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2016年10月3日月曜日

バッテリーのコネクターの規格

はじめに


電動ガンは比較的息の長い製品です。一方で、近年のスマートフォンなどをみればわかりますが、バッテリーの進歩はとても早く、小型で、軽量で、大容量で、出力の大きい製品がどんどん出てきています。
バッテリーの特性が変われば、その出力方法……端子の形状も変化していきます。このあたりは結構常識でありながら、なかなかまとまった情報がWeb上にないので、いい機会ですから整理しておくことにします。

1. ラージコネクター


一番最初に採用されたコネクターです。タミヤのラジコンに使われているので、タミヤコネクターとも呼ばれます。
メスコネクター内部のピンが、オスコネクター内部のプラグに挿入されることで通電します。コネクターの取り付け方法は圧着です。

定格電流は15Aで、電動ガンを普通に使う分にはなんとか足りる程度でしょう。

主に固定ストックにバッテリーを格納するモデルで使用されています。というより、コネクターのサイズが大きいので、ハンドガードやバッファーチューブにバッテリーを格納するのが難しい、と言った方がいいかもしれません。

このコネクターはひとつ欠点があります。ピンをプラグに挿入するという方式であるため、脱着を繰り返すとプラグが広がってしまい、接触不良を起こしやすいことです。
電動ガンを作動させると大きな電流が流れるので、ほんの少しの接触不良なら普通に動いてしまうのですが、その場合スパークが発生するので、ピンとプラグが焦げてしまいます。これによって、接触不良を悪化させて、最終的には使えなくなってしまうことがあります。
どうも最近動作のキレが悪い、と思ったら、コネクターを疑ってみるといいかもしれません。

2. ミニコネクター


ラージコネクターを一回り小型にしたコネクターです。仕組みはラージコネクターと全く同じなので、基本的な特性、特徴もラージコネクターと全く同じです。

サイズが小さいので、ハンドガードや伸縮ストックにバッテリーを格納する場合によく使われるもので、現在主流のコネクターです。

定格電流10Aと、電動ガンを作動させるには少し心もとない性能です。フルオートメインの運用であればまだよいのですが、リチウムポリマーバッテリーを使ってセミオートを多用する場合は、なるべくこのコネクターから変更した方がよいと思います。

3. マイクロディーンズコネクター


ミニT等とも呼ばれるコネクターです。板バネ状の端子が突き出していて、コネクターを接続するとバネの力で端子が密着する仕組みになっています。

この端子は定格電流30Aまで耐えられるので、高電圧バッテリーを使用するモデルによく使われます。板バネで押さえつける関係上、電流のロスが少ないので、タミヤコネクターやミニコネクターと比べて、同じバッテリーを使っていても少し性能が良くなります。
また、コネクターが非常に小さく、ミニコネクターの半分ほどしかないので、バッファーチューブ内にバッテリーを格納するのにうってつけです。

一方、オス側の端子が露出しているので、扱いを誤ると変形させてしまうことがあります。また、取り付けを間違えてオス側をバッテリーに取り付けてしまうと、ショートさせてしまう危険性があります。バッテリーには必ずメス側を取り付けるようにしましょう。
コネクター自体はプラスマイナスを逆に繋ぐことはできませんが、端子を接触させるだけならできてしまうのも欠点です。コネクターの取り付けにはんだ付けが必要なこともあり、総じて上級者向けのコネクターと言えます。

4. BECコネクター


BECコネクターは非常に小さなコネクターで、電動ハンドガン用のリポバッテリーアダプターに使われています。電動ハンドガンはバッテリーを格納するスペースがほとんどなく、マイクロディーンズコネクターですら大きすぎるので、これが使われています。

定格電流が3Aしかなく、電動ガンに使うには完全に力不足です。セミオートの連射を使用するのにはかなり厳しいスペックと言わざるを得ません。基本的には電動ハンドガン用なのでそうそう多く撃つこともないとは思いますが、このコネクターを使う場合は、あまり連射をしすぎないようにする必要があるかと思います。

