はじめに
前回CO2を使用するBBガンが出てきましたが、この機会にガスガンのパワーソースであるガスについて考えてみましょう。
ガスと言ってもなんでもいいわけではなく、エアガン専用のガスがいくつか存在します。今回はそれを紹介しようと思います。
1. HFC-134a
現在最もメジャーなガスです。いわゆる代替フロンガスです。
ガスガン用のガスの中ではバランスがよく、気化温度が低めなので、フロンガスの中では冷えに強い方です。不燃性なので、ガス自体の安全性は比較的高い部類でしょう。
大抵のガスガンはHFC-134aでの利用が推奨されています。
ただし、地球温暖化係数が非常に高いので、既に廃止が決まっています。代替ガスは現在さまざまに検討されているようですが、まだ製品としては出てきていません。
パッキンに対する攻撃性が低いので、保管時にガスを入れっぱなしにしておかなければならないタイプのマガジンには、これをおすすめします。
2. HFC-152a
HFC-134aに次いでメジャーなガスです。これも代替フロンガスです。ガスガン以外にはエアダスターに使われていたりします。
気化温度はやや高めで冷えに弱く、可燃性という欠点がありますが、HFC-134aより安価なのが特徴です。また、地球温暖化係数もHFC-134aよりは低い方です。
パッキンに対する攻撃性がやや高いので、入れっぱなしで保管するのには向いていません。
HFC-134aとは価格差があるので、夏場にバリバリ使うのにはこちらの方がいいかもしれません。
3. CO2(二酸化炭素)
誰でも知っている二酸化炭素ガスです。
上記2つのガスとは全く違って、このガスは普通のガスガンには使えません。専用に設計されたガスガンが必要です。
CO2は主にビール等を生産した際に発生したものを再利用しているので、環境負荷が各段に低いのが特徴です。圧力が高く、冷えに強いので、対応したガスガンでは素晴らしい作動性を誇ります。また、当然不燃性で、パッキンへの攻撃性もありません。
ただ、圧力が高すぎるのが問題で、他のガス用に設計されたガスガンにこのガスを使用して、うっかり作動できてしまうと、確実に銃刀法違反のパワーが出てしまいます。専用のガスガンが必要というのはこういうことです。
4. 空気
マガジンに充填することはできませんが、これもひとつのパワーソースになりえます。コンプレッサーで圧縮した空気をホースを通じてマガジンに導入し、作動させます。
これも高圧になることがあるので、きちんとレギュレータで減圧しなければなりません。エアガン専用の高圧にならないレギュレータがあるので、それを使用し、できれば途中にリリーフバルブを入れておきましょう。
ガスガンのハンマースプリングを弱くして、高圧時に作動しないようにしておくのもとても有効です。
当然ながら、可燃性はなく、最も環境に優しいパワーソースです。
適法性について
せっかくなので、ガスガンのパワーソースの適法性について、少し説明しておきましょう。
よく、「CO2は違法だ」「外部ソースは違法だ」と言う方もいますが、ガス自体には違法性はありません。ガスガンのパワーソースで違法になるポイントは2つあります。
ひとつはもちろん弾速です。CO2のような高圧ガスを使った場合、低圧ガス用のガスガンでうっかり作動してしまうと、ほぼ確実に弾速が法規制値をオーバーします。幸い、国産のエアソフトガンは高圧マガジンのバルブを作動させられるようなハンマースプリングは入っていませんが、交換していたり、元々固いスプリングのモデルだったりすると、まずいことになります。
もう一つは、充填です。CO2のような高圧ガスは、高圧ガス保安法で容器の移し替えが規制されています。トイガン用のCO2マガジンは、12g入りの小型のボンベをそのまま挿入して使うようになっているのですが、専用マガジンを使わずにフロンガス用のマガジンに移し替えてしまうと、それだけで違法になります。それ以上に、耐圧性能がCO2用に設計されていないので、破裂するおそれがあり、非常に危険です。絶対にやらないようにしてください。
高圧ガスによる作動を楽しみたいと思ったら、日本の規制に完全に適合したCO2専用モデルが、マルシン工業から発売されています。まだ普及途上なのでランニングコストは高いですが、真冬でも強烈な作動が楽しめるので、非常におすすめです。