切れに伴い同じ方式を採用したピストルが各社から発売されています。

この方式はスライドを引いただけではストライカーが完全にコックされません。その状態で万が一シアが外れても、打撃力が足りないので発砲できません。トリガーを引いていくと、ストライカーの残りの分がコックされ、引き切るとシアが外れてレットオフする仕組みです。

この方式ではストライカーは完全ではないとはいえコックされているので、トリガープルは軽くなっています。そのままだとトリガーを引っかけて発砲してしまうことがあるので、グロックではトリガーセフティというオートマチックセフティが装備されています。これは、トリガーの中央に小さいトリガーのようなものがあり、これと一緒にトリガーを引かない限り、フレームにひっかかってトリガーを引き切れなくなっています。
セイフアクションを採用した他社のピストルも、大抵は似たようなセフティが装備されています。

エアガンでセイフアクションを再現したものはありません。というのも、ガスガンの場合はマガジンの放出バルブを叩かなければならないので、ストライカー式の銃もハンマー内装式にアレンジされているためです。
もし、トイガンでセイフアクションを味わいたいならば、タナカが発売しているモデルガンのグロックがこの方式を再現しています。

5. LEMトリガー


H&KのP2000で選択できるトリガーシステムです。

このトリガーシステムでは、見かけ上ハンマーをコックしてもすぐに戻ってしまい、一見ダブルアクションのように見えます。しかし実際は、ハンマーは上下に分割されていて、下側のハンマー(シアにかかってる部分だけ)はコックされた状態です。
トリガーを引くと、連動して上部ハンマーがコックされます。上部ハンマーにはハンマーが戻る程度のスプリング圧しかかかっていないので非常に軽くトリガーを引くことができます。

コンベンショナルなオートマチックピストルの形をしつつ、セイフアクション同様のトリガープルを再現できる面白い仕組みです。

これも残念ながらエアガンには存在しません。モデルガンにもないので、体験するには海外で実銃射撃をするしかありません。

まとめ


今回は実銃についての話題でしたが、なぜこんな話をしたのかというと、これらのトリガーシステムが銃に付けられているセフティ機能と大きくかかわってくるからです。
解説中でも少し出しましたが、細かい話は次回以降書いていこうと思います。

2016年10月17日月曜日

オートマチックピストルのトリガーシステム(その1)

はじめに


グロックを紹介した時に、「マニュアルセフティが全くない実用性に割り切ったデザイン」と書きました。実はグロックピストルはマニュアルセフティが無くても、落下や衝撃を与えた時に暴発しない仕組みを備えるため、やや特殊なトリガーシステムを備えています。

グロックは特殊な例ですが、オートマチックピストルには、他にもいくつかのメジャーなトリガーシステムがあります。

1. シングルアクションオンリー


ハンマーをコックした状態からしか発砲できない方式です。とはいえ、オートマチックの場合は一発撃てば次は自動的にハンマーが起きた状態にすることができますし、初弾を装填した時にハンマーがコックされるので、その点は問題にはなりません。

この方式は、あらかじめハンマーがコックされているのでトリガーはシアを解除するだけでよく、トリガープルを非常に軽くできるのがメリットです。軽いトリガーの場合、トリガーを引いても狙いがずれにくいので、高精度の銃にすることができます。
一方、トリガーが軽いため、うっかり引っかけてトリガーを引いたりしないように、なんらかのセフティが必要です。

このタイプのトリガーシステムで最も有名なのが、M1911及びそのバリエーションモデルです。M1911の場合は、グリップセフティとサムセフティの2つのセフティを持っていて、サムセフティがかかっていればトリガーは動きませんし、仮にサムセフティを解除しても、グリップをしっかり握り込んでグリップセフティを解除しなければ撃てないようになっています。


一方、そのM1911を参考に徹底した省コスト化を図ったのがあのトカレフピストル、TT-33です。トカレフピストルはセフティも省略されているので、チャンバーに初弾を装填したままうっかり落としたりすると、暴発を起こすことがあります。当時は撃つ直前まで装填をしないルールだったのでこれでも問題なかったということです。

2. ダブルアクションオンリー


ハンマーは常にダウン状態で、トリガーを引くと連動してハンマーが起こされ、引き切ることでハンマーがレットオフされる方式です。手でハンマーを起こして、シングルアクションにすることはできません。

この方式はトリガープルが重く、狙いがぶれやすいという弱点があります。一方、トリガープルが重いおかげで、うっかりトリガーを引き切ってしまうことはまずありません。そのため、マニュアルセフティがなくても十分安全な銃にすることができます。

マニュアルセフティが不要と言うことは、余計なレバー類が外側に出ていないので、隠し持っていても引き抜くときに引っかかりにくいため、コンパクトなオートマチックピストルによく採用されています。

今回はオートマチックピストルの解説ですが、リボルバーもダブルアクションオンリーのものが結構あります。リボルバーは発射してもハンマーがコックされないので、マニュアルセフティが付いている銃は稀です。

エアガンにおいては、ガスブローバックガンには今のところこのタイプはありません。リボルバーを含む固定ガスガンでハンマー内装式の場合、ダブルアクションオンリーになっていることがあります。例えば、マルゼンのP99フィクスドスライドはダブルアクションオンリーですが、独特な構造でトリガープルがなめらかなので、快適に使うことが出来ます。

3. シングル・ダブルアクション


両方のモードを使用できる方式です。ハンマーダウンからトリガーを引けばダブルアクションですし、手でハンマーを起こしてシングルアクションにすることもできます。

このタイプのオートマチックピストルは多く、米軍が採用しているU.S. Pistol M9/M9A1やその元となったベレッタ Mod92FS、H&K USPやHK45、SIG P226及びそのバリエーションなど、多岐に渡ります。


これらのオートマチックピストルには、大抵の場合、コックされたハンマーを安全にダウンさせるためのデコッキング機能が付加されています。デコッキングをしておくと、トリガーがダブルアクション状態に戻るので、マニュアルセフティを解除しても安全に持ち運ぶことができ、トリガーを引けばそのまま発砲できます。

ただ、Cz75のようにデコッキング機能のないシングル・ダブルアクションオートマチックもあります。このようなモデルでダブルアクションを使うには、手でハンマーをしっかり押さえながらトリガーを引き、そっとダウンさせる必要があります。この操作をマニュアルデコッキングと呼びますが、正直なところ危険な操作なので、あまり推奨されてはいないようです。

ちなみに、マニュアルデコッキングをガスブローバックガンで行うと、方式によっては暴発しますので、やらないようにしてください。

つづきます


コンベンショナルな方式は上記3種類ですが、この他に特殊な方式がいくつかあります。特殊とはいえその中には現代では主流となっている方式がありますので、次回解説したいと思います。