2016年9月12日月曜日

BB弾の種類と分類(サイズと重量編)

はじめに


これまで何回かに分けてエアガンの種類を説明してきました。作動させるためのパワーソースにはいくつもありましたが、BB弾を発射させるには必ず必要なものがひとつあります。そう、BB弾自身です。

BB弾と一口に言っても、そのサイズ、重量、材質といった特徴によっていくつかの種類に分けることができます。


1.サイズ


見た目ですぐ分かる違いがサイズでしょう。現在大きくわけて2つの種類があります。

1.1 6mmBB弾

最もメジャーな寸法のものが、この直径6mmのBB弾です。正確には、5.95mm±0.1mm程度の寸法で作られているものがほとんどです。
6mmBB弾は現在のほとんどのエアガンで使われています。大抵は各社互換性がありますが、かつてマルシン工業から発売されていたSMブルーBB弾はやや径が大きく、今の6mmBB弾とは互換性がないので注意してください。
6mmBB弾を使用する場合の上限エネルギーは0.989Jです。これを上回った場合、準空気銃という実銃扱いとなります。



1.2 8mmBB弾

マルシン工業が開発したものがこの8mmBB弾です。マルシン工業ほか、海外製のいくつかの製品にこれを採用しているものがあります。
8mmBB弾は口径が大きいため、弾速はあまり高くないですが、持っているエネルギーが大きいので、着弾音が大きく、迫力のある射撃が楽しめます。ただし、空気抵抗が大きいので射程は短いです。どちらかといえばモデルガン的な楽しみ方をする銃向けでしょう。
8mmBB弾を使用する場合の上限エネルギーは1.758Jです。



この他、4.5mmBB弾というものもありますが、これは海外でCO2ガスガンに使用するもので、日本の玩具に使われることはありません。これを使うものは日本国内ではよくて準空気銃、悪ければ空気銃
になります。
エアガンでは基本的に6mmBB弾を使うことが多いので、今回は6mmBB弾についてこれ以降解説していきます。


2.重量


同じサイズのBB弾であっても、材質と成分の関係で重量が変わってきます。各社バラバラではなく、だいたい同じ重量のBB弾をラインアップしています。


2.1 0.12g

0.12gBB弾は、6mmBB弾の中で最も軽い部類に属します。重量が軽いので弾速が高いですが、慣性が小さいので風に煽られて弾道が乱れやすく、空気抵抗にも弱いため弾速の低下も早いので、近距離射撃向きです。
基本的にはパワーの無い10歳以上用のエアガンに使われますが、複数発同時に発射できるショットガンに使うと、近距離でも大きく散らばったパターンを実現できます。



2.2 0.20g

0.20gBB弾は、最も使われている6mmBB弾です。重量と寸法のバランスが良く、18歳以上用のほとんどのエアガンに対応します。一方、10歳以上用のエアガンには重すぎるため、すぐに弾が落ちてしまいます。
比較的軽量な弾なので弾速を稼ぎやすく、適切に設計されたエアガンであれば、だいたい30mほどはフラットに飛びます。サバゲーでは、障害物の少ない都市型のフィールドでの使用に向いています。ブッシュの多い森林型フィールドでは、草木の葉に当たってはじかれてしまいやすいので、もう少し重量のある弾のほうがいいでしょう。



2.3 0.25g

0.25gBB弾は重量弾の部類に入ります。わずか0.05g重いだけですが、その分弾道の直進性がよく、長距離の精密な射撃に向きます。ブッシュを抜くのにも向いているので、森林型フィールドでの使用に向いている他、精密射撃などの競技用にも使われます。
重量があるため、エアガンによっては初速の落ち込みが激しくなります。また、価格がやや高くなるので、マシンガンのような弾幕を貼るタイプのエアガンにはあまり向いていません。どちらかといえばスナイパーライフルやマークスマンライフル向きの弾と言えます。



2.4 0.28g

0.28g弾は相当重量級の弾です。直進性は良いですが、射程は短くなります。また、至近距離で当たると相当痛いので、サバゲーではあまり推奨されません。
30mチャレンジのような、銃の精度を測定する競技に向いています。精度のよい0.28gBB弾をこれまた精度のよいエアーコッキングガンで30m先を撃つと、10発撃ち込んで10cm以内に集弾するようにすることもできます。これは0.2gBB弾ではかなり難しい数値です。


2.5 0.3g以上

0.3gBB弾は非常に重く風の影響を受けにくいことから精密射撃に使われることがありますが、サバゲーではまず使われることはありません。射程が短いためです。
また、それ以上の重量の弾は、合法に所持できるエアガンではほとんど飛びません。パワー規制の緩い海外向けの弾だと考えてください。


つづきます


例によって長くなってしまったので、続きは次回にしましょう。次回は材質について書いてみたいと思います。

2016年9月11日日曜日

電動ガンの種類(作動方式編3)

つづきから


今回はシアー式です。この方式を採用した製品は多くはありませんが、とても面白い特徴を持っています。

3.シアー式

最初にエアソフトガンの種類を紹介した時、「電動ガンとはエアーコッキングガンをモーターで自動化したもの」と示したような気がしますが、まさにこのシアー式はそれそのものです。

シアー式の場合、モーターがピストンを後退させるところまではほぼ一緒ですが、完全に後退しきった時点でピストンをシアーが固定します。モーターの動作はこの時点で終了します。
トリガーを引くと、シアーが倒れてピストンが前進し、BB弾を発射させるわけです。このあたりの動作は完全にエアーコッキングガンと同じです。

シアー式が面白いのは、BB弾を発射後、モーターが再始動し、ピストンを後退させた状態まで持ってくることです。
機械スイッチ式は「トリガーを引くとピストンが後退し、後退しきったら前進してBB弾を発射する」がひとつのサイクルであるのに対して、シアー式は「トリガーを引くとピストンが前進し、BB弾を発射、その後ピストンが後退してシアーで保持される」という動作になります。
ちなみに、最初の1発は基本的に手動でコッキングするので、これだけを見ると完全にエアーコッキングガンと一緒です。実際、電源を入れなければ、エアーコッキングガンとして撃つことができるモデルがほとんどです。また、使い終わってピストンを前進させておくには、電源を切って1発発射すれば、ピストンは後退しないので、そのまま保管できます。

さて、このピストンの動作ですが、何かに似ているような気がしませんか?

これは、ガスブローバックガンのアフターシュートブローバックとプレシュートブローバックの関係に似ています。弾が出る前に後退するか、弾が出た後に後退するかの違いです。
電動ガンでモデルアップされるようなロングガンの場合、重量があるので、軽いピストンの動作の反作用で大きく銃口がぶれてしまうことはまずありません。しかし、ピストンが後退状態から作動を開始するので、原理上ロックタイムを最短にすることができます。

ただし、シアー式はその構造上、部品点数が多く、メンテナンスが非常に難しいという欠点があります。
現在販売されているシアー式は、KSCのHK33/53シリーズと、TOPのUltimate Ejection Electric Blowbackシリーズですが、これらのどちらも作動に関するパーツが非常に多いため、個人でのメンテナンスが全く推奨されていません。また、組み込みが難しいためか、内部のカスタムパーツもほとんど発売されていません。

ちなみに、KSCとTOPのシアー式はそれぞれ構造が違っています。
KSCは完全に機械でタイミングを取っていて、最初の一発を撃つ前に手動でコッキングせずに電源を入れてしまうとタイミングがずれから破損してしまうため、発売当初は「壊れやすい」との評判が立ってしまいました。実際は正しく使えばそう簡単には壊れないのですが、機械スイッチ式に慣れた人は「ついうっかり」をしてしまいがちだったのも、原因のひとつでしょう。
若干トリガーは重いですが、独特の撃ち心地はとても気持ちの良いものです。


TOPの方式はさらに洗練させたもので、ピストンの位置をセンサーで検出しています。これにより、ピストンが完全に前進しない限りモーターを回転させないようにしているので、タイミングずれによる破損を防いでいます。他にも、最初のコッキングを全て手動でやらずに、ほんの少し引いてから戻すと、モーターが自動でコッキングするアシスト機能や、個別の電源スイッチを持たず、マガジンを入れなければ電源が入らない機能を持っています。
ちなみにTOPのシアー式電動ガンはボルトキャリアが完全に動作するようになっていて、しかもライブカート式も存在するので、電動ガンとは思えないリアルな作動を実現しています。

まとめ


電動ガンはロングガンの作動方式としては最もメジャーなものですが、ここまで述べたように、電動ガンと一口に言っても、さまざまな作動方式があります。
機械スイッチ式が一番リーズナブルで、カスタムのノウハウも多いため、最初の1丁には一番向いていると思います。そのうち、トリガーのレスポンスや射撃感が物足りなくなったら、電子制御式やシアー式に手を出してみるのをおすすめします。電子制御式特有の超高速なセミオート連射や、シアー式のダイレクト感は、一度撃つとやみつきになります。

電動ガンはほとんどがロングガンということもあって比較的高価なものが多いですが、その射撃性能は圧倒的です。サバゲーのみならず、プリンキング用途でも、気持ちよく遊ぶことができるので、予算ができたら手に取ってみることをおすすめします。

2016年9月10日土曜日

電動ガンの種類(作動方式編2)

つづきから


電動ガンの基本はほぼ前回の機械スイッチ式であって、その他の方式は「ピストンの制御をどうするか」という一点に尽きます。
今回は、最近特に人気の出てきた電子制御式について少し書いてみましょう。

2.電子制御式


電子制御式の原点は、おそらくSYSTEMAのPTW(Professional Training Weapon; トレポン)でしょう。東京マルイの機械スイッチ式が特許化されていたこともあって、全く異なる方式が求められていたというのが、たぶん最大の動機かもしれません。

PTWは構造自体が東京マルイの機械スイッチ式とは全く違うのですが、最近は機械スイッチ式の制御を電子制御にする、ドロップインタイプの制御ユニットが発売されています。
ドロップインタイプの制御ユニットを導入すると、動作が次のようになります。

まず、機械スイッチ式ではトリガーを引くといきなりモーターに通電していましたが、電子制御では内蔵CPUに対する制御信号が出ます。これを受けて、制御ユニットはモーターを回転させるため、モーターへの通電を開始します。
射撃システムそのものは機械スイッチ式と全く変わりませんが、カットオフレバーがスイッチを切るのではなく、「カットオフレバーが動作したこと」を表すボタンを押します。これによって、内蔵CPUは通電を終了します。制御ユニットの方式によっては、カットオフレバーを使わず、セクターギアの回転自体を光センサーや磁石で検出するものもあります。PTWは光センサーです。ARESのEFCSメカボックスは磁石を称しています。


基本はこれだけなのですが、これだけでもメリットがあります。
電動ガンがモーターを始動する時、スイッチには相当な電流が流れます。スイッチが接触するその瞬間、まだほんの少し隙間が空いている時、その隙間を無視して電流が流れる、いわゆるスパークが発生します。これによって、電動ガンのスイッチは少しずつ焦げることになります。これをスイッチ焼けといいます。スイッチ焼けがひどくなると、電流が流れなくなってしまうので、最終的に電動ガンは動作しなくなってしまいます。

一方、電子制御式では、トリガーのスイッチは単なる制御信号のON/OFFなので、非常に小さな電流しか流れません。そのため、スイッチが焼けることがなく、耐久性を延ばすことができます。

また、実は機械スイッチ式には「セミオートロック」という現象があります。これは、セミオート射撃中にトリガーを戻したタイミングが悪く、カットオフレバーが跳ね上がった瞬間にちょうど通電が終了してモーターの回転が停止すると、カットオフレバーが中途半端にスイッチを切ってしまい、次にトリガーを引いてもセミオート射撃ができなくなる現象です。
いったんこうなると、フルオートモードに切り替えて射撃しないかぎり、電動ガンは動作しなくなってしまいます。

しかし電子制御式では、カットオフレバーがきちんと作動を終えるまでCPU側でモーターの停止を遅延させることができるので、原理的にセミオートロックは発生しません。トリガーが単なるスイッチで、トリガーのストロークを短くできるという特徴と合わせて、セミオートの高速な連射が可能なので、セミオート縛りでサバゲーをする時に非常に強力です。

BB弾の発射についても、電子制御式にはCPUが乗っているため、細かい制御が可能です。
例えば、「カットオフレバーが3回作動したら通電を停止する」という制御にすれば、3点バーストが実現できます。
さらに、カットオフレバーが作動してモーターを停止する際、逆起電力を利用して電磁ブレーキをかければ、モーターの慣性を殺して、急停止させることができます。これをうまく使うと、ピストンがある程度後退した状態で止めておくことでき、次の射撃でトリガーを引いてからBB弾が発射されるまでの時間、ロックタイムを極端に短くすることもできます(プリコックと呼びます)。
モーターへの通電を常に全開で行うのではなく、細かくONとOFFを繰り返すPWM制御を行えば、フルオート射撃の連射速度を変化させることもできます。
以下はARESのコントローラーです。


機械スイッチ式のシンプルな構造はメンテナンス性もよく頑丈ですが、電子制御式にすると、このように電動ガンのポテンシャルをさらに引き出すことができるようになります。
ただし、精密な電子回路が搭載されることになるので、例えば雨の日に使ったりすると簡単に壊れてしまいます。泥だらけになるような荒い使い方をしたい人は、電子制御式よりも、機械スイッチ式の方が向いているかもしれません。

現在はいろいろ選べるようになっているので、自分のプレイスタイルやユースケースに合わせて、エアガンを選べばいいのです。

さらにつづきます


電動ガンには他にも作動方式があります。次回はシアー式について解説します。

2016年9月9日金曜日

電動ガンの種類(作動方式編1)

はじめに


昨日までガスガンについて書きました。ガスガン、特にガスブローバックガンについては、エンジンの作動方式などいくつか書きたいこともあるのですが、まずはその前に、主要なエアソフトガンの種類について紹介しておきたいので、今回は電動ガンについて書こうと思います。

電動ガンは命中精度もよく、連射も効くので、サバゲーでは一番よく使われている種類です。
各社さまざまな特徴を持つモデルが発売されていますが、今回は作動方式に目を向けて、分類してみることにします。


1.機械スイッチ式


最も主流の方式がこの機械スイッチ式です。といっても、このような名前で呼ばれることはありません。今私が適当に名付けました。最もメジャーで、電動ガンといえばこの方式という時代が長く続いたので、特に名前が付いていないのだと思います。
最初にこの方式を採用したのは、東京マルイのFA-MASです。マイナーチェンジを繰り返しながら、現在でも販売されている、ベストセラー商品です。



機械スイッチ式は、トリガーが単純な接点スイッチになっていて、トリガーを引くと接点が接触して電流が流れ、モーターを回転させる方式です。電動ガンの作動の流れはおおむね次のようになります。

まず、トリガーを引くと、それに連動したスイッチがONになり電流が流れ、モーターが回転します。モーターは、先端のピニオンギアから、べべルギア、スパーギア、セクターギアと回転力を伝え、セクターギアがピストン下部のラックギアを引くことで、ピストンを後退させます。

セクターギアの回転にはもうひとつ連動しているものがあります。これがタペットプレートで、セクターギアが回転するとタペットプレートもピストン同様に後退し、連動してノズルを後退させます。しかし、タペットプレートはピストンに比べてほんの少ししか後退せず、すぐにスプリングの力で前進します。これによって、ノズルはBB弾を拾い上げ、チャンバーに装填します。

一方、継続して後退しているピストンですが、セクターギアのラックギアとかみ合う歯は全周にわたって付いているわけではないので、やはりそのうちかみ合いが外れます。すると、抑えるものがなくなったピストンはスプリングの力で前進し、シリンダー内の空気を圧縮、ノズルから噴出させて、BB弾を発射する、という流れになります。

フルオート射撃しかできない銃の場合はこれだけで事足りてしまうのですが、大抵はセミオート射撃がありますから、もう少し仕組みがあります。
実は、セクターギアの回転にはもうひとつ、「カットオフレバー」というパーツが連動しています。セミオート射撃モードでは、セクターギアがある程度回転すると、カットオフレバーを跳ね上げて、スイッチの接触を強制的に切ってしまいます。スイッチが切られるとモーターは少しの間惰性で回転しますが、最終的には止まりますから、単発射撃になります。ここで切られたスイッチの接触は、トリガーをいったん戻すことでリセットされます。

なお、モーターが惰性で回転すると、一発射撃した後ピストンを少し引いてしまうことがあります。これを放置すると、スプリングの力に負けてピストンが前進し、2発目が弱々しく飛び出してしまうので、それを防ぐために、べべルギアに「逆転防止ラッチ」がかみ合うようになっています。ギアが逆回転しないようになっているので、仮にピストンが少し引かれてしまっても、そのままその位置で停止する仕組みです。

一見複雑なようですが、これらすべてがギアとスプリングの組み合わせで連動動作しています。これらのタイミングがほんの少しずれるだけで、例えばBB弾が発射されなかったり、逆に2発発射されてしまったり、偶数発目がヒョロヒョロだったりと、さまざまなトラブルを引き起こします。

よく設計されている電動ガンはメーカー出荷時の状態がもっともバランスのいい状態なので、故障するまではそのまま使って、おかしくなってから開けてみるようにした方がいいでしょう。あるいは、練習のためにあえて壊れているものを入手するのもいいかもしれませんね。


つづきます


電動ガンは今にいたるまでほぼこの機械スイッチ式のみだったのですが、最近はより高度な制御が可能な方式が生まれています。次回はそのうちのひとつ、電子制御式について書きたいと思います。

2016年9月8日木曜日

ガスブローバックガンの種類(作動方式編2)

つづきから


続いてしまいました。では、プレシュートブローバックガンについて説明しましょう。


2.プレシュートブローバック


プレシュートブローバックは、アフターシュートブローバックの逆で、BB弾が発射されてからスライドが後退する方式です。
作動方式は各社いろいろ工夫が凝らされていて、それぞれに特徴があるので、細かい仕組みは後日書く予定の別記事に譲りますが、簡単な説明だけはいつものようにしておこうと思います。



まず、初弾はアフターシュートブローバックと同じように手でスライドを引いて装填します。その状態でトリガーを引いてバルブを開放すると、まずバレル方向にガスが流れてBB弾が発射されます。
BB弾が発射されると、シリンダー内のバルブが切り替わり、シリンダーにガス圧がかかります。シリンダーにはスライドに固定されたピストンが入っているので(逆にスライドがシリンダーになっているものもあります)、ガス圧が上がるにつれてスライドが後退し、一定の距離スライドが下がるとバルブが閉鎖して、あとは慣性でスライドが下がる、という仕組みです。

バルブの切り替え方法やスライド内の構造に各社少しずつ違いはありますが、基本的な作動方式はほぼ同じです。
アフターシュートブローバックとは違い、BB弾が発射してからスライドが後退するので、スライドの後退の反作用で銃口が下がるのは、発射後になります。そのため、比較的狙ったところに当てやすい仕組みになっています。

一方、仕組みの説明を見て分かった方もいるかもしれませんが、スライドの後退に使ったガスはそのまま排出されてしまうため、アフターシュートブローバックに比べて燃費は悪くなります。とはいえ、現在でも改良されている方式なので、純粋な性能ではこちらの方がはるかに上です。


まとめ


実はこの他にもミドルシュートブローバックという中間的なものもあるのですが、数も少ないので今回は割愛させていただきました。
ガスブローバックガンは液化ガスを気化させて使う都合上、どうしても冷えに弱いという特徴があります。9月に入って少し秋の雰囲気になってきましたが、まだまだ暑い日が続いていますので、今のうちに楽しんでおくことにしましょう!

2016年9月7日水曜日

ガスブローバックガンの種類(作動方式編1)

はじめに


さて、いよいよガスブローバックガンについて書きたいと思います。ガスブローバックガンは全てオートマチックガンを再現するために使われています(前回ボルトアクションのガスブローバックが発表されたこともあったと書きましたが……結局出ていません)。
現代の主流製品のひとつだけあって、書きたいことがいろいろあって困るのですが、今回は歴史の勉強もかねてBB弾の発射タイミングから分類してみたいと思います。
「発射タイミング?」と思った方は、この後の節を読めば、なるほどと思うはずですよ。


1.アフターシュートブローバック


実用的なガスブローバックガンとして最初に開発されたものが、このアフターシュートブローバック方式です。
実際はこの前にも2Wayプレシュート方式というものがありました。途中までトリガーを引くと発射用のバルブが開放されてBB弾が発射され、最後までトリガーを引き切るとスライド作動用のバルブが開放されてスライドが後退する、というものだったのですが、いかんせん効率が悪く、あまり普及しませんでした。
実際にガスブローバックガンがガンファンに知られるようになったのは、このアフターシュートブローバックからでしょう。

アフターシュートブローバックの仕組みはとてもシンプルです。ガスブローバックガンなので、初弾はスライド(ロングガンならボルトキャリア)を手で引いて装填します。これは実銃と同じなので、我慢しましょう。
その状態でトリガーを引いてバルブを開放すると、スライド内のガスチャンバーにガス圧がかかります。これによって、まずスライドが後退する動作が先に発生します。
スライドがある程度後退すると、スライドに連動してガスチャンバーのガスがバレル側に抜け、その圧力でBB弾が発射されます。
つまり、アフターシュートブローバックは、弾の発射前にスライドが後退する方式です。

実銃の場合は当然ながら発射後にスライドが後退するので、全く逆の動作です。アフターシュートブローバックはエアソフトガン黎明期に開発された仕組みなので、そういう意味ではリアリティには若干欠けます。
しかし、スライド後退に使ったガスをそのまま発射に使用するので、燃費がよく、スライドそのものの動きもキビキビとしたものが多くあります。こと作動という点では現在の製品に劣るものではありません。

しかし、2つほど欠点がありました。ひとつは、これは時代的なものも多分にありますが、メカが大きくなってしまっているため、スライドを引くと排莢口(エジェクションポート)からメカが見えてしまうことです。気にしない人(例えば私です)にはどうということもないのですが、モデルガン派には厳しい仕様かもしれません。

もうひとつは、スライドが後退してから発射されるため、スライドが後退する反作用でちょうど銃口が下がったタイミングでBB弾が銃口から出てしまい、狙ったところよりも下に当たる、という特徴です。しかも握り具合でどのくらいブレるかは変わってくるので、上を狙ったとしてもきちんと正しいところに当てにくく、サバゲーならともかく、標的射撃には使いにくいものになっていました。

とはいえ、アフターシュートブローバックを搭載したMGCのグロック17は、トリガーを引くだけでバシッと鋭い音を立てながらスライドが後退する迫力から、当時相当評判がよく、非常に売れたそうです。
やはりオートマチックハンドガンはスライドが派手に動くのも醍醐味のひとつですから、当時多くの人が待ち望んだそれを実現したという点で、アフターシュートブローバックはひとつの転換点になったことは違いないでしょう。

おわりませんでした


今回はちょっと長くなってしまったので、もうひとつの方式については次回書きたいと思います。次回はプレシュートブローバックです。

2016年9月6日火曜日

固定ガスガンとその種類

はじめに


今日は固定ガスガンについて書くことにしましょう。
固定ガスガンも比較的歴史の長いエアソフトガンです。かつてMGCが発売したベレッタ M93Rは、「連射ができてよくあたるエアガン」として、相当に売れたようです。
固定ガスガンは銃のモデルによって構造が全く違うので、それぞれ分けて書きたいと思います。

1.固定ガスハンドガン


先に挙げたMGCM93Rをはじめとする、スライドの動かないオートマチックハンドガンや、リボルバーのガスガンがこれです。最近はオートマチックハンドガンは主にガスブローバックガンとして発売されることが多いので、最近はリボルバーが主流でしょうか。


固定ガスハンドガンのうち、オートマチックハンドガンは固定スライドガスガンとも呼ばれます。
トリガー操作で内部のバレル…インナーバレルが後退し、マガジン上部から出てくるBB弾をチャンバーにくわえこんだ後、ハンマーがマガジン内ガスタンクのバルブを叩くことでガスを放出、発射します。東京マルイのMk23 SOCOMピストルのように、バレルが後退するのではなく、ノズルが前進してBB弾を拾い上げ、チャンバーに装填するものもありますが、おおむね作動は同じです。

一方、リボルバー型はもともと発射に伴って大きく動くところがないので、単純に「ガスリボルバー」と呼ばれます。
こちらは元々BB弾がチャンバーに入っているも同然の状態なので、シリンダーをガスの放出口に合わせて回転させ、ハンマーでバルブを叩いてガスを放出、発射させるものがほとんどです。
マルシン工業のXカートリッジモデルのように、カートリッジにBB弾をセットして、カートリッジの後ろからガスを吹き付けることで発射する、ライブカート式もあります。全弾撃ち尽くした後、シリンダーをスイングアウトさせて、空薬莢を排出するまでの、リアルな動作が楽しめます。
また、タナカのペガサスシステムを搭載したリボルバーは、ガスタンク、BB弾、バルブが全てシリンダーに組み込まれているため、グリップからハンマーにかけてのメカニズムやサイズが非常にリアルで、実物のグリップがそのまま使えるようになっていたりします。

2.ガスボルトアクションライフル


ボルトアクションライフルはもともと手動式なので、ガスガンにした場合は固定ガスガンに分類されます。発射と同時に内部のウェイトをガスで後退させることで反動を発生させるメカが発表されたこともありましたが、結局いまだに発売されていません。


エアーコッキングガンと違って、シリンダーではなく実物そっくりのボルトを使用するので、非常にリアルな形状になります(もちろん実包を使用することはできないように工夫されています)。大抵の場合、ボルトとレシーバーが金属で作られているので、ボルトを引いた時に金属音がして、雰囲気を高めてくれます。

一方、残念ながら現在はパワーと精度に劣る製品が多いようです。これは、かつてパワー規制が無かったころに設計された製品(とそのデッドコピー)がほとんどなので、現在の「低いパワーのBB弾を高精度なチャンバーで正確に回転させて飛ばす」という思想に適合しないことが多いためです。ただ、サードパーティのパーツを利用して精度を上げることはできますし、何よりこのリアルな作動はその欠点を上回って余りあります。

モデルによってはやはりライブカート式のものも存在していて、ボルトを引くと小さな金属音とともに薬莢が排出されます。BB弾を入れなくても、モデルガンとして十分楽しむことができるのも、このタイプの魅力でしょう。

3.ガスショットガン


モデルは多くありませんが、ショットガンも存在します。固定ガスガンのガスショットガンは、ポンプアクション式またはレバーアクション式です。


ショットガンというだけあって、一度に数発のBB弾を発射できるモデルがほとんどです。サバゲーでも、広がりながらBB弾が飛んでいくのでかなりターゲットに当てやすく、うまく使えば電動ガンにも十分対抗できる性能を誇ります。もうじき発売される東京マルイの最新作「KSG」はこのタイプです。

また、やはり一部のモデルはライブカート式で、しかもその中にはショットシェルにBB弾とガスを入れて使用する、非常にリアルなモデルが存在します。歴史的経緯で、カートリッジにガスを入れて発射するタイプのエアソフトガンは発売が忌避されることが多いのですが、このモデルに限っては短期間ながら合法的に販売が継続されたので、現在も模倣した製品が販売されています(コピー商品になってしまうのですが…)。

まとめ


固定ガスガンは「リアルさを犠牲にして安価に連射可能にした固定スライドガスガン」「リアルな操作が可能なガスリボルバー、ガスボルトアクション、ガスショットガン」の2種類に分けることができます。前者はサバゲーの道具として使い込むのに向いており、後者はどちらかというとモデルガン的な楽しみ方に向いています。

なかなかどれかひとつを選ぶのは難しいですが、あえて今の時代にひとつ選ぶなら、ガスショットガンでしょうか。一度に複数発のBB弾がまとめてターゲットに直撃した時の大きな着弾音は、ほかのエアソフトガンにはない醍醐味です。サバゲーでもかなり強力ですし、3GUNマッチなどの競技にも使えるので、ひとつ持っているとかなり楽しめるでしょう。