まとめ


基本的には大きいコネクターほど効率がよく、寿命も長いのですが、スペースが限られた電動ガンではそうそう大きなコネクターを使うわけにもいかないのがネックです。
内部カスタムをしていない状態でそのまま使う分には、純正状態で使っても特に問題はないでしょう。特にラージコネクターの場合はそこそこ余裕があるので、無理して変更する必要もないかと思います。
一方、サイクルを上げたり、電子制御方式にしてプリコック制御を行う場合、大電流を流すことになるので、マイクロディーンズコネクターのような高効率のものに変更することをおすすめします。

ちなみに、すべてのコネクターはショートを防ぐため、バッテリー側をメスコネクターにします。電動ガン側のバッテリーコネクターと、バッテリーのコネクターをまとめて交換する場合は気を付けるようにしましょう。

2016年10月2日日曜日

電動ガンのバッテリー格納(M16ライフル・M4カービン 後方配線編)

つづきから


では、後方配線です。これもいくつかの格納方式があります。


3. 後方配線・ストック


M16ライフルのように固定ストックモデルの場合、ストック内部に大きなスペースを用意できるので、そこに設置するのが定石です。以前はニッカドバッテリーで容量も少なかったので、大容量タイプのバッテリーを固定ストックに入れることで連続稼働時間を延ばすようにする人もいました。
今でこそリチウムポリマーバッテリーを使用して他の場所に入れる人も増えましたが、固定ストックにバッテリーを格納するようにすれば、内部が広くケーブルの取り回しも楽なので、今でも好む人が多い方式です。

一部のM4カービンはSOPMODストックのようなバッテリーコンパートメントのあるストックを使うことで、伸縮ストックでもバッテリーを格納できるようにしています。
次世代SOPMODのSOPMODバッテリーはこれの亜種で、複数の接点を組み合わせて専用のストックを使うことにより、カセット式のバッテリーを伸縮ストックに使えるようにしたものです。取り回しは非常に楽ですが、あまり効率がよくないのが欠点です。
アダプターを使えば通常のバッテリーを使うこともできます。


4. 後方配線・バッテリーポーチ


後方配線でもバッテリーケースを使用することができます。こちらはレール取り付け型ではなく、ストックに取り付けるポーチが主流です。
これは以前よく見られた方式で、ストック内に格納するような大型のバッテリーを伸縮ストックの横に括り付けて運用します。大きく重いバッテリーでも、銃の後ろ側に重量がかかるので、取り回しはそれほど難しくはありません。

ただ、リチウムポリマーバッテリーのように衝撃に弱いバッテリーをこの方式で使うことはおすすめできません。どちらかといえば大型のニッカドバッテリーを使いたい人向けです。


5. 後方配線・バッファーチューブ


バッファーチューブは細く、ニッカドバッテリーやニッケル水素バッテリーはとても入りませんが、リチウムポリマーバッテリーの普及によって、バッファーチューブもバッテリーの格納場所として使えるようになりました。

スペースが狭いので大きなバッテリーは入りませんが、800mAh程度のリチウムポリマーバッテリーであれば、バッファーチューブにすっぽりと入れることができます。
東京マルイ製品はリチウムポリマーバッテリーの使用をメーカーが推奨していないので、標準でこの方式を採用するものはありません。G&Pなど、主に海外製の製品がこの方式を採用しています。また、SYSTEMA PTWもこの方式です。

次世代SOPMODや次世代M4では、バッファーチューブ内にリコイルウェイトが入っているため、この方式は使用できません。
また、スペースが狭いのでコネクターのサイズが問題になることがあります。後日紹介しますが、マイクロディーンズコネクターという形状のコネクターに取り換えて使っている方がほとんどです。

これらの他に、最近開発された特殊な方式があります。これがマガジンバッテリー方式です。


6. マガジンバッテリー


東京マルイ 次世代電動ガン HK416Cや、SYSTEMA PTW リコイルモデルは、バッテリーをマガジンに格納する「バッテリーマガジン方式」になっています。




この方式の最大の利点は、パワーソースの位置が実銃と全く同じであることです。実銃は当然ながらカートリッジ内の発射薬の燃焼ガスで動作するので、パワーソースはマガジン内に存在することになりますが、バッテリーマガジン方式では、それと同様に、バッテリー内にBB弾と一緒にバッテリーを格納します。
そのため、バッテリーという電動ガンに必須の巨大なパーツが銃本体から取り除かれるので、銃に大きなスペースが必要とされなくなります。

