2016年9月26日月曜日

スコープのパララックス

はじめに


「アイボックスの広いスコープは適当に覗いても標的が見える」という話をすでにしたかと思います。しかし、スコープは見えればいいというものではなく、レティクルで狙ったところに弾丸を送り込むことができなければ意味がありません。この時に重要になるのが、パララックス(視差)という概念です。

1. パララックスとは


スコープのレティクルは当然上下左右に調整ができるのですが、場合によっては覗き込む位置によって、レティクルの位置が変化してしまうことがあります。これをパララックスと呼びます。

例えば、30m先の標的にレティクルをきちんと合わせたとします。この状態でとっさに構えて、たまたま目がスコープをまっすぐ覗きこまずに、少しずれてしまった時、もしこのスコープがパララックスの影響を受けていると、レティクルに標的をぴたりと合わせたとしても、標的には当たりません。なぜなら、覗き込む位置がずれたことで、レティクルが指す場所がずれてしまっているからです。
これでは、いくらアイボックスの広いスコープを使っていても、狙ったところに当たらなくなってしまいます。

パララックスは標的までの距離に依存しています。100mでパララックスが無くなる(パララックスフリーと呼びます)ように設定されているスコープで、50m先の標的を狙うと、パララックスが発生します。この影響をなくすためには、パララックスを調整する必要があります。

2. パララックスの調整


スコープによっては、パララックスの調整ができるものとできないものがあります。パララックスの調整ができないスコープでは、あらかじめ設計された距離以外ではパララックスの影響をなくすことはできません。
一方、現在主流のスコープは大抵パララックスの調整が可能です。通常はフォーカスの調整と一体となっていて、レティクルと標的のピントがきちんと合っていれば、パララックスの影響を受けない状態であるといえます。

ただ、パララックスの調整範囲には上限があります。スマホのカメラで手元の小さいものを撮影する時、何度やってもオートフォーカスでピントが合わない、という現象を見たことがあるかと思いますが、それと同じで、ある程度近いとフォーカス調整機構ではピントを合わせきれなくなるのです。

これはエアガンにとっては大きな問題です。というのは、エアガンは実銃に比べてはるかに射程が短いので、パララックスの影響を受けない距離をより短くしなければならず、つまり通常よりも近距離の標的にピントを合わせなければいけない、ということになるからです。
この最低距離は、きちんとしたメーカーでは仕様として公開しています。完全に影響を取り切れないとしても、できるかぎりパララックスフリーの距離が短いものを選んだ方がよいでしょう。

2016年9月25日日曜日

スコープの明るさと解像度

はじめに


スコープはドットサイトに比べて価格差が激しく、1万円程度の安価なものから、100万円もする超高級なものまであります。一見して差はなさそうに感じますが、一体何が違うのでしょうか。

1. 明るさ


スコープは複数枚のレンズを使用して像を拡大します。つまり、外側から入った光は、必ず複数枚のレンズを通って、目に見えるわけです。
レンズの透過率が95%の場合、レンズ1枚を通すと、像は5%暗くなります。これだけならほとんどわかりませんが、もし8枚のレンズを使ったライフルスコープがあったとして、そのレンズの透過率が95%だと、最終的に目に見える像は95%の8乗なので、本来の66%まで明るさが低下してしまいます。

安価なスコープと高級なスコープの第一の違いはこの点です。高級品は非常に高い透過率のレンズを使用しているため、肉眼とほぼ変わらない明るさを持っています。そのため、薄曇りや雨天、夕方等、やや暗い状況でも、標的をはっきり見ることができます。

2. 解像度


解像度と言っても、液晶を使っているわけではないので、ドットの数が違うとかいうわけではありません。

レンズは工業製品なので、必ず製造公差というものが存在します。レンズの製造公差とは、すなわち歪みになります。レンズが歪んでいると、入ってきた像も歪んでしまうため、複数のレンズを通すうちに焦点にズレが生じてしまい、ぼやけた像になってしまいます。
また、組み立ての段階でレンズの中心が完璧に一致していなければ、どれだけよいレンズを使っていても、最終的な像はぼやけてしまいます。

これが第二の違いです。レンズそのものの精度と組み立ての精度が高いため、安価なものと高級品では、明らかに像の細かさが違います。これは高倍率時に特に顕著で、ある程度離れた距離に隠れたものを探す時に威力を発揮します。

