2016年9月19日月曜日

ホップアップシステム

今回は一気に解説します


BB弾を飛ばす時、当然ながら強力な圧力をかければ遠くまで届きます。昔は実際こうやって、発射エネルギーだけで相当な距離を飛ばしていたようですが、現在ではパワー規制があるため、単純に発射しただけではほとんど飛びません。
しかし、普通の電動ガンでも、今の製品は50m近く飛ぶようになっています。このために存在するのが、ホップアップシステムです。

ホップアップシステムは、BB弾にバックスピンをかけることでマグヌス効果による揚力を与えて、遠くまで飛ぶようにする仕組みです。精度よく設計・組み立てられたホップアップシステムで回転力を与えられたBB弾は、低速ながら伸びるような弾道でスーッと飛んでいきます。特に、パワーの低い10歳以上用のエアガンを撃つと、この様子がはっきりとわかります。

通常、エアガンではチャンバー内にラバーの突起を出しておき、発射時にBB弾がその突起に触れることで、バックスピン(ホップ)をかけています。ホップが弱すぎると射程が短くなってしまいますし、強すぎると弾速が低下した頃に前進速度と揚力のバランスが崩れて、天高く舞い上がってしまいます。
好みもありますが、30m付近で少し浮き上がってから落ちるような弾道にすると、サバゲーでは使いやすい気がします。

ホップのかかり具合は、BB弾の重量、大きさ、表面の具合によって変わってきます。そのため、突起の出方を調節することでバックスピンの回転数を変化させて、適切なホップに変更できる可変ホップアップシステムを搭載したエアガンが主流です。
ただし、可変ホップアップシステムは調整がシビアだったり、構造上可変の仕組みを入れられなかったり等の理由で、固定ホップアップシステムを採用しているエアガンも数多くあります。このような場合は、BB弾の選択によって調整します。固定ホップアップエアガンのチャンバー上部に穴をあけて、イモネジをねじ込むことで調整できるようなカスタムをする人もいます。

ホップをかけると、通常は弾速が少し下がります。しかし、バレルが短く初速を稼ぐためにスプリングを強くする機種では、ホップをかけると弾速が上がる傾向があります。これは、チャンバーからBB弾が動き出す前に強いスプリングで一気に空気を圧縮するので、ホップをかけるほど内圧が高くなるためです。この間のバランスをうまくとると、ホップをかけても初速の変わらないエアガンになります。

これを極端にしたものがいわゆる流速チューンで、非常に短いバレルと強いスプリング、大量のエアーを使って、強いホップで撃ち出すものです。ホップをかけるほど弾速が上がるので、高い弾速と高回転を同時に得ることができ、射程を延ばすことができますが、持っているエネルギーが多いので「当たると痛い」という特徴もあります(銃刀法では弾速しか測定しないので、回転エネルギーはどれだけ高くても法に触れません)。スプリングも強いので、メカに与える負荷が高く、あまりおすすめはしません。

非常に軽いBB弾に回転をかけて弾道を制御する関係上、ホップアップシステムには高い精度が求められます。海外製のエアガンは弾速規制が緩い関係で、パワーにものを言わせて飛ばすことができるので、このあたりの精度があまい傾向があります。精密射撃に海外製を使うのであれば、ホップアップ周りは精度の良いパーツで組みなおした方がいいかもしれませんね。

2016年9月18日日曜日

ガスガンに使用できるガス

はじめに


前回CO2を使用するBBガンが出てきましたが、この機会にガスガンのパワーソースであるガスについて考えてみましょう。
ガスと言ってもなんでもいいわけではなく、エアガン専用のガスがいくつか存在します。今回はそれを紹介しようと思います。

1. HFC-134a



現在最もメジャーなガスです。いわゆる代替フロンガスです。
ガスガン用のガスの中ではバランスがよく、気化温度が低めなので、フロンガスの中では冷えに強い方です。不燃性なので、ガス自体の安全性は比較的高い部類でしょう。
大抵のガスガンはHFC-134aでの利用が推奨されています。