ただし、マガジンをバッテリーに格納するということは、マガジンごとにバッテリーを用意しなければならないということでもあります。しかも装弾数が少ないので、余計にマガジンが多く必要です。特にSYSTEMA PTWの純正マガジンバッテリーは非常に高価で、マガジンとセットでガスブローバックハンドガンが買えるくらいの価格設定がされています。

また、リチウムポリマーバッテリーを使用している場合等は特にですが、マガジンの乱暴な扱いでバッテリーが破損すると危険なので、マガジンチェンジでマガジンを投げ捨てたりしないように注意する必要があります。


まとめ


電動ガンの場合、そもそもバッテリーをどこに入れるかは非常に大きな課題です。リチウムポリマーバッテリーの普及でだいぶ融通がきくようにはなりましたが、M4カービンは案外スペースがなく、毎回悩ましいところです。

リチウムポリマーバッテリーに抵抗がないのであれば、バッファーチューブにバッテリーを格納すると、ストックとハンドガードを自由に選べるようになるのでおすすめです。

2016年10月1日土曜日

電動ガンのバッテリー格納(M16ライフル・M4カービン 前方配線編)

はじめに


前回次世代SOPMODの紹介をしましたが、次世代SOPMODはそのバッテリーの格納方式に非常に特徴のあるモデルでした。

電動ガンは当然ながらバッテリーが無ければ動作しないものですが、バッテリーは比較的場所を取る部品なので、毎回格納場所に苦労します。
M16ライフル・M4カービン系の電動ライフルでは、大きく分けてメカボックスの前側にバッテリーを配置する前方配線と、後ろ側に配置する後方配線の2種類があります。具体的には、以下のような場所にバッテリーを格納するようになっています。


1. 前方配線・ハンドガード


スタンダード電動ガンのM4A1カービンや、次世代電動ガン M4A1カービンのように、ノーマルのハンドガードを使用したM4カービンは、ハンドガードにバッテリーを格納します。

スペースにはあまり余裕がないので、ニッケル水素バッテリーやニッカドバッテリーの場合は、ミニバッテリーと呼ばれる種類のバッテリーを使用します。リチウムポリマーバッテリーの場合は自由な形状にできるので、二股になったヌンチャクバッテリーなども入ったりします。




2.前方配線・バッテリーケース


レールハンドガードを取り付けたM4カービンの場合、とてもミニバッテリーが入るようなスペースはハンドガード内にありません。しかし、ニッカドバッテリーやニッケル水素バッテリーはどうしてもサイズが大きいので、そのほかのどこにもバッテリーを格納する場所がない、ということがあります。

このような場合は、レールに取り付けることのできるバッテリーケースを用意して、その中に格納することができます。もちろん、リチウムポリマーバッテリーを入れることもできます。

大抵の場合は、軍用のレーザーサイト(AN/PEQ-2やAN/PEQ-15、AN/PEQ-16等)をモチーフにしたバッテリーケースを使用します。以前はバッテリーサイズの関係でデフォルメされていることも多かったですが、現在ではリチウムポリマーバッテリーを使用することで、本物そっくりの形状を持ったバッテリーケースもあるので、それほど違和感なく使用することができます。




つづきます


前方配線はこのくらいなのですが、後方配線にも種類が結構あります。また、最近はその他の方式も出てきています。結構な分量になりそうなので、続きは次回にしましょう。

2016年9月18日日曜日

ガスガンに使用できるガス

はじめに


前回CO2を使用するBBガンが出てきましたが、この機会にガスガンのパワーソースであるガスについて考えてみましょう。
ガスと言ってもなんでもいいわけではなく、エアガン専用のガスがいくつか存在します。今回はそれを紹介しようと思います。

1. HFC-134a



現在最もメジャーなガスです。いわゆる代替フロンガスです。
ガスガン用のガスの中ではバランスがよく、気化温度が低めなので、フロンガスの中では冷えに強い方です。不燃性なので、ガス自体の安全性は比較的高い部類でしょう。
大抵のガスガンはHFC-134aでの利用が推奨されています。