まとめ


実のところ、スコープは「性能のよいものは高い」というのを地で行く製品です。軍における長距離狙撃や、ロングレンジ射撃競技に使われるスコープが、ことごとく数千ドル以上もする高級品なのは、これが理由です。

とはいえ、エアガンでは高々数十mの射程距離しかありませんし、わざわざ薄暗いところで射撃する必要もあまりないので、光学性能そのものが射撃精度にどこまで影響するかは、ほとんど微々たるものでしょう。むしろ、前回紹介したアイボックスのように、覗きやすさを重視して選択した方がよいかもしれません。

2016年9月24日土曜日

スコープのアイリリーフとアイボックス

はじめに


スコープは複数のレンズを使った複雑な光学機器のため、素通しの筒を覗くのとは使い方が全く違います。このあたりはカタログスペックには載らない性能のわりに、使い勝手に大きく影響するので、購入する前にきちんと理解しておきましょう。

1. アイリリーフ


レンズの付いていないただの筒をまっすぐ覗いた時、中心には向こう側が見えますが、その周囲には筒の内壁が見えるはずです。
スコープを使った時、接眼レンズ一杯に向こう側の状況が見える状態ではなく、一部に内壁が映ってしまっている状態を、「ケラレている」と言います。これは、スコープだけではなく、一眼レフカメラ等にもある現象で、他機種用のレンズをアダプターで装着すると、組み合わせによっては起きる現象です。

ケラレている状態だと、せっかくのスコープの視野の一部が欠けてしまうことになり、非常に見づらい状態になります。
ケラレないようにするには、接眼レンズと目の間を、スコープによって決められた一定の距離にする必要があります。これをアイリリーフと呼びます。

アイリリーフは、その設定された長さによってストックの長さから構え方まで決まってしまうので、非常に重要です。

例えば、米軍が使用している固定倍率のプリズムスコープであるACOG TA31は、アイリリーフが非常に短いことで有名です。M16A4に載っている写真をよく見かけますが、M16A4は長めの固定ストックですし、そこにさらにボディーアーマーを着込んだ状態で普通に構えると、スコープと射手の頭の距離がアイリリーフよりも遠くなってしまうため、肩にストックを載せたような構え方をしていたりします。TA31はコンパクトでいいのですが、M16A4にはどうにも使いづらいように感じてしまいます。

アイリリーフは大抵の場合スコープの仕様としてカタログに載っているので、調べてみるといいでしょう。

2. アイボックス


個人的にはアイリリーフよりも重要であるように感じるのが、このアイボックスです。
アイリリーフは接眼レンズから目までの距離という1次元の値ですが、アイボックスはそれを3次元空間に広げた概念です。

アイリリーフが適正な距離であっても、頭の位置が少し上下左右にずれていると、やはりケラレてしまうことがあります。アイボックスの広いスコープは、このような状況でもケラレにくく、とっさに構えた時でも正しく標的を見ることができます。

このデータはカタログにはまず載っていないので、評判を調べるしかありません。
例えば、TrijiconのAccuPointシリーズは比較的アイボックスが広く、狙いやすいスコープと言えます。TrijiconはACOGのようにコンパクトで接近戦でも使うようなスコープを多く製造しているので、解像度や倍率の高さよりも狙いやすさを重視しているようです。

一方、ディオン光学技研のMarchシリーズはアイボックスが狭いとよく言われています。Marchシリーズはどちらかというと精密射撃や狙撃に使われるものなので、コンパクトかつ高倍率で、解像度も高いことを重視して、アイボックスの広さとトレードオフの設計にしているようです。実際、光学性能自体は価格帯が一回りか二回り上の製品に匹敵します。

エアガン用では、ノーベルアームズのスコープはかなりアイボックスが狭いため、とっさの射撃にはあまり向いていません。価格帯の割に光学性能はよいので、やはりトレードオフになってしまっているようです。

なお、倍率の高いスコープほどアイボックスが狭くなる傾向があります。高倍率のスコープの場合、じっくり狙って撃つことが多いので、アイボックスが狭くても特に大きな問題にはならないのだと思います。

アイボックスは精密射撃の時はそれほど気にしなくてもよいですが、サバゲーでアサルトライフルに載せる場合には重要視した方がいい要素です。
先に述べた通り、カタログには載っていないので、欲しいスコープがあれば店頭で見せてもらうなどして、使い心地を確かめた方がいいでしょう。

2016年9月23日金曜日

照準器について(スコープ編)

つづきから


さて、光学照準器の花形といえばやはりスコープでしょう。
スコープは構造がドットサイトやホロサイトとは大きく異なり、要素が多いので、概要にとどめて、詳細は後で何回かに分けるかもしれません。

3. スコープ


身もふたもないことを言ってしまえば、スコープは照準(レティクル)の付いた望遠鏡と言ってもいいでしょう。実際、構造はほぼ望遠鏡と同じです。

スコープには、倍率が固定のものと、可変のものがあります。固定倍率のものには、通常の長いスコープの他、Trijicon ACOGのような、プリズムを使用した小型のものもあります。一方、可変倍率のものは、特定の倍率域を連続的に変化させられるものがほとんどですが、ELCAN SPECTOR DRのような、レンズを物理的に切り替えて2種類の倍率を選べるものもあります。
どちらも最低1倍から、特に高倍率なものになると50倍程度まで存在します。

ドットサイトやホロサイトは、銃に取り付ける部品(マウント)が一体型か、分離型でも純正品が付属しているものがほとんどですが、スコープの場合は通常は別売りのマウントリングが必要です。銃側のマウントベースの形状に合わせていくつかの種類があります。現代の西側の銃では、マウントベースはピカティニーレールが主流で、レールの溝にマウントリングの軸をかみ合わせ、挟み込むように締め付けて使うものがほとんどです。
一方、AK-47やG3のような古い銃では専用のマウントが必要になりますが、ピカティニーレールに変換するアダプターも存在します。

スコープのマウントリングは、スコープの筒の寸法に合わせて選択します。一般的なものは30mmで、古いモデルや廉価なモデルでは1inchのものが主流です。最高級のものになると、34mmや35mmといった太いモデルもあります。これは、筒が太い方がより大きなレンズを使用でき、明るく解像度の高い像を得られるためです。

スコープのレティクルは実は単純な十字ではなく、測距計の役割を果たします。通常は十字にドットが刻んであり、ミルドットレティクルと呼ばれるものの場合、固定倍率なら常に、可変倍率なら特定の倍率で、この間隔(1mil)が1000m先の1mの幅に一致するようになっています。もし、180cm(1.8m)の人物が5milだった場合、距離は180÷5×10で360mとなります。これのヤード・ポンドバージョンがMOAレティクルです。
また、近距離用のスコープでは、とっさの際に狙いやすいようにドットサイトのようなレティクルを持つものもあります。他にも、両方の特徴を備えたレティクルが様々に開発されています。例えばこんな(http://www.vortexoptics.com/discontinued/vortex-razor-hd-1-4x24-riflescope-with-ebr-556-reticle/reticle)変な形のものもあります。

とはいえ、エアガンの射程距離では実際はほとんど関係ありません。実銃の弾道特性に合わせて設計されたレティクルの場合、距離に応じて狙う位置を上下させられるようにガイドがついていますが、弾道が全く違うため、役に立ちません。
長距離を狙うならミルドットレティクル、近距離用ならドットまたはサークルレティクルのスコープが使いやすいと思います。

ちなみに、倍率を変更できるスコープの場合、倍率変更時にレティクルの寸法が変化するものとしないものがあります。変化するものをファーストフォーカルプレーン、変化しないものをセカンドフォーカルプレーンと呼びます。どちらかといえばファーストフォーカルプレーンの方が新しい製品ですが、このあたりは好みで選べばよいでしょう。

スコープの性能や選び方については、次回以降まとめていきたいと思います。


2016年9月22日木曜日

照準器について(ホロサイト編)

つづきから


前回は等倍の光学照準器であるドットサイトについて紹介しましたが、構造の違う等倍の光学照準器がもう一つあります。

2. ホロサイト


ホロサイトは基本的にはドットサイトと同じように使いますが、ドットサイトのドットに相当するレティクルの投影方法が少々違います。

ホロサイトは、ホログラフィ技術を使用して、レンズにレーザーでレティクルを投影するため、ドットサイトに比べてレンズがシンプルなので、レンズに破損があってもレティクルを映し出すことができます。ホログラフィなので、レティクルを特殊な形状にすることが可能なのも特徴です。
また、レンズが大きいため、非常に視野が広く、ドットサイトによくある筒を覗いているような感覚がありません。

米軍ではEotechの553及び557を採用しているので、これらが搭載されたM4A1カービンの写真を数多く見ることができます。ちなみに、

ただし、少し欠点があります。レンズが若干脆く、BB弾の直撃でも簡単に割れてしまうことと、レティクルが無限遠に投影されるため、視力が低かったり、乱視が入っていたりすると、にじんでしまって見づらい点です。
前者はポリカーボネート製のレンズカバーが市販されているので、極力それを使うようにしましょう。もちろん、ホロサイトに限った話でもなく、普通のドットサイトでも至近距離から直撃するとレンズが割れてしまうことがあるので、保護するに越したことはありません。
後者については、倍率を後付けで付けることのできるマグニファイアを併用すると解決できますが、倍率が等倍ではなく約3倍になってしまうのがネックです。

この製品もレプリカがありますが、構造が全く違い、レプリカは単なるドットサイトになっています。そのため、実際の見え方をレプリカで試すことはできません。先に述べたように、視力に依存して見え方が大きく変わるので、もし欲しい場合は、購入前に一度本物を覗いてみることをおすすめします。

さらにつづきます


等倍の光学照準器の場合、近距離はいいのですが、遠方の標的に当てるのは結構苦痛です。実際のところ、エアガンでは20mも離れると、サバゲーで人に当てるならともかくとしても、10cmの的に当てるには倍率のある光学照準器が必要になってきます。
そんな時に使用するのが、スコープです。次回以降、スコープについて詳しく紹介していこうと思います。

2016年9月21日水曜日

照準器について(ドットサイト編)

つづきから


アイアンサイトの欠点として、狙う姿勢が限られることと、倍率が無いことが挙げられます。
これらは光学照準器で解決できます。まずはドットサイトから紹介します。

2.ドットサイト


ドットサイトはプリズムを使用した照準器で、透明なスクリーンに投影された点(ドット)を標的と重ねることで照準できるものです。通常、倍率がないものをドットサイトと呼びます。人によってはダットサイトと呼ぶこともあります。

ドットサイトの最大の利点は、ドットを重ねるだけという照準の簡単さです。アイアンサイトの場合、リアサイトとフロントサイトと標的を重ねる必要がありましたが、ドットサイトはドットと標的だけなので、姿勢を選びません。そのため、短距離での迅速なサイティングに非常に向いています。

有名なところでは、AimpointのCOMPシリーズやT1/T2シリーズ、TrijiconのReflexシリーズ等が挙げられます。これらはいわゆる実物光学機器と呼ばれるもので、実銃用なので、エアガン用としてはオーバースペックではあるものの、工学系が非常に明るく見やすいのが特徴です。また、当然ながら頑丈に作られているので、そう簡単には壊れません。

一方、安価に売られている製品には、これらのレプリカ…悪く言えば偽物が存在します。形状はおろか刻印まで完全にコピーしたこれらの製品は、日本においては模型用のレプリカとして流通していますが、アメリカでは完全にコピー商品として扱われており、実際摘発もされています。安いことは安いのですが、いかんせん作りが適当で、非常に壊れやすいので、あまりおすすめできる代物ではありません。

私がおすすめするのは、実銃用の安価な製品です。例えば、SIGHTRONのSD-30は同社MD-33の廉価版で、自衛隊に採用されていたMD-33譲りの工学系と頑丈さを誇りつつ、2万円以下の価格で購入できます。
他にも、HOLOSUNのドットサイトは、Aimpoint T1の形状に近いコンパクトさと、安価ながら高性能であることから、最近アメリカで人気の高い製品です。こちらは3万円ほどで購入できます。

実のところAimpointやTrijiconの製品は軍用を意識しているので、実銃用としてもオーバースペックなところがあり、ミリタリー装備にこだわらなければもっと安価で十分使える製品はいくらでもあります。逆に言うと、ミリタリーを再現するには非常に高価な製品を買わなければならないのですが……これはアメリカでも事情は同じようです。

この他、トイガン用にきちんと作られた製品もあります。ノーベルアームズのCOMBAT T1はAimpoint T1を模したエアガン用の製品ですが、実銃のような強烈な反動は当然エアガンにはないので、必要十分な強度を持っています。これは2万円以下で購入できます。

なお、上記に挙げた製品はどれもチューブ型のドットサイトですが、ドットを投影する部分が露出した製品もあります。これをオープンドットサイトと呼び、軽量であることから、競技用に使われています。若干強度に劣るので、軍用で使われることはほぼありません。
C-MOREはこのタイプを製品を多く発売しています。

また、最近はオートマチックピストルのスライドの上や、ライフルスコープの上に載せられるような、小さなドットサイトもあります。Doctorのマイクロドットサイトや、Trijicon RMR、Insight MRDS等が有名です。
ピストルのスライド上に載せる場合、耐久性は特に重要です。レプリカは1回作動させるだけで壊れることがあります(実話です)。ですので、できれば実物を購入することをお勧めしますが、いかんせんかなり高価なものばかりなのがネックです。また、取り付けるベースのネジ穴の位置がそれぞれ異なるので、対応したモデルを購入する必要があるのも、なかなか敷居の高いところです。

つづきます


等倍の光学照準器には他にも種類があります。次回はそれを紹介しようと思います。


2016年9月20日火曜日

照準器について(アイアンサイト編)

はじめに


銃を使う時、もちろん標的に当たるように狙う必要があるわけですが、これは当然エアガンでも同じです。狙うために使う装置を照準器、サイトと呼びますが、これにもいくつか種類があります。


1. アイアンサイトとは


ほとんどの銃に標準で装備されているものがアイアンサイトです。その名の通り金属製のものが多いですが、樹脂でできているものもあります。

アイアンサイトは通常、前方と後方の2つの部品からなります。後方に取り付けられているリアサイトの溝に、前方に取り付けられているフロントサイトがぴたりと合って見えるようにして狙います。このタイプをオープンサイトと呼びます。オープンサイトは主にハンドガンに使われます。

溝ではなく小さな穴になっているタイプもあります。これをピープサイトと呼び、ピープサイトの穴の大きいものをゴーストリングサイトと呼びます。ピープサイトはアサルトライフル等に、ゴーストリングサイトはショットガンに使われることが多いです。
また、ピープサイトを細かく微調整できるようになった高精度のものもあります。これは競技用ライフルに使われ、マイクロサイトと呼びます。

アイアンサイトは照準の位置を調整可能なもの(アジャスタブルサイト)と、固定となっていて調整できないもの(フィックスドサイト)があります。ハンドガン用はそれほど長距離の射撃を行わないことと、荒い扱いでも壊れないことを目的として、フィックスドサイトが主流です。もちろん調整できるタイプもありますが、どちらかといえばマッチ用の銃に使われているケースがほとんどです。

一方、ロングガンのアイアンサイトは調整可能になっていることがほとんどです。これは、ある程度の距離を保った状態で射撃することが多く、サイトがずれていると明後日の方向に飛んでしまうためです。

ただ、古いサブマシンガンには簡易的なサイトしか付いていないことがあります。昔はサブマシンガンは弾をばらまくためのものという扱いだったので、適当なサイトでも何発かフルオートで撃って当たれば十分、とされていたためです。この発想をひっくり返したのがMP5で、本格的なアジャスタブルサイトを備え、短距離であれば狙撃も可能でした。

話がずれたのでもとに戻しましょう。
ロングガンの場合、光学照準器を使用するケースも多く、アイアンサイトは光学照準器の故障時にくらいしか使わないことになります。このようなアイアンサイトを、BUIS(Back-up Iron Sight)と呼びます。
光学照準器を使う場合、大きなアイアンサイトが付いていると非常に邪魔です。そのため、BUISには折り畳み可能なフォールディングサイトが用意されています。MAGPULのMBUSシリーズや、Knights ArmamentのBUISがメジャーなところですが、その他にも様々な企業が製品をリリースしています。

アイアンサイトを使って狙う場合は、リアサイトとフロントサイトを一直線に並べなければなりません。そのため、不安定な姿勢では狙いづらいという問題があります。また、当然ながら倍率がないため、遠方の標的に弾を送り込むのは、かなり難易度が高くなってしまいます。
そのような用途に対応するために、光学照準器を載せることがあります。
次回以降、光学照準器について書いていこうと思います。というわけで、つづきます。