2016年9月10日土曜日

電動ガンの種類(作動方式編2)

つづきから


電動ガンの基本はほぼ前回の機械スイッチ式であって、その他の方式は「ピストンの制御をどうするか」という一点に尽きます。
今回は、最近特に人気の出てきた電子制御式について少し書いてみましょう。

2.電子制御式


電子制御式の原点は、おそらくSYSTEMAのPTW(Professional Training Weapon; トレポン)でしょう。東京マルイの機械スイッチ式が特許化されていたこともあって、全く異なる方式が求められていたというのが、たぶん最大の動機かもしれません。

PTWは構造自体が東京マルイの機械スイッチ式とは全く違うのですが、最近は機械スイッチ式の制御を電子制御にする、ドロップインタイプの制御ユニットが発売されています。
ドロップインタイプの制御ユニットを導入すると、動作が次のようになります。

まず、機械スイッチ式ではトリガーを引くといきなりモーターに通電していましたが、電子制御では内蔵CPUに対する制御信号が出ます。これを受けて、制御ユニットはモーターを回転させるため、モーターへの通電を開始します。
射撃システムそのものは機械スイッチ式と全く変わりませんが、カットオフレバーがスイッチを切るのではなく、「カットオフレバーが動作したこと」を表すボタンを押します。これによって、内蔵CPUは通電を終了します。制御ユニットの方式によっては、カットオフレバーを使わず、セクターギアの回転自体を光センサーや磁石で検出するものもあります。PTWは光センサーです。ARESのEFCSメカボックスは磁石を称しています。


基本はこれだけなのですが、これだけでもメリットがあります。
電動ガンがモーターを始動する時、スイッチには相当な電流が流れます。スイッチが接触するその瞬間、まだほんの少し隙間が空いている時、その隙間を無視して電流が流れる、いわゆるスパークが発生します。これによって、電動ガンのスイッチは少しずつ焦げることになります。これをスイッチ焼けといいます。スイッチ焼けがひどくなると、電流が流れなくなってしまうので、最終的に電動ガンは動作しなくなってしまいます。

一方、電子制御式では、トリガーのスイッチは単なる制御信号のON/OFFなので、非常に小さな電流しか流れません。そのため、スイッチが焼けることがなく、耐久性を延ばすことができます。

また、実は機械スイッチ式には「セミオートロック」という現象があります。これは、セミオート射撃中にトリガーを戻したタイミングが悪く、カットオフレバーが跳ね上がった瞬間にちょうど通電が終了してモーターの回転が停止すると、カットオフレバーが中途半端にスイッチを切ってしまい、次にトリガーを引いてもセミオート射撃ができなくなる現象です。
いったんこうなると、フルオートモードに切り替えて射撃しないかぎり、電動ガンは動作しなくなってしまいます。

しかし電子制御式では、カットオフレバーがきちんと作動を終えるまでCPU側でモーターの停止を遅延させることができるので、原理的にセミオートロックは発生しません。トリガーが単なるスイッチで、トリガーのストロークを短くできるという特徴と合わせて、セミオートの高速な連射が可能なので、セミオート縛りでサバゲーをする時に非常に強力です。

BB弾の発射についても、電子制御式にはCPUが乗っているため、細かい制御が可能です。
例えば、「カットオフレバーが3回作動したら通電を停止する」という制御にすれば、3点バーストが実現できます。
さらに、カットオフレバーが作動してモーターを停止する際、逆起電力を利用して電磁ブレーキをかければ、モーターの慣性を殺して、急停止させることができます。これをうまく使うと、ピストンがある程度後退した状態で止めておくことでき、次の射撃でトリガーを引いてからBB弾が発射されるまでの時間、ロックタイムを極端に短くすることもできます(プリコックと呼びます)。
モーターへの通電を常に全開で行うのではなく、細かくONとOFFを繰り返すPWM制御を行えば、フルオート射撃の連射速度を変化させることもできます。
以下はARESのコントローラーです。


機械スイッチ式のシンプルな構造はメンテナンス性もよく頑丈ですが、電子制御式にすると、このように電動ガンのポテンシャルをさらに引き出すことができるようになります。
ただし、精密な電子回路が搭載されることになるので、例えば雨の日に使ったりすると簡単に壊れてしまいます。泥だらけになるような荒い使い方をしたい人は、電子制御式よりも、機械スイッチ式の方が向いているかもしれません。

現在はいろいろ選べるようになっているので、自分のプレイスタイルやユースケースに合わせて、エアガンを選べばいいのです。

さらにつづきます


電動ガンには他にも作動方式があります。次回はシアー式について解説します。

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