つづきから
今回はシアー式です。この方式を採用した製品は多くはありませんが、とても面白い特徴を持っています。
3.シアー式
最初にエアソフトガンの種類を紹介した時、「電動ガンとはエアーコッキングガンをモーターで自動化したもの」と示したような気がしますが、まさにこのシアー式はそれそのものです。シアー式の場合、モーターがピストンを後退させるところまではほぼ一緒ですが、完全に後退しきった時点でピストンをシアーが固定します。モーターの動作はこの時点で終了します。
トリガーを引くと、シアーが倒れてピストンが前進し、BB弾を発射させるわけです。このあたりの動作は完全にエアーコッキングガンと同じです。
シアー式が面白いのは、BB弾を発射後、モーターが再始動し、ピストンを後退させた状態まで持ってくることです。
機械スイッチ式は「トリガーを引くとピストンが後退し、後退しきったら前進してBB弾を発射する」がひとつのサイクルであるのに対して、シアー式は「トリガーを引くとピストンが前進し、BB弾を発射、その後ピストンが後退してシアーで保持される」という動作になります。
ちなみに、最初の1発は基本的に手動でコッキングするので、これだけを見ると完全にエアーコッキングガンと一緒です。実際、電源を入れなければ、エアーコッキングガンとして撃つことができるモデルがほとんどです。また、使い終わってピストンを前進させておくには、電源を切って1発発射すれば、ピストンは後退しないので、そのまま保管できます。
さて、このピストンの動作ですが、何かに似ているような気がしませんか?
これは、ガスブローバックガンのアフターシュートブローバックとプレシュートブローバックの関係に似ています。弾が出る前に後退するか、弾が出た後に後退するかの違いです。
電動ガンでモデルアップされるようなロングガンの場合、重量があるので、軽いピストンの動作の反作用で大きく銃口がぶれてしまうことはまずありません。しかし、ピストンが後退状態から作動を開始するので、原理上ロックタイムを最短にすることができます。
ただし、シアー式はその構造上、部品点数が多く、メンテナンスが非常に難しいという欠点があります。
現在販売されているシアー式は、KSCのHK33/53シリーズと、TOPのUltimate Ejection Electric Blowbackシリーズですが、これらのどちらも作動に関するパーツが非常に多いため、個人でのメンテナンスが全く推奨されていません。また、組み込みが難しいためか、内部のカスタムパーツもほとんど発売されていません。
ちなみに、KSCとTOPのシアー式はそれぞれ構造が違っています。
KSCは完全に機械でタイミングを取っていて、最初の一発を撃つ前に手動でコッキングせずに電源を入れてしまうとタイミングがずれから破損してしまうため、発売当初は「壊れやすい」との評判が立ってしまいました。実際は正しく使えばそう簡単には壊れないのですが、機械スイッチ式に慣れた人は「ついうっかり」をしてしまいがちだったのも、原因のひとつでしょう。
若干トリガーは重いですが、独特の撃ち心地はとても気持ちの良いものです。
TOPの方式はさらに洗練させたもので、ピストンの位置をセンサーで検出しています。これにより、ピストンが完全に前進しない限りモーターを回転させないようにしているので、タイミングずれによる破損を防いでいます。他にも、最初のコッキングを全て手動でやらずに、ほんの少し引いてから戻すと、モーターが自動でコッキングするアシスト機能や、個別の電源スイッチを持たず、マガジンを入れなければ電源が入らない機能を持っています。
ちなみにTOPのシアー式電動ガンはボルトキャリアが完全に動作するようになっていて、しかもライブカート式も存在するので、電動ガンとは思えないリアルな作動を実現しています。
まとめ
電動ガンはロングガンの作動方式としては最もメジャーなものですが、ここまで述べたように、電動ガンと一口に言っても、さまざまな作動方式があります。
機械スイッチ式が一番リーズナブルで、カスタムのノウハウも多いため、最初の1丁には一番向いていると思います。そのうち、トリガーのレスポンスや射撃感が物足りなくなったら、電子制御式やシアー式に手を出してみるのをおすすめします。電子制御式特有の超高速なセミオート連射や、シアー式のダイレクト感は、一度撃つとやみつきになります。
電動ガンはほとんどがロングガンということもあって比較的高価なものが多いですが、その射撃性能は圧倒的です。サバゲーのみならず、プリンキング用途でも、気持ちよく遊ぶことができるので、予算ができたら手に取ってみることをおすすめします。
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