ただし、地球温暖化係数が非常に高いので、既に廃止が決まっています。代替ガスは現在さまざまに検討されているようですが、まだ製品としては出てきていません。

パッキンに対する攻撃性が低いので、保管時にガスを入れっぱなしにしておかなければならないタイプのマガジンには、これをおすすめします。

2. HFC-152a



HFC-134aに次いでメジャーなガスです。これも代替フロンガスです。ガスガン以外にはエアダスターに使われていたりします。
気化温度はやや高めで冷えに弱く、可燃性という欠点がありますが、HFC-134aより安価なのが特徴です。また、地球温暖化係数もHFC-134aよりは低い方です。

パッキンに対する攻撃性がやや高いので、入れっぱなしで保管するのには向いていません。
HFC-134aとは価格差があるので、夏場にバリバリ使うのにはこちらの方がいいかもしれません。

3. CO2(二酸化炭素)



誰でも知っている二酸化炭素ガスです。
上記2つのガスとは全く違って、このガスは普通のガスガンには使えません。専用に設計されたガスガンが必要です。

CO2は主にビール等を生産した際に発生したものを再利用しているので、環境負荷が各段に低いのが特徴です。圧力が高く、冷えに強いので、対応したガスガンでは素晴らしい作動性を誇ります。また、当然不燃性で、パッキンへの攻撃性もありません。

ただ、圧力が高すぎるのが問題で、他のガス用に設計されたガスガンにこのガスを使用して、うっかり作動できてしまうと、確実に銃刀法違反のパワーが出てしまいます。専用のガスガンが必要というのはこういうことです。

4. 空気


マガジンに充填することはできませんが、これもひとつのパワーソースになりえます。コンプレッサーで圧縮した空気をホースを通じてマガジンに導入し、作動させます。

これも高圧になることがあるので、きちんとレギュレータで減圧しなければなりません。エアガン専用の高圧にならないレギュレータがあるので、それを使用し、できれば途中にリリーフバルブを入れておきましょう。
ガスガンのハンマースプリングを弱くして、高圧時に作動しないようにしておくのもとても有効です。

当然ながら、可燃性はなく、最も環境に優しいパワーソースです。

適法性について


せっかくなので、ガスガンのパワーソースの適法性について、少し説明しておきましょう。
よく、「CO2は違法だ」「外部ソースは違法だ」と言う方もいますが、ガス自体には違法性はありません。ガスガンのパワーソースで違法になるポイントは2つあります。

ひとつはもちろん弾速です。CO2のような高圧ガスを使った場合、低圧ガス用のガスガンでうっかり作動してしまうと、ほぼ確実に弾速が法規制値をオーバーします。幸い、国産のエアソフトガンは高圧マガジンのバルブを作動させられるようなハンマースプリングは入っていませんが、交換していたり、元々固いスプリングのモデルだったりすると、まずいことになります。

もう一つは、充填です。CO2のような高圧ガスは、高圧ガス保安法で容器の移し替えが規制されています。トイガン用のCO2マガジンは、12g入りの小型のボンベをそのまま挿入して使うようになっているのですが、専用マガジンを使わずにフロンガス用のマガジンに移し替えてしまうと、それだけで違法になります。それ以上に、耐圧性能がCO2用に設計されていないので、破裂するおそれがあり、非常に危険です。絶対にやらないようにしてください。

高圧ガスによる作動を楽しみたいと思ったら、日本の規制に完全に適合したCO2専用モデルが、マルシン工業から発売されています。まだ普及途上なのでランニングコストは高いですが、真冬でも強烈な作動が楽しめるので、非常におすすめです。

2016年9月17日土曜日

オハイオ州の警官による少年射殺事件について

はじめに


解説記事を書こうと思ったのですが、今回はちょっと違う内容です。
またアメリカで痛ましい事件が起きてしまいました。13歳の少年が警官に射殺されてしまったそうです。

http://www.afpbb.com/articles/-/3101110

最初このニュースを知った時、やりすぎだろうと当然のように思ったのですが、日本語記事のへんなところに気がつきました。「BBガン」という表現です。
通常マスコミはおもちゃの銃のことをモデルガンまたはエアガンと呼びます。BBガンという耳慣れない表現を使ったのにはわけがあるはずです。少し調べてみました。