ただし、地球温暖化係数が非常に高いので、既に廃止が決まっています。代替ガスは現在さまざまに検討されているようですが、まだ製品としては出てきていません。

パッキンに対する攻撃性が低いので、保管時にガスを入れっぱなしにしておかなければならないタイプのマガジンには、これをおすすめします。

2. HFC-152a



HFC-134aに次いでメジャーなガスです。これも代替フロンガスです。ガスガン以外にはエアダスターに使われていたりします。
気化温度はやや高めで冷えに弱く、可燃性という欠点がありますが、HFC-134aより安価なのが特徴です。また、地球温暖化係数もHFC-134aよりは低い方です。

パッキンに対する攻撃性がやや高いので、入れっぱなしで保管するのには向いていません。
HFC-134aとは価格差があるので、夏場にバリバリ使うのにはこちらの方がいいかもしれません。

3. CO2(二酸化炭素)



誰でも知っている二酸化炭素ガスです。
上記2つのガスとは全く違って、このガスは普通のガスガンには使えません。専用に設計されたガスガンが必要です。

CO2は主にビール等を生産した際に発生したものを再利用しているので、環境負荷が各段に低いのが特徴です。圧力が高く、冷えに強いので、対応したガスガンでは素晴らしい作動性を誇ります。また、当然不燃性で、パッキンへの攻撃性もありません。

ただ、圧力が高すぎるのが問題で、他のガス用に設計されたガスガンにこのガスを使用して、うっかり作動できてしまうと、確実に銃刀法違反のパワーが出てしまいます。専用のガスガンが必要というのはこういうことです。

4. 空気


マガジンに充填することはできませんが、これもひとつのパワーソースになりえます。コンプレッサーで圧縮した空気をホースを通じてマガジンに導入し、作動させます。

これも高圧になることがあるので、きちんとレギュレータで減圧しなければなりません。エアガン専用の高圧にならないレギュレータがあるので、それを使用し、できれば途中にリリーフバルブを入れておきましょう。
ガスガンのハンマースプリングを弱くして、高圧時に作動しないようにしておくのもとても有効です。

当然ながら、可燃性はなく、最も環境に優しいパワーソースです。

適法性について


せっかくなので、ガスガンのパワーソースの適法性について、少し説明しておきましょう。
よく、「CO2は違法だ」「外部ソースは違法だ」と言う方もいますが、ガス自体には違法性はありません。ガスガンのパワーソースで違法になるポイントは2つあります。

ひとつはもちろん弾速です。CO2のような高圧ガスを使った場合、低圧ガス用のガスガンでうっかり作動してしまうと、ほぼ確実に弾速が法規制値をオーバーします。幸い、国産のエアソフトガンは高圧マガジンのバルブを作動させられるようなハンマースプリングは入っていませんが、交換していたり、元々固いスプリングのモデルだったりすると、まずいことになります。

もう一つは、充填です。CO2のような高圧ガスは、高圧ガス保安法で容器の移し替えが規制されています。トイガン用のCO2マガジンは、12g入りの小型のボンベをそのまま挿入して使うようになっているのですが、専用マガジンを使わずにフロンガス用のマガジンに移し替えてしまうと、それだけで違法になります。それ以上に、耐圧性能がCO2用に設計されていないので、破裂するおそれがあり、非常に危険です。絶対にやらないようにしてください。

高圧ガスによる作動を楽しみたいと思ったら、日本の規制に完全に適合したCO2専用モデルが、マルシン工業から発売されています。まだ普及途上なのでランニングコストは高いですが、真冬でも強烈な作動が楽しめるので、非常におすすめです。

2016年9月16日金曜日

バッテリーの種類と扱い方(リチウムフェライトバッテリー編)

つづきから


今回は、もうひとつのリチウム系バッテリーである、リチウムフェライトバッテリーについて解説しましょう。

4.リチウムフェライトバッテリー


リチウムフェライトバッテリーは、正極(+)にリン酸鉄リチウムを使用したリチウムバッテリーです。「リフェ」と呼ばれることもあります。電動ガンで正式に採用したものはありませんが、タミヤのラジコンの純正バッテリーはこれです。

リチウムフェライトバッテリーの最も良い点は、リチウムポリマーバッテリーに比べて、比較的安全性が高い点です。ニッカドバッテリーほどではありませんが、過放電に比較的強く、リチウムの析出によるショートの可能性も低いという特徴があります。
また、メモリー効果がなく、充放電できる回数も多め、自然放電も少ない、と、非常に使い勝手のいいバッテリーと言えます。
さらに、製造メーカーにもよりますが、高い電流で急速充電が可能なものもあります。