1. 英語の記事ではどう書かれているか


翻訳でおかしくなった可能性もあるので、まず英語のソースを探してみましょう。

https://www.yahoo.com/news/ohio-police-fatally-shoot-13-old-drew-bb-151134347.html

上記記事の英語版です。ここでもBBガンと書かれています。
通常、英語圏では、エアソフトガンはAirsoftと書くはずです。この時点で、私たちがよく知っているエアガンとは別物であると考えられます。では、BBガンとはいったい何でしょうか。


2. 発端となったBBガンは何か


記事にもあるように、BBガンとは「低性能のエアガン」です。調べた結果、少年が所持していたBBガンの情報がありました。

https://twitter.com/ColumbusPolice/status/776502381634850817

これは、UMAREXのXP40というモデルのようです。

https://www.midwayusa.com/product/246573/umarex-40xp-blow-back-air-pistol-177-caliber-bb-black-factory-reconditioned

日本円にして約5000円ちょっとの安いモデルです。
が、これで正体がわかりました。


3. BBガンとは何か


今回のモデルは4.5mmのBB弾をCO2で撃ち出すものです。先のページによると弾速は400fps、メートルにして約122m/sです。日本のエアソフトガンが0.2gの6mmBB弾で約98m/sが上限ですから、弾が小さくて軽いと考えると大したことはなさそうです。

しかし、実際はこのモデルは日本では完全に実銃として取り締まりの対象になります。さっきのモデルに対応した弾をウォルマートで探してみましょう。

https://www.walmart.com/c/kp/-177-bb-guns-pellets

leadとかsteelとか書いてあります。つまり、対応するBB弾とは、金属製の弾です。
要するに、「低性能のエアガン」とは、エアソフトガンのことではなくて、日本では実銃とされ、狩猟や競技に使われる、空気銃のことでした。
この弾はおよそ0.33gです。それほど重くないように思えますが、小さいので貫通力が高く、100m/sもあれば皮膚を簡単に貫き、骨を砕くくらいの威力があります。

とはいえ射程は短いので、警察が使う装薬銃(オートなら9mmか.40S&Wでしょう)に比べれば圧倒的に低性能ではあります。
しかし、アメリカではエアソフトガンはそれとわかるように、銃口または全体をオレンジにしなければなりません。しかしこのモデルはそういう規制対象外……つまり、「銃」として扱われてしまうものです。
静止を指示している警官に対してそれを取り出したことで、こんなことになってしまったわけです。


まとめ


今回の事件、少年が所持していたのがある程度の殺傷能力がある空気銃であること、警官の指示に従わずそれを取り出したことなど、一方的な見方はできないかなと思います。
とはいえ警官が少年を射殺したことは事実ですし、それに対する是非を問うことは私にはできません。

まずは何よりも、少年の冥福を祈り、類似の事件が起きないことを祈るほかありませんでした。

2016年9月16日金曜日

バッテリーの種類と扱い方(リチウムフェライトバッテリー編)

つづきから


今回は、もうひとつのリチウム系バッテリーである、リチウムフェライトバッテリーについて解説しましょう。

4.リチウムフェライトバッテリー


リチウムフェライトバッテリーは、正極(+)にリン酸鉄リチウムを使用したリチウムバッテリーです。「リフェ」と呼ばれることもあります。電動ガンで正式に採用したものはありませんが、タミヤのラジコンの純正バッテリーはこれです。

リチウムフェライトバッテリーの最も良い点は、リチウムポリマーバッテリーに比べて、比較的安全性が高い点です。ニッカドバッテリーほどではありませんが、過放電に比較的強く、リチウムの析出によるショートの可能性も低いという特徴があります。
また、メモリー効果がなく、充放電できる回数も多め、自然放電も少ない、と、非常に使い勝手のいいバッテリーと言えます。
さらに、製造メーカーにもよりますが、高い電流で急速充電が可能なものもあります。

一方、リチウムポリマーバッテリーよりは出力が低めです。とはいえニッケル水素バッテリーよりは高出力なので、これはさほど欠点とは言えないでしょう。

むしろ、1セルあたりの定格電圧が3.3Vなので、電動ガンに使うには2セルの6.6Vでは低すぎ、3セルの9.9Vでは高すぎる、という中途半端な電圧が問題です。全くカスタムしていない電動ガンに使うには少し向いていないバッテリーと言えます。せっかく安全なバッテリーなのに、残念なところです。

リフェバッテリーもリチウム系バッテリーなので、バランス充電が必要です。1セルあたりの最大電圧は約3.6Vとされています。どんなバッテリーでも過充電は危険なので、必ず監視の下で充電するようにしてください。

比較的安定したバッテリーなので、ぜひおすすめしたいところなのですが、前述の「電圧が中途半端」という特徴がいろいろと台無しにしている面もあります。標準で3セル9.9Vのリチウムフェライトバッテリーが使える電動ガンが出てきてくれると、初心者にも進めやすくてうれしいのですが、今のところ出てきていません。

まとめ


バッテリーにはいくつも種類がありますが、どれも一長一短で、これを買っておけば完璧というものはありません。

個人的にはリチウムポリマーバッテリーをおすすめしたいのですが、取り扱いを誤ると危険なものでもあるので、管理をきちんとできる自信がないのであれば、純正のニッケル水素バッテリーを使うのがいいかもしれません。とはいえ、これも管理をしないとすぐ壊れてしまうので、そこまで手軽ではありません。
実のところ、容量が少ないことを除けば、ニッカドバッテリーが一番扱いやすいバッテリーと言えるのかもしれませんが、環境への影響を考えて生産数が少なくなっているので、今後を考えると選択肢としては挙げにくいのも事実です。

とはいえ、バッテリーはあの小さなサイズにモーターを動かすだけのエネルギーを蓄えているので、どれを選んでも本質的には非常に危険なものです。適切な使い方を学ぶことが、安全への第一歩です。面倒くさいなどと思わずに、バッテリーの特徴を知り、自分の使い方に合わせて各自選択していただくしかないと考えます。

2016年9月15日木曜日

バッテリーの種類と扱い方(リチウムポリマーバッテリー編)

つづきから


今回はより高性能なバッテリーである、リチウム系のバッテリーです。
ただし、ニッカド系のバッテリーよりも扱いが面倒なところがありますので、どちらかといえば上級者向けのバッテリーと言えるかもしれません。

3.リチウムポリマーバッテリー


現在はさまざまな電子機器にバッテリーが使われていますが、その中でも最も使われているものがこのリチウムポリマーバッテリーです。「リポ」とも呼ばれます。正極にリチウム系化合物、負極に炭素、電解液に有機溶媒を用いることが多いバッテリーです。

リチウムポリマーバッテリーは、電解液がポリマーによってゲル状になっているリチウムイオンバッテリーです。そのため、電解液が液体状のその他のバッテリーとは異なり、缶に入れる必要がないため、さまざまな形状に加工することができます。スマートフォンのバッテリーのように、薄く作ることもできます。

バッテリーの特徴としては、サイズに対して容量が大きく、一度に取り出せる電流も大きいという点が挙げられます。そのため、電動ガンに使うと、とてもニッカドバッテリーやニッケル水素バッテリーでは入らないような小さな空間にも収めることができる上、モーターの初動に必要な大電流も容易に供給することができます。結果として、射撃のロックタイムを短くすることができます。
また、自己放電がほとんどなく、充電された状態のまま放置しても、電圧は長い間残っています。メモリー効果もほとんどないので、継ぎ足し充電も自由に行うことができます。

しかし、リチウムポリマーバッテリーには大きなデメリット、というよりも危険性があります。電解液が有機溶媒であるため、きわめて引火性が高く、取り扱いを誤ってショートさせてしまうと、発火、爆発するおそれがあることです。このため、飛行機の貨物室での輸送は現在では禁止されています。

また、過放電や過充電にきわめて弱く、これらを行った場合、内部で水素ガスが発生して破裂したり、リチウムが析出してショート、炎上したりするおそれがあります。そのため、リチウムポリマーバッテリーの充電には、電圧センサーとマイコンを使用した高度な専用充電器が必要です。スマートフォンやノートパソコンはこれらの充電回路を内蔵しているので、単にコンセントを差すだけで充電できますが、電動ガンは生のバッテリーセルを使用するので、充電器側に回路が必要です。

リチウムポリマーバッテリーは1セルあたりの電圧が約3.7Vと高いため、電動ガンには2セル(定格7.4V)または3セル(定格11.1V)のものがよく使われます。先に述べたように、過放電と過充電に弱いため、ニッケル系バッテリーのように直列接続されたバッテリーに放電端子からそのまま充電することはできません。

ではどうするかというと、複数セルを直列して作られたリチウムポリマーバッテリーモジュールには、必ずバランス端子という、各セルに「並列に」接続された端子が存在します。この端子を使うと、各セルに個別にアクセスできるため、この端子から充電や放電をしながら、各セルの電圧が一定になるように充電を行うのです。これをバランス充電と呼びます。リチウムポリマーバッテリー対応の充電器は、このバランス充電に必ず対応しています。

リチウムポリマーバッテリーの扱い方ですが、まず何よりも、絶対に過充電は避けてください。対応した充電器を使って、2セルなら2セル用の、3セルなら3セル用のモードを使い、低めの電流で正しく充電します。絶対にニッケル系バッテリー用の充電器を使って充電してはいけません。火災の原因になります。
また、高い電流で急速充電することもできません。充電時に流せる電流は、容量と同じと考えてください。2000mAhのバッテリーなら2A、700mAhのバッテリーなら0.7Aです。ただし、最大電流で充電すると寿命が短くなる傾向があるので、少し低めにしておくといいでしょう。

過放電も厳禁です。1セルあたりの下限電圧はおよそ3Vなので、これを下回った状態にしてはいけません。電動ガンの動きが鈍くなってきたと感じたら、すぐに使用をやめてください。
リチウムポリマーバッテリーは出力が安定していて、容量が減ってきても電圧が高いままなので、電動ガンが普通に動いてしまいます。完全に動かなくなるまで使うと、もう下限電圧を下回っていることがあります。
電動ガンとバッテリーの間につないで使う電圧監視装置や、電動ガンが電子制御式の場合はバッテリーの電圧を監視する機能が付いていることがあるので、それらを活用するのもひとつの手でしょう。
もしも万が一下限電圧を下回ってしまった場合は、そのバッテリーは適切な方法で廃棄してください。使用を継続するのは危険です。

また、使用しない時は定格電圧よりも少し高い程度、例えば2セルの定格7.4Vバッテリーであれば、7.6V程度にしておくのがベストです。リチウムポリマーバッテリーは満充電状態で放置すると劣化し、ガスが発生して膨らんでしまうので、満充電での保管は避けてください。充電器によっては、保管用に適した電圧にしてくれるストレージ充電モードがあるので、それを活用すると簡単です。

最後に、これはどのバッテリーでも同じことですが、高温になる場所には放置しないでください。特に、真夏のフィールドの駐車場で、車の中にバッテリーを放置するときわめて危険です。

リチウムポリマーバッテリーは扱いが難しく、非常に癖のあるバッテリーですが、軽量で容易に高出力を得ることができるので、人気のあるバッテリーです。価格もかなり安価なので、ニッケル水素バッテリーの作動に不満が出てきたら、導入を検討してもよいでしょう。
ただし、リチウムポリマーバッテリーの取り扱い方法は必ず守ってください。充電しながら居眠りするようなことは、絶対にしないようにしてください。

つづきます


リチウムポリマーバッテリーは広く使われている割に、使い方を誤るとかなり危険なバッテリーなので、つい解説が長くなってしまいました。細かい使い方がわからなければ、コメントで質問していただいても構いませんので、どうか安全を心掛けて使うようにしてください。

次回はもうひとつのリチウム系バッテリーを紹介します。

2016年9月14日水曜日

バッテリーの種類と扱い方(ニッケル系バッテリー編)

はじめに


エアーコッキングガンを除いて、ほとんどのエアガンは作動させるためにパワーソースが必要です。
ガスガンならガス、電動ガンならバッテリーになりますが、それぞれいくつも種類があって、最初のうちは悩んでしまうかもしれません。特に、電動ガンのバッテリーは種類によって特性が全く違うので、私も初めて充電した時はどこまで充電されればいいのかわからず、悩んだこともありました。
というわけで、今回はバッテリーについて説明したいと思います。

電動ガンのバッテリーは、要するに電池です。市販の乾電池にもいくつも種類があるように、電動ガン用のバッテリーにもいくつかの種類があります。


1. ニッカドバッテリー


最も古くからあるバッテリーです。正極(+)に酸化水酸化ニッケル、負極(-)にカドミウム、電解液に水酸化カリウム水溶液を使用したバッテリーです。
以前はよく使われていましたが、カドミウムが強い毒性を持つため、現在では需要が減ってきており、電動ガン用のバッテリーも少なくなってきています。

ニッカドバッテリーは一度に取り出せる電流が大きく、モーターの作動に向いていたため、電動ガンやラジコンにはよく使われていました。過放電にも強く、完全放電状態であっても、充電すれば大抵の場合使えるという頑丈なバッテリーでもあります。
また、急速充電が可能で、高めの電流で充電することができます。

一方、容量は比較的少なめです。おまけに自然放電しやすいという特徴があり、たとえ満充電にしておいても、しばらく経つと空になっていることがあります。
また、メモリー効果があり、継ぎ足し充電をすると容量が減ってしまうため、放電器を使って完全放電してから充電する必要があるという、やや面倒くさい特徴があります。

セル1つあたりの電圧は約1.2Vで、電動ガン用のバッテリーとしては6セル直列の7.2Vから、12セル直列の14.4Vまであります。とはいえ、通常は7.2V~9.6Vまでを使用することになると思います。それ以上は内部カスタム済みの電動ガン専用で、通常のものに使用すると、壊してしまう可能性が高いです。

ニッカドバッテリーの扱い方ですが、基本的には使う直前に放電器で放電して、空になった状態から満充電にするだけです。先の通り、比較的頑丈なバッテリーなので、使い終わったらそのまま涼しいところに保管するだけで十分でしょう。


2.ニッケル水素バッテリー


ニッカドバッテリーに次いで出てきたバッテリーです。「ニッ水」とも呼ばれます。正極に(+)ニッケル化合物、負極に(-)水素化合物、電解液にアルカリ水溶液を使用したバッテリーです。
東京マルイの現在の純正バッテリーはこのバッテリーです。

ニッケル水素バッテリーは容量が大きく、ニッカドバッテリーに使われているカドミウムのような強い毒性のある物質を使用しないので、比較的安全なバッテリーです。
メモリー効果はありますが、ニッカドバッテリーほどではないため、継ぎ足し充電することもできます。

一方欠点としては、電動ガンに使われているものは自然放電しやすく、かつ過放電に弱いため、定期的に充電しないとバッテリーが壊れてしまうという点です。いい加減な管理で過放電してしまうと、もうそのバッテリーは使用できません。しかも、ニッカドバッテリーと違い、急速充電を行うことはできません。
また、出力がニッカドバッテリー程大きくないので、モーターの初動のトルクに劣ります。トリガーを引いてからBB弾が発射されるまでのタイムラグに影響を与えることがあります。

セル1つあたりの電圧はニッカドバッテリーと同じです。電動ガン用のバッテリーとしては、8.4V~9.6Vあたりが主流です。高電圧のものがあまりないのは、後述するリチウムポリマーバッテリーが普及して、そちらの方がより高出力にできるため、カスタム用にはニッケル水素バッテリーはあまり使われないからです。

ニッケル水素バッテリーの扱い方ですが、過放電すると壊れてしまうので、定期的に電圧を測定して、定格電圧を保つようにしてください。例えば、8.4Vのバッテリーは満充電すると9.2V程度まで電圧が上がりますが、これが8.4V程度の場合は、充電した方がいいでしょう。
ニッケル水素バッテリーは容量が減ってくると出力が大幅に下がるので、電動ガンを使いすぎて過放電になることはまずありません。動かなくなったら交換して、早めに充電する程度で十分です。


つづきます


他にもバッテリーの種類はあります。次回はリチウム系バッテリーについて解説します。

2016年9月13日火曜日

BB弾の種類と分類(材質編)

つづきから


前回に引き続いて、BB弾についての解説です。今回は材質に注目してみましょう。


3. 材質


具体的な成分は置いておくとして、その特性を見ると大きく3種類あります。


3.1 プラスチック弾

プラスチック弾は、ABS等のプラスチックを主成分としたBB弾です。比較的精度のよいBB弾が多く、価格も後述するセミバイオ弾、バイオ弾に比べて安価です。
プラスチックなので、土の中に埋めておいても、ほぼ分解されないことから、現在ではアウトドアフィールドでの使用はほぼ禁止されています。一方、インドアフィールドではどちらにせよ掃除が必要なので、使用が許可されていることが多いでしょう。



3.2 セミバイオ弾

セミバイオ弾は、硫酸バリウムや石粉等を主成分にした「いつかは風化して消える」BB弾です。一応分解されますが、完全に分解されるには相当長い時間がかかるため、プラスチック弾に準ずる扱いを受けていることがほとんどです。
特性も似ているので、ほぼプラスチック弾と考えて差し支えありません。



3.3 バイオ弾

バイオ弾は、ポリ乳酸等を主成分にした「微生物によって分解されて消える」BB弾です。土の中に埋めておくと数年で分解されるので、ほとんどのアウトドアフィールドではこのタイプのBB弾の使用が義務付けられています。もちろんインドアフィールドでも使用できます。

汎用性が高いのですが、最大の欠点として「湿気る」というものがあります。バイオ弾は生分解性を持つためか、水分を吸収して膨らむ傾向があるため、パッケージを開けて放置すると精度が低下してしまいます。また、熱にも弱いため、夏場の車の中などに放置すると、あっという間に劣化します。劣化したBB弾を使用するとエアガンにダメージを与えることがあるので、気を付けなければなりません。

通常、開封しなければ密封されているため問題はありませんが、ショップによっては温度管理がされていないことがあり、その時点で劣化していることがあるため、要注意です。できるだけ回転の良いショップで購入することをおすすめします。



この他、特殊なものとして蓄光BB弾があります。



3.4 蓄光弾

蓄光弾は、トレーサーと呼ばれる装置で強力な光を与えることにより、一定時間蛍光を放つBB弾です。プラスチック弾とバイオ弾があります。

主に夜戦で使用されるもので、連射速度の高い銃でフルオート射撃を行うと、綺麗な一直線の弾道をはっきりと見ることができます。また、弾道がよく見えるので、サイトやホップの調整も非常にしやすいというメリットがあります。
一方、製造しているメーカーが少なく、精度のあまりよくないものが多いため、弾を選ぶ傾向のあるエアガンにはなかなか使いにくい、という難点があります。また、トレーサーを付けられないエアガンに使う意味は全くありません。



まとめ


これまでに挙げたように、BB弾は特性の違うものが各種あります。特に重量は好みもあるので、一概にこれを買っておけばいいとは言いにくいものです。

しかし、BB弾の選択は、エアガンを使う上で非常に重要です。安売りされているものを安易に使うのではなく、評判の良い高品質なものを極力使った方が、精度もさることながら、エアガン自体の寿命も延ばします。

あえておすすめを挙げるのならば、東京マルイのベアリングバイオ弾0.2gまたは0.25gか、G&Gのバイオ弾0.2gまたは0.25gをおすすめします。精度もさることながら、品質が非常に安定しており、ロットによるばらつきがほとんどありません。サイズも標準的で癖がないので、迷ったらとりあえずこれを買っておけば、どこのフィールドでも、どのエアガンにも使えます。インドアフィールドであれば、上記のプラスチック弾仕様でもいいでしょう。