一方、リチウムポリマーバッテリーよりは出力が低めです。とはいえニッケル水素バッテリーよりは高出力なので、これはさほど欠点とは言えないでしょう。

むしろ、1セルあたりの定格電圧が3.3Vなので、電動ガンに使うには2セルの6.6Vでは低すぎ、3セルの9.9Vでは高すぎる、という中途半端な電圧が問題です。全くカスタムしていない電動ガンに使うには少し向いていないバッテリーと言えます。せっかく安全なバッテリーなのに、残念なところです。

リフェバッテリーもリチウム系バッテリーなので、バランス充電が必要です。1セルあたりの最大電圧は約3.6Vとされています。どんなバッテリーでも過充電は危険なので、必ず監視の下で充電するようにしてください。

比較的安定したバッテリーなので、ぜひおすすめしたいところなのですが、前述の「電圧が中途半端」という特徴がいろいろと台無しにしている面もあります。標準で3セル9.9Vのリチウムフェライトバッテリーが使える電動ガンが出てきてくれると、初心者にも進めやすくてうれしいのですが、今のところ出てきていません。

まとめ


バッテリーにはいくつも種類がありますが、どれも一長一短で、これを買っておけば完璧というものはありません。

個人的にはリチウムポリマーバッテリーをおすすめしたいのですが、取り扱いを誤ると危険なものでもあるので、管理をきちんとできる自信がないのであれば、純正のニッケル水素バッテリーを使うのがいいかもしれません。とはいえ、これも管理をしないとすぐ壊れてしまうので、そこまで手軽ではありません。
実のところ、容量が少ないことを除けば、ニッカドバッテリーが一番扱いやすいバッテリーと言えるのかもしれませんが、環境への影響を考えて生産数が少なくなっているので、今後を考えると選択肢としては挙げにくいのも事実です。

とはいえ、バッテリーはあの小さなサイズにモーターを動かすだけのエネルギーを蓄えているので、どれを選んでも本質的には非常に危険なものです。適切な使い方を学ぶことが、安全への第一歩です。面倒くさいなどと思わずに、バッテリーの特徴を知り、自分の使い方に合わせて各自選択していただくしかないと考えます。

2016年9月15日木曜日

バッテリーの種類と扱い方(リチウムポリマーバッテリー編)

つづきから


今回はより高性能なバッテリーである、リチウム系のバッテリーです。
ただし、ニッカド系のバッテリーよりも扱いが面倒なところがありますので、どちらかといえば上級者向けのバッテリーと言えるかもしれません。

3.リチウムポリマーバッテリー


現在はさまざまな電子機器にバッテリーが使われていますが、その中でも最も使われているものがこのリチウムポリマーバッテリーです。「リポ」とも呼ばれます。正極にリチウム系化合物、負極に炭素、電解液に有機溶媒を用いることが多いバッテリーです。

リチウムポリマーバッテリーは、電解液がポリマーによってゲル状になっているリチウムイオンバッテリーです。そのため、電解液が液体状のその他のバッテリーとは異なり、缶に入れる必要がないため、さまざまな形状に加工することができます。スマートフォンのバッテリーのように、薄く作ることもできます。

バッテリーの特徴としては、サイズに対して容量が大きく、一度に取り出せる電流も大きいという点が挙げられます。そのため、電動ガンに使うと、とてもニッカドバッテリーやニッケル水素バッテリーでは入らないような小さな空間にも収めることができる上、モーターの初動に必要な大電流も容易に供給することができます。結果として、射撃のロックタイムを短くすることができます。
また、自己放電がほとんどなく、充電された状態のまま放置しても、電圧は長い間残っています。メモリー効果もほとんどないので、継ぎ足し充電も自由に行うことができます。

しかし、リチウムポリマーバッテリーには大きなデメリット、というよりも危険性があります。電解液が有機溶媒であるため、きわめて引火性が高く、取り扱いを誤ってショートさせてしまうと、発火、爆発するおそれがあることです。このため、飛行機の貨物室での輸送は現在では禁止されています。

また、過放電や過充電にきわめて弱く、これらを行った場合、内部で水素ガスが発生して破裂したり、リチウムが析出してショート、炎上したりするおそれがあります。そのため、リチウムポリマーバッテリーの充電には、電圧センサーとマイコンを使用した高度な専用充電器が必要です。スマートフォンやノートパソコンはこれらの充電回路を内蔵しているので、単にコンセントを差すだけで充電できますが、電動ガンは生のバッテリーセルを使用するので、充電器側に回路が必要です。

リチウムポリマーバッテリーは1セルあたりの電圧が約3.7Vと高いため、電動ガンには2セル(定格7.4V)または3セル(定格11.1V)のものがよく使われます。先に述べたように、過放電と過充電に弱いため、ニッケル系バッテリーのように直列接続されたバッテリーに放電端子からそのまま充電することはできません。

ではどうするかというと、複数セルを直列して作られたリチウムポリマーバッテリーモジュールには、必ずバランス端子という、各セルに「並列に」接続された端子が存在します。この端子を使うと、各セルに個別にアクセスできるため、この端子から充電や放電をしながら、各セルの電圧が一定になるように充電を行うのです。これをバランス充電と呼びます。リチウムポリマーバッテリー対応の充電器は、このバランス充電に必ず対応しています。

リチウムポリマーバッテリーの扱い方ですが、まず何よりも、絶対に過充電は避けてください。対応した充電器を使って、2セルなら2セル用の、3セルなら3セル用のモードを使い、低めの電流で正しく充電します。絶対にニッケル系バッテリー用の充電器を使って充電してはいけません。火災の原因になります。
また、高い電流で急速充電することもできません。充電時に流せる電流は、容量と同じと考えてください。2000mAhのバッテリーなら2A、700mAhのバッテリーなら0.7Aです。ただし、最大電流で充電すると寿命が短くなる傾向があるので、少し低めにしておくといいでしょう。

過放電も厳禁です。1セルあたりの下限電圧はおよそ3Vなので、これを下回った状態にしてはいけません。電動ガンの動きが鈍くなってきたと感じたら、すぐに使用をやめてください。
リチウムポリマーバッテリーは出力が安定していて、容量が減ってきても電圧が高いままなので、電動ガンが普通に動いてしまいます。完全に動かなくなるまで使うと、もう下限電圧を下回っていることがあります。
電動ガンとバッテリーの間につないで使う電圧監視装置や、電動ガンが電子制御式の場合はバッテリーの電圧を監視する機能が付いていることがあるので、それらを活用するのもひとつの手でしょう。
もしも万が一下限電圧を下回ってしまった場合は、そのバッテリーは適切な方法で廃棄してください。使用を継続するのは危険です。

また、使用しない時は定格電圧よりも少し高い程度、例えば2セルの定格7.4Vバッテリーであれば、7.6V程度にしておくのがベストです。リチウムポリマーバッテリーは満充電状態で放置すると劣化し、ガスが発生して膨らんでしまうので、満充電での保管は避けてください。充電器によっては、保管用に適した電圧にしてくれるストレージ充電モードがあるので、それを活用すると簡単です。

最後に、これはどのバッテリーでも同じことですが、高温になる場所には放置しないでください。特に、真夏のフィールドの駐車場で、車の中にバッテリーを放置するときわめて危険です。

リチウムポリマーバッテリーは扱いが難しく、非常に癖のあるバッテリーですが、軽量で容易に高出力を得ることができるので、人気のあるバッテリーです。価格もかなり安価なので、ニッケル水素バッテリーの作動に不満が出てきたら、導入を検討してもよいでしょう。
ただし、リチウムポリマーバッテリーの取り扱い方法は必ず守ってください。充電しながら居眠りするようなことは、絶対にしないようにしてください。

つづきます


リチウムポリマーバッテリーは広く使われている割に、使い方を誤るとかなり危険なバッテリーなので、つい解説が長くなってしまいました。細かい使い方がわからなければ、コメントで質問していただいても構いませんので、どうか安全を心掛けて使うようにしてください。

次回はもうひとつのリチウム系バッテリーを紹介します。

2016年9月14日水曜日

バッテリーの種類と扱い方(ニッケル系バッテリー編)

はじめに


エアーコッキングガンを除いて、ほとんどのエアガンは作動させるためにパワーソースが必要です。
ガスガンならガス、電動ガンならバッテリーになりますが、それぞれいくつも種類があって、最初のうちは悩んでしまうかもしれません。特に、電動ガンのバッテリーは種類によって特性が全く違うので、私も初めて充電した時はどこまで充電されればいいのかわからず、悩んだこともありました。
というわけで、今回はバッテリーについて説明したいと思います。

電動ガンのバッテリーは、要するに電池です。市販の乾電池にもいくつも種類があるように、電動ガン用のバッテリーにもいくつかの種類があります。


1. ニッカドバッテリー


最も古くからあるバッテリーです。正極(+)に酸化水酸化ニッケル、負極(-)にカドミウム、電解液に水酸化カリウム水溶液を使用したバッテリーです。
以前はよく使われていましたが、カドミウムが強い毒性を持つため、現在では需要が減ってきており、電動ガン用のバッテリーも少なくなってきています。

ニッカドバッテリーは一度に取り出せる電流が大きく、モーターの作動に向いていたため、電動ガンやラジコンにはよく使われていました。過放電にも強く、完全放電状態であっても、充電すれば大抵の場合使えるという頑丈なバッテリーでもあります。
また、急速充電が可能で、高めの電流で充電することができます。

一方、容量は比較的少なめです。おまけに自然放電しやすいという特徴があり、たとえ満充電にしておいても、しばらく経つと空になっていることがあります。
また、メモリー効果があり、継ぎ足し充電をすると容量が減ってしまうため、放電器を使って完全放電してから充電する必要があるという、やや面倒くさい特徴があります。

セル1つあたりの電圧は約1.2Vで、電動ガン用のバッテリーとしては6セル直列の7.2Vから、12セル直列の14.4Vまであります。とはいえ、通常は7.2V~9.6Vまでを使用することになると思います。それ以上は内部カスタム済みの電動ガン専用で、通常のものに使用すると、壊してしまう可能性が高いです。

ニッカドバッテリーの扱い方ですが、基本的には使う直前に放電器で放電して、空になった状態から満充電にするだけです。先の通り、比較的頑丈なバッテリーなので、使い終わったらそのまま涼しいところに保管するだけで十分でしょう。


2.ニッケル水素バッテリー


ニッカドバッテリーに次いで出てきたバッテリーです。「ニッ水」とも呼ばれます。正極に(+)ニッケル化合物、負極に(-)水素化合物、電解液にアルカリ水溶液を使用したバッテリーです。
東京マルイの現在の純正バッテリーはこのバッテリーです。

ニッケル水素バッテリーは容量が大きく、ニッカドバッテリーに使われているカドミウムのような強い毒性のある物質を使用しないので、比較的安全なバッテリーです。
メモリー効果はありますが、ニッカドバッテリーほどではないため、継ぎ足し充電することもできます。

一方欠点としては、電動ガンに使われているものは自然放電しやすく、かつ過放電に弱いため、定期的に充電しないとバッテリーが壊れてしまうという点です。いい加減な管理で過放電してしまうと、もうそのバッテリーは使用できません。しかも、ニッカドバッテリーと違い、急速充電を行うことはできません。
また、出力がニッカドバッテリー程大きくないので、モーターの初動のトルクに劣ります。トリガーを引いてからBB弾が発射されるまでのタイムラグに影響を与えることがあります。

セル1つあたりの電圧はニッカドバッテリーと同じです。電動ガン用のバッテリーとしては、8.4V~9.6Vあたりが主流です。高電圧のものがあまりないのは、後述するリチウムポリマーバッテリーが普及して、そちらの方がより高出力にできるため、カスタム用にはニッケル水素バッテリーはあまり使われないからです。

ニッケル水素バッテリーの扱い方ですが、過放電すると壊れてしまうので、定期的に電圧を測定して、定格電圧を保つようにしてください。例えば、8.4Vのバッテリーは満充電すると9.2V程度まで電圧が上がりますが、これが8.4V程度の場合は、充電した方がいいでしょう。
ニッケル水素バッテリーは容量が減ってくると出力が大幅に下がるので、電動ガンを使いすぎて過放電になることはまずありません。動かなくなったら交換して、早めに充電する程度で十分です。


つづきます


他にもバッテリーの種類はあります。次回はリチウム系バッテリーについて解